エピソード23:二度目にして弾丸操作の度に歌う設定オミットした方がいいかなって思い始めてる
場面は前回から引き続き、
五星市の育海海岸……
『ば、馬鹿なっっ!? ムジョウに五つ目の形態っ!?
一体いつの間に!? そんなの、情報に無かったのだわっ!』
情報になかった未知の形態の登場に困惑するグラティア。
散々イキり散らかしたクセに
読者すら知ってる情報すら持ち合わせてねえとは、
新主人公の擁立と作品のフルリメイクを画策する
"第四の壁を越えた復讐者"が聞いて呆れる有り様だった。
『なんだぁ、民間人が知らねえならまだしも……
時にヒーロー業界すら凌ぐ諜報力をも誇るヴィラン組織、
その切り札ともあろう怪人が、
標的に定めたヒーローの機密情報一つさえ掴めてねえってのか』
[Exactly. To set a big goal and then hardly make any effort is unbelievable.
Even if you try to succeed easily,
it’s pointless if you haven't even reached the starting line.]
(和訳:全くです。大きな目標を掲げておいてろくに努力もしないとは。
楽して成功しようといっても、
スタートラインにすら立てていないのでは話になりません)
『う、うるさいのだわっ! 黙るのだわっ!
情報が何だっていうの!?
そんな如何にも弱そうな形態のことなんて、
そもそも知る必要がないのだわっ!
世の中結局、最後にものを言うのはシンプルなスペックなのだわっ!』
『ホウ、言ったな?
その言葉忘れンなよ……?
撃った光弾ァ拾わせねェからなぁ〜?』
ユウトはすかさず意気揚々と、
手首の腕輪を腹のベルトに翳し唱える。
『要請-"番犬の爪牙よ、我が手元に"』
[Weapon Upgrade & Customize]
[更新改良要請受理♥
供給、オルトロスクロー・ミドルレンジカスタム♥]
形成されたのは"ガルムガントレット"の強化版"オルトロスクロー"だったが、
爪のみならず両の上腕には赤い鎖が巻き付いている。
『なんだこりゃ?
旧「ゴッド・オブ・ウォー」3部作のブレイズオブカオスみてーな……』
[It's the 'Situation Custom' feature, Mujo.
You can somewhat extend the functions of various weapons according to the situation.]
(和訳:"シチュエーション・カスタム"機能ですよ、ムジョウ。
状況に合わせて各種武器の機能を幾らか拡張できるのです)
『なるほど。中距離っつーと……ファイヤーッ!』
『ぎゃわっ!?』
ユウトが試しに腕を振ってみれば、
併せてブン投げられた火球がグラティアに直撃する。
『やっぱりか。攻撃範囲が伸びてやがる。
てコトは……』
『あっづ! あっづ! あっづぅっ!?
なんでっ!? なんで消えないのこの炎――おぎっ!?』
上空目掛けてユウトが両腕を突き出せば、
上腕に巻き付いていた赤い鎖が勢いよく伸び、
炎を払おうと必死なグラティアに絡みつく。
『何距離取ってんだァ……』
『なっ!? あっ! ぐっ! は、外れなっ――
『コッチ、来いやあァ~ッ!』
『いいぃいいい゛い゛い゛い゛ぃぃ゛っっ!?』
ユウトは鎖で縛りあげたグラティアを、
そのまま力任せに浜辺へ叩き付ける!
『――ぐべあっ!』
だが当然、ユウトの猛攻はこれで終わらねえ。
『要請-"聖鳥の翼、その恩恵に与らん"』
[Weapon Upgrade]
[更新要請受理♥ 供給、マモンスライサー♥]
続けて形成したのはヤタガラカットラスの強化版マモンスライサー。
三種の合体ギミックに加えて圧縮空気と電撃で多様な戦い方ができる双剣だ。
ユウトはそんな双剣を柄頭で合体させ……
『追加要請-"眷属衆、総員出撃されたし"』
[System Upgrade]
[更新要請受理♥ グリーディエアストライカー、全機総攻撃♥]
十六機の鳥型メカ"グリーディエアストライカー"を召喚!
こいつらが出た以上、もう説明は不要だろう!
