エピソード18:毎回このくらいアッサリ終わらせてりゃまだマシだったんでしょうかね、ブクマもPVも
場面は前回から引き続き、
五干市は育海海岸……
[変成! リマインダー! リマインダー!
怨恨! リマインダー!
麗しの人魚! 不老で長寿! 魚心あれば水心!
マァ~メイドッ・モォォォォド!]
『忘れるなかれ、我らが怨み……
水には流せぬ、この恨み……
怨恨リマインダー【マーメイドモード】
深く響かせ、推して参るのだわっ!』
……より厳密には育海海岸の波打ち際百メートル程の浅瀬洋上か。
ユウトの必殺技を"自爆からの再生"でもって克服したグラティアは、
通算四つ目となる形態"マーメイドモード"への変身を遂げる。
『八百比丘尼……
人魚肉を食い不老不死になった尼僧、か。
アンデルセンの童話にしても、
元々の寿命が三百年なのに加えて
人魚姫は泡になって消滅した後、大気の精霊に転生する……
元来"死ねば魂も残らず消滅する"だけの人魚族にあって、
人間と同じ"不滅の魂"を獲得する術を見出したと考えりゃ……なるほど、
不死鳥共々"不死"がテーマの変身システムらしいチョイスじゃねえか』
『あら、やたら詳しいのね……
令和のこの時代になって尚、
そこまで昔話を正しく理解できるほど賢い奴なんて
そう居ないと思っていたけれど……驚きなのだわ』
"マーメイドモード"は名前通り人魚モチーフってことで、
水色の外装には鱗やヒレの意匠が目立つ。
下半身全体が魚の尾鰭ってワケでもねえが、
さりとてしっかり魚じみた尾鰭はあったし、
加えて背中には背鰭のみならず、
大きな胸鰭があたかも翼の如く生えていて……
『その形はホウボウ……いやトビウオか?
シルエットはさながら天使みてーだが、
てめえ自身が社会を荒らし
人畜を不幸にするクズどもの切り札ってんなら、
大概痛烈な皮肉じゃねぇか』
『フン、なんとでも言うがいいのだわ。
真の正義を貫徹せんと志した者は、
総じて例外なく俗世から悪と糾弾される……
ともすればあなたからの悪口雑言こそ、
私の正しさを何より明らかにする
確たる証拠と言っても過言ではないのだわ』
手にした武器はこれまた魚類チックな杖。
鈍器ってよりは魔術師が使うようなアレを思わせるフォルムで、
実際、どうやら振るだけで水を操れる代物らしい。
『マーメイドモードのエレメントは水……
それもただの水中戦特化形態なんかじゃなく、
周囲の水を操って遠近両用かつ攻防一体、
変幻自在で顕如盤石な戦いを実現する、
まさに"怨恨リマインダー"システムでも
最強格の形態と言っても過言ではないのだわ!』
『ホホウ、つまりお前に言わせりゃ
"フォルネウスモードはただの水中戦特化形態だ"と?』
『他に何と言えと言うのかしら?
パワー特化と言っても図体が大きいばかりで防御は脆くて、
攻撃だって斧を振り回すばかりで隙だらけったらありゃしない。
水中でもなければまともに戦えもしない、
いわばハズレ形態と言っても過言ではないのだわっ』
『面白えっ。だったら確かめてみりゃいいや……
ホントにフォルネウスモードが、
お前の言うような"ハズレ形態"なのかをなァ~』
『ふん、減らず口をっ! この深淵に沈むがいいのだわっ!
"ビッグウェーブ・アクアストリーム"ッ!』
安い挑発に乗ったグラティアが杖を振り上げれば、
連動して操られた海水の塊がユウトに迫る!
『超転身ッ』
[フォルネウスモード♥]
だがユウトは素早くフォルネウスモードに変身……
身の丈も凌ぐ津波すら受け流す巨躯の体幹が、
グラティアの攻撃程度で揺らぐハズもねえ。
『……遺恨リーパームジョウ、【フォルネウスモード】
我欲の牙で、深く喰らい付く……』
事実ユウトは平然と変身を完了させ、
余裕綽々と名乗りまで上げて見せる。
……サメだけに"余裕綽SHARK"かもしれねぇが、まあともあれ。
『くっ、陸では役立たずの木偶の坊風情が生意気なっ!
かくなる上は、このフィールド全域を水没させてやるのだわ!』
(オイオイ、なんでそうなるんだよ寧ろ逆だろ……)
血迷ったグラティアが杖を掲げれば、周辺の海が目に見えて"荒れる"!
さながら旧約聖書出エジプト記のモーセさながらだが……
あっちが身内のために海水を退けたのに対して、
こっちは自棄起こして錯乱した挙句沿岸地域を水没させようとしてんだから、
比べるのもバカらしくなるほど別モンなのは言う迄もねえ。
例えるなら
『勇者パーティーにかわいい子がいたので、告白してみた。』のセシリア・アクアレインと、
『IS 〈インフィニット・ストラトス〉』のセシリア・オルコットぐらい別物だ。
或いは特撮好きな諸君に分かりやすく伝えるなら、
『王様戦隊』のネフィラ・イドモナラク・ネと
『龍騎』のディスパイダーぐらい別物、と言ったらいいかな。
さて、ともあれ……
『究極必殺最終殲滅奥義!』
『ただでさえ土地も人もボロボロだってのに、
これ以上てめぇらに好き勝手させてたまるかァ!』
[葬儀開催♥ 海洋葬-リモートプラン♥]
ユウトは荒れ狂う海水の中でも一切動じず、平然とドライバーを操作!
フォルネウスハルバードを構え、必殺技を発動しにかかる!
『"マキシマムアビスハイパータイダルウェイブ――
『長えっつってんだろボケェ!』
[フューネラル・ストライク♥]
容赦ないツッコミと共に斧を振り抜けば、
海水を纏って刃状の波と化した斬撃の波動がグラティア目掛けて飛んでいく!
『なあっ!? 斬撃をっ、飛ばしたぁ!?』
"どうせ必殺技は近接一辺倒、距離さえ取ってれば喰らいはしない"
なんて思い込んでたグラティアが面食らったのも無理はねぇ。
波動の勢いたるや魚雷の如く。
ともすりゃ必然、グラティアとて回避なり防御なりしたいところだが……
『ヒィッ! し、しまっっ!
間に合わっっ――』
間抜けにも奥義発動に注力し過ぎていたせいで出遅れちまう。
結果……
『ぎょええええええっ!』
人"魚"だけにか、
ダジャレじみた悲鳴と共に吹き飛ばされ落水するが……
[極限発動! リザレクフルバーン!]
例によってシステムを作動さえ、
今までにないほどの強烈な自爆でもって、
奴の身体は"リセット"された。
そして……
(なんの、これきし……)
[ウロボロブレス、セットアップ完了]
(……今度こそ一気に巻き返すのだわっ!
この世界を……この作品を、私が"修正"するためにっ……!)
これで終わったなんてワケもなく、
脅威はまだ去っていなかったんだ。




