エピソード19:完全に読者置き去りじゃねえか!小説書くってレベルじゃねーぞ!
(さぁて、これでくたばった……と、思いてえトコだが……)
場面は前回から引き続き、
五干市は育海海岸……
(なんせ奴ァ、マジのガチに不死身だからなあ。
"リザレクバーン"で吹き飛んだとして、
確かまだフェニックスモードは使えるハズだ)
水を操るマーメイドモードでもって
時化だか津波だかを起こそうとした、
怨恨リマインダーことグラティア・サンジョー。
奴の企みを阻止したユウトは、
然し依然としてその場から動かず警戒を続けていた。
(あの程度の火炎攻撃は
ヤタガラスモードの不燃性ガス攻撃で容易く対処できるが……
さりとて周辺の街を狙われたら厄介だ。
せめて防衛に十分な数の同業者が到着するまで、
何としてでも食い止めねえと……)
事実時を同じくして、
海中ではグラティアが準備を進めていた。
(臨廻……)
[ウロボロブレス! ]
ヤツの左手首に装着されていたのは、
自分の尾を咥える黒蛇を象った腕輪……
(顕生っ!)
その両目に妖しい紫の光が宿れば、
海中を漂うグラティアの身体が一気に上昇していく。
そして……
[アルティメット! インフィニティ!
怨恨リマインダー! 究極無限のリマインダー!
全世界! 全宇宙!
完全! 創造! 崩壊! 生死!
不変と滅亡! 生命循環!
これぞ無限! 即ち究極!
最強無敵のリマインダー!
ウ・ロ・ボロ・スッ・モォォォォ~ドッ!]
激しい水飛沫を上げながら海上へ飛び出したグラティアは、
その勢いで空中に浮いたまま通算五つ目となる形態への変身を遂げる!
『忘れるなかれ、我らが怨み……!
尽きることなき、この恨み……!
晴らさず終われぬこの恨み……!
怨恨リマインダー究極態【ウロボロスモード】!
無限大に、推して参るのだわっっっ!』
(やっぱりか。しかも新形態とはな……
まさかタナトスモードまで真似されるとは思わなかったぜ。
……そう表立った場所じゃ変身してねえハズだが、
どこで情報がバレやがった?)
その名も"ウロボロスモード"!
大小の黒蛇を何匹か繋げてヒト型に纏めたような、
今迄の四形態と比べても聊か異形じみた形態だった。
ただ何より目を引くのは……
(あの腹に埋め込まれてんのはイモータル・コアだかいうヤツか?
なんでわざわざ身体の外に露出させてんだよ……
『バイオハザード』や『ハウス・オブ・ザ・デッド』のボス敵のつもりか~?)
ともあれ弱点っぽいもんが分かりやすい位置にあったのは好都合だった。
例えるなら"スイカは種が見える位置にあると食いやすい"みたいなモンだろう。
『絶望なさい、ムジョウ……
このウロボロスモードこそは、
怨恨リマインダーシステムの到達点っ!
ムジョウ風情では到達し得ない、
四大エレメントをも超越した究極の力を扱う、
まさに最強の形態なのだわっ!』
宙に浮きながら手足や頭髪の蛇をくねらせるグラティア。
ヤツの全身に迸り纏わりつくのは、
如何にも不吉で邪悪そうな、
炎とも稲光ともつかねぇ謎のエネルギー。
だが……
『この力で、私はあなたを倒す……
そしてこの世界を……
ひいてはこの作品そのものを救ってみせるのだわっ!』
ウロボロスモードになったグラティア関連で一番異質だったのは、
その風貌より纏うエネルギーより、ここぞって所で発した台詞だったろう。
『……なにぃ~? "ムジョウを倒し作品を救う"だあ~?
オメー、何をわけのわからねえ妄言を……
TPOを弁えねえ過度なメタ発言は、
読者の没入感を削ぐから悪手だっつーのは常識だろ』
当然ユウトが面食らったのも無理はねえが……
流石作品の主人公として数多メタ発言を繰り返してきただけあり、
特段困惑する素振りも見せずさらりと言い返してみせる。
※『お前が言うな』ってツッコミがしたかったら感想欄まで
『作品を救うんだか知らねえがよ、
ただでさえてめえが出て人気低迷したせいで作者が断筆考えてんのに、
加えて空気読まねえメタ発言でより作品を追い詰めるたぁ、
本末転倒もいい所じゃねえか。
それとも何か? 作者の野郎に筆折らせて自殺でもさせて、
どこぞのテキトーな上位ランカーにでも版権を押し付けるつもりか?
権利押し付けられる側の作家が可哀想だと思わねえのか?』
『ふん! そんなぬるい真似なんてするわけがないのだわ!
私の計画はもっと崇高でエレガントなのだわっ!』
『……具体的には何をするつもりだ?』
『何をする、ですって? 決まってるのだわ』
さて、
怨恨リマインダーことグラティア・サンジョーの語る、
"崇高でエレガントな作品救済計画"の実態とは……
『本作の現主人公であるあなたを倒し、
売れ筋路線として洗練された秀逸な新主人公を擁立!
タイトル、粗筋、コンセプト、ストーリー展開……
その全てを完全な別物へと作り変える……
つまり言えば作品そのもののリセットによるフルリメイクなのだわっ!』
果たしてどこが崇高でエレガントなのかよくわからねぇ、
何なら大概アホとしか言いようのねえ代物だったんだ!
『……随分と壮大な計画じゃねえか。
然し「自分で主人公になろうとする奴」なら過去作にも居たが、
新たな主人公を擁立とは大きく出やがって。
さながら「ジオウ」のタイムジャッカーってトコかぁ?
ヴィラン組織なんてのは大層な目的を掲げがちなモンだが、
それにしたって思い上がりが過ぎるんじゃねえのかぁ?』
……いやぁ、マジで居たんだよ作者の過去作に。
『自分こそ主人公に相応しい』つって戦い挑んだ敵が。
まあそいつは最終的に(結構変則的な形で)主人公側についたんだけどな。
まあともかく、ユウトはグラティアの行動が
あくまで令和神殿騎士団の総意によるもんだと踏んでたんだが……
『あら、何を勘違いしているのかしら? 別に組織は関係ないのだわ。
そもそも私にとって、令和神殿騎士団はあくまで野望の為の踏み台……
最初から使い潰して捨てる為に在籍してるだけなのだわ』
このこれだ。
実際グラティア・サンジョーって女に
令和神殿騎士団への忠誠心なんてありゃしなかった。
ミサンドリー思想に共感したとか、
REIWA天誅組の支持者だったとかなんてことはなく、
ただ怪人としての力を得るべく在籍してるに過ぎなかったんだ。
それどころか……
『そもそも気にならないかしら?
何故私が平気な顔でメタ発言をできるのか……
そしてなぜ新主人公の擁立と作品のフルリメイクに拘るのか……
あなた、疑問に思うのではなくて?』
『……その口ぶりからすっと、
単に"そういう設定のキャラ"ってワケじゃなさそうだな。
大方なんかやべぇ過去の一つや二つでも持ってんだろうよ』
『……御名答。ならば教えてあげるのだわ。
この私、グラティア・サンジョーはね……
元々この世界の人間じゃなくて、
"第四の壁を越えた先"の出身者……』
『ホウ、つまり……』
『ええ、そうなのだわ……
私は元々、
画面前のあなたたちと同じ、
現実世界の人間なの』