『行くぜ! 電撃エレクトロ攻撃アタック!』
『いや同じ意ッみ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ッ!?』
砂に埋まって動けねえグラティア目掛けて、
ユウトはメカ鳥を嗾け一斉に電撃を放つ!
……無論、不死身のグラティアがそんなモンでくたばるワケもなく……
『要請-"番の聖獣が毒針に、怨敵致命の悲願を込めん"』
[Weapon Upgrade]
[更新要請受理♥ 供給、デミゴッドキラーマスケット♥]
続け様に形成したのはギルタブリライフルの強化版……
"一発きりの弾丸"を自在に操るデミゴッドキラーマスケット。
『オォォォ~ゥ♪ フォールトゥ~ナァ~~~♪』
『ぐへあぁっ!?』
『ヴェ~~ルト♪ ルゥゥゥナァァァ♪』
『がぎゃあああっ!?』
『スタァァァ~トゥ♪ ヴァーリアッビリリィ~ス♪』
トリガーを引きながら口ずさむは
ドイツが誇る作曲家カール・オルフが手掛けた不朽の名曲『カルミナ・ブラーナ』!
『センッペェル♪ クレスキィス♪』
『げふ! ごは! がひっ!』
『アゥト、デクレスキッス♪』
『ぐひ! ぐぎ! ぶご! ぶげっ!』
『ヴィッタ、デステッタービリィ~ス♪』
『ぐっぎあらばああっ!』
『ヌンクオブ・ドゥ~ラット♪
エットゥン・ク~ラット♪』
『おぎょええっ!?』
『ルゥド♪ メッティース、ア~チッエーン♪』
19世紀初頭にドイツ南部はバイエルン選帝侯領にある
ベネディクト会のベネディクトボイエルン修道院で発見された
同名の詩歌集に基づき手掛けられたこの楽曲は、
ともすりゃ方々でBGMとして起用されまくってるのもあり、
概ね読者のみんなも両手で数えられる程には
多分どっかで聞いたことがあるんじゃねえだろうか!
『エッジェッスタッテェ~ン♪
ポ~テ・スタッテ~ン♪』
『グアッ……』
『ディ~ソッヴィットゥ~グラッシ~エェン♪
ソォルスィンマニィス♪ エッティンアーニス♪』
『ぐうっ……』
『ロッタトゥヴォルービリィ~ス♪
サットゥンマーリィス♪ ヴァーナッサールス♪』
『ぉぐ……』
『セッペンディッソールゥ~ビリィ~ッス♪
ォンブルゥ~バッタァ~♪ エトゥヴェ~ラッタ~♪』
『ぁっ……』
『ミッヒ♪ クォックェ~ニィ~テリ~ッス♪
ヌンクペェ・ルードゥ~ム♪ ドンスゥヌードゥム♪』
『っっ……』
『フェロトゥイ~シェレ~リィ~ス♪』
『 』
最早グラティアは悲鳴すら上げる気力もなくなったがそれでも死ねず、
だからこそユウトの弾丸は延々とヤツを襲う!
『ソ~ラッサルティース♪ エッヴィルトゥーティース♪』
『 ッ ァ 』
『ミッヒヌゥ・コンッ・トゥラ~リア~♪』
『――ぁ』
『エス・アフェクトゥス♪ エ・デフェクトゥス♪
センペ~リン・アン・ガ~リラァ~♪』
『 ぅぶ 』
『ハック・イン・ホーラッ♪ "死ね・オラッ!"』
『ぃぎっ……』
『コールベァ・プルッスーム・ターングィテ~♪
クォルテア・ソルペム♪ ステーニン・フォーテン♪』
『がへあっっ……』
『メックン・オォ~オオオオォ~ネス・
プラァァァーグン・ギィテェェェェエエエエエエ!』
『ぐぎっ! ぐぎゃあああああああっ!』
浜辺に響く約二分弱の独唱は、
即ちグラティアへの一方的な蹂躙が二分弱続いたことをも意味していた!
(こんな……こんなふざけた奴に、やられるなんて……!)
フツーの生命体ならとっくにくたばってなきゃおかしい傷だが、
それでもグラティアは生き永らえていた……
終わりなき生命の源"イモータル・コア"によって!




