勇者来たんだが???
ある日。俺はとある報告を受けた。
「勇者が来た?」
それは勇者が来たと言うものだった。勇者・・・っていうとあの勇者?魔王を倒す?
「どうしましょう。」
「どうしようって・・・こういう場合どうするの?」
「そうですね・・・魔界に来てしまったからには漂流民として保護し、元の世界へ還します。」
「じゃあそうしようよ。メルバ。」
「わかりました。」
それで終わったかと思った・・・が。翌日。
「え?俺に会いたい?」
「はい。魔術封書を用いて会話してみたところ。目的は魔界の調査との事です。人間界で魔界と繋がる現象が起きたらしく、それを解決する為らしいです。」
「そうなんだ。で?なんでそれが俺に会う事に?」
「陛下は、魔王という事になります。なので魔王に会っておこうということかと。」
「うーん・・・」
俺は目の前に積まれた仕事の山を見る。無理じゃない?
「時間掛かるけど良いかって伝えて。」
「かしこまりました。」
そうしてその日の夕方。
「え?待つから会わせて欲しい?」
「はい。」
メルバからの報告は思ったより面倒だった。そんなに俺に会いたい・・・?相手が勇者だからか身構えてしまう。
「闇討ちの様子はありません。武器は既に没収してますし、魔法も封じています。まぁ・・・人間界と魔界では魔法の形態が違うので完全に封じたかどうかはわかりませんが・・・」
「わかった・・・時間を作ろう。」
「かしこまりました。」
そう決めたのが・・・1ヶ月前。
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そして面会の日。
「アールエ=ミナミウスですわ。」
「アキリ・ショトラスです。」
「ミユ=ミホイント=マルデウスです。」
「ジュンイチだよ。よろしく。」
会ってみた3人は着替えたんだろうけど普通の町人みたいだった。
「陛下。此度は私達に謁見の機会をくださり誠に感謝致します。」
「いいよ。何か聞きたい事があるんじゃない?」
「はい。実は・・・」
そこからアールエに聞いた話は報告で聞いた物とそう変わらなかった。
「ということで・・・魔獣の被害に悩まされていまして。魔界と繋がった場所を閉じようと繰り出したのですが・・・」
「何故か此処に来た・・・と。」
「はい。」
「うーん・・・」
どうしたいんだろうこの人達は。目的は魔界との繋がりを閉じる事なんだと思うけど。ウチの魔界ではないらしいし。
「それで陛下。私達にこの魔界を調査する許可が欲しいのです。」
「うちの魔界を?」
「はい。違う魔界でも同じ魔界です。繋がりを閉じる手掛かりになるのではと思いまして・・・」
「まぁ・・・良いけど・・・具体的には?」
「私達が来た場所・・・あそこが人間界と繋がっていると考えているのですが・・・」
「メルバ、そんな報告あった・・・?」
「いえ、彼女達が来た場所は異界に繋がる場所と呼ばれる場所ですが・・・実際は魔力嵐がある場所で異界に繋がる場所ではありません。」
「だ、そうだけど?」
「えと・・・じゃあ、どうしましょう。」
「とりあえず帰る事だけを考えてよ。」
「承知しました。」
「調査は好きにして良いよ。生活資金は出せるけど調査の資金は出せないけど・・・」
「いえ、生活資金だけでも出していただけるだけでもありがたいです。残りの調査資金は働いて稼ごうと思います。」
「働くか・・・」
漂流民の返還には時間がかかる。俺の元いた世界だと・・・生活保護にあたる制度だ。これが漂流民に当てられ帰るまで生活する。それ以外の事をしようとすると労働してお金を稼ぐ必要がある。だが漂流民の労働は認められておらず、出来るのは簡易労働という配達、店舗受付のみだ。それで調査資金を稼ぐというのはかなり難しいはず。
「まぁ・・・無茶はしないでね。しっかり法令を確認して、出来る事だけをやること。もし犯罪を犯せばこっちで普通に幽閉だってありえるからね。」
「わかっております。調査の道具等は没収されませんでしたのでそれを使います。」
「あ、そうなんだ。でも丸腰だよね。メルバ、武器、なんとかならない?」
「そうですね・・・没収した武器は帰る時にしか返せませんが・・・武器の貸与は出来ると思います。」
「じゃあそれで。」
「かしこまりました。」
「ありがとうございます。陛下。」
「とりあえず、調査結果は報告してね。」
「はい。」
とりあえず面会終わり。勇者一行との面会は穏便に終わった。だが・・・
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「え?勇者一行が?」
「はい。」
またある日。俺は朝に報告を受けた。勇者一行が異界に繋がる場所にて調査を行なって魔獣に襲われて怪我をしたとのことだった。
「無事なの?」
「それが・・・」
勇者一行の1人、ミユが大怪我を負い、異界に繋がる場所のギルド出張所で動けなくなってしまっているらしい。まじか。
「メルバ、使いをだして。王都まで運んで治療しよう。」
「かしこまりました。」
そして勇者一行が王都まで戻ってきた、ので。俺は治療院に会いに行くことにした。
「みんな大丈夫?」
「陛下・・・」
アールエが不安そうな顔で迎えてくれた。そしてそこに居たのはアールエ達だけではなかった。
「ギルドのみんなも。どうしたの?」
「いえ、陛下に直接お目通りするとは・・・」
「でも、ちょうどいいんじゃ・・・」
「うう・・・」
「???」
「貴方達、しっかり報告なさい。」
「は、はい!」
「私が、説明します。」
「君は?」
如何にも受付嬢と言った風貌の赤い尻尾を持つ魔族が前に出てきた。
「私はミルユスと申します陛下。」
「挨拶はいいから。何が起きたの?」
「魔獣の襲撃が起きました。」
「それはいつもどこかで起きていることでしょ?そんな大騒ぎするほどじゃ・・・」
「いえ、それが・・・」
話を聞くと。勇者一行を保護した冒険者達に協力を仰いで調査に行ったのだという。無償で。えらいなぁ。それはさておき。この出てきた魔獣が問題だった。
「異世界から渡ってきた痕跡・・・?」
「はい。これを。」
そういって布に包まれた棒のような何かを出してきた。
「これは?」
「これは襲われた魔物の一部です。」
布を開いて出てきた物は・・・虫の足。黄色と黒の危険色。そしてまだらに紫の模様が入っている。
「もしかして・・・まだ討伐してないの?」
「はい・・・現在追跡中です。そして、この足。見ていてください。」
ミルユスが指に灯りの魔法を使うと、ビクビクと足が動き出す。灯りの魔法に追従するように。
「これは・・・」
「この通り、魔力に反応しています。まだ、生きているのです。足だけで。魔力を与えすぎると足の上が再生します。」
「なんだって・・・!?」
「この無限増殖性を秘めた魔獣・・・私達は暫定的に鰐顎城蜘蛛と名付けました。討伐方法は高熱で焼き払う様にします。」
「・・・。」
「この鰐顎城蜘蛛・・・間違いなく外来種です。」
「外来種・・・」
「此処ではない世界から・・・流れついた物だと思います。そこで。」
「ここからは私が、陛下。」
「アールエは何か知ってるの?」
「はい。私達を襲った魔獣、これは魔界と繋がった私の世界にいた魔獣です。」
「じゃあ・・・別な魔界から来たんだ。」
「どうしてこっちの世界に?」
「私達が・・・連れてきてしまったのかも・・・」
「ううむ・・・」
「申し訳ありません・・・」
まいった・・・外来種か・・・それも凶悪な。生態系が完全に崩れてしまう。それに繁殖方法は、分裂増殖。マズイ・・・
「メルバ。」
「はい。」
「冒険者達に緊急クエスト出して。外来種を討伐しよう。」
「わかりました。」
「アールエ達はまず休んで。必要な物はある?」
「とりあえず毒も全て魔法で解毒出来ました。ですが怪我が重症で・・・」
「魔界の薬は魔族用だから聞きすぎて変貌してしまうかもしれないので使えないのです。」
「ミルユス、メルバは人間用の薬調合出来る薬師知らない?」
「いえ・・・」
「すみません陛下・・・」
「そうか・・・アールエ。悪いけど薬が無い。魔法でなんとかしてくれない?」
「わかりました。」
さて大変な事になったぞ。勇者一行の来訪、外来種の襲来。これ以上大事にならないといいのだけれど・・・




