聖女&勇者襲来!なんだが???
<魔界–異界に繋がる領域>
「はぁ・・・!はぁ・・・!」
「ここは!?魔界か!?」
「どうでしょう・・・魔界の植生らしいですが・・・」
「報告にあった瘴気等は感じませんね・・・」
「とりあえず・・・進みましょう。」
さくさくと草むらを進む3人。魔術師のような風貌の女性と軽い鎧を着けた男性。そして白いシスタードレスを纏った女性が話をしながら慎重に進む。
「魔物や魔獣の気配を感じません。」
「おかしいですね・・・」
「ここほんとに魔界か?」
キョロキョロと周りを見渡しながら進む男性。
「あ、見てください勇者様。」
「え?」
「この植物・・・」
シスタードレスの女性が一本の植物を手に取る。それは異界香長
「これは私達の世界の植物です。魔界でも生育するなんて・・・」
「ええ・・・?」
「ミユさん。ちょっと鑑定してみてください。」
「はい。」
ミユと呼ばれた女性が杖を片手に呪文を唱えた。すると異界香長がうっすら輝きだす。
「すごいですよ聖女様。」
「どうすごいのですか?」
「レアリティが10。このレベルの物は私達の世界でもなかなかお目にかかれません。これが自然に自生しているなんて・・・」
「食べられますか?」
「食べられます。毒も瘴気もありません。」
「んじゃ食ってみるか。」
「勇者様!?」
勇者と呼ばれた男が異界香長をむしり取り、齧り付く。
「もぐもぐ・・・少々辛い。でも美味い。」
「勇者様・・・食べられると言っても魔界の物なんですよ?」
「大丈夫大丈夫。」
「はぁ・・・アキリ。あんたも鑑定するわ。」
ミユが杖を勇者アキリにかざし、うっすらとアキリが輝く。
「・・・問題なし。」
「まぁ・・・!」
「さて・・・もうちょい調べながら行きますか。」
その時だった。がさりと草むらが揺れて。大きな籠に異界香長をいっぱい詰めた角と尻尾のある魔族が現れたのだ。
「!!!」
「魔族!!!」
「ちぃッ!!こんな早く!!!」
だが相対した魔族はわたわたと狼狽えるだけ。よく見れば剣も持っていない。それに気づいたアキリは剣を納めた。
「おい魔族。」
「£<◇◯¡」
「あらら?」
「言葉が通じませんね。」
「いや聖女様それは当然です。」
魔族は言葉が通じないとわかったからかわたわたとボディランゲージを繰り出している。
「これが・・・あの凶暴な魔族・・・?」
「特徴は確かに魔族ですが・・・人間を見かけたらすぐに大魔法をぶっぱなしてくる魔族とは全然違いますね。」
「あー・・・ダイジョーブ。ダイジョーブ。テキジャナイヨー。」
アキリが魔族に倣ってボディランゲージを繰り出すと魔族は安心したのか明らかにホッとしている。そして付いてくるように手招きをした。
「・・・付いて行っていいか?」
「罠かも・・・」
「いえ、ミユ、アキリ。ここはあの魔族は信じましょう。我々が戦ってきた魔族とは違うようです。」
「わかった。」
「はい。」
〜相対した魔族〜
「人間だ?!人間だ!!!」
なんで?!ここは異界の通じる場所だと言うけど・・・まさか異界から来たのか?人間界から?
「お、おーい。大丈夫かー。」
「◯£◇ゝ<」
「§♫‡◇◯」
「£◯♫§◇」
「やべぇ言葉が通じねぇ。」
やべぇぞ剣構えようとしてる。こっちは野菜多く持つ為に丸腰だ。負ける。いや負けないけど。相手は3人。おそらく後衛2人に前衛1人。仲間を呼べばいいけど。仲間はもう出張所に戻ってるし。マズイ。負ける。いや負けんが?
「ん?」
「♫£◯§‡・・・」
なんか剣を納めたぞ。私が丸腰だからか。ラッキー。とりあえずジェスチャーだ!!!必死に伝えろ!!!
「ダイジョーブ。ダイジョーブ。テキジャナイヨー。」
伝わったか?伝わってくれ。伝われ。
「・・・。」
「テキジャナイヨー。」
おお!!!3人は完全に戦闘体制を解いたぞ!!!よし!!!伝わった。後は・・・魔術封書がある出張所に連れて行こう。それで話が出来るようになるはず。いやまて。人間語の魔術封書なんてあるか?あってくれ。
「コッチコッチー。」
手招きして付いてくる様に伝える。伝われ。よし。付いてきてるな。行くぞ。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
<ギルド出張女>
「おーい。メモー」
「なんですかー」
「漂流民保護したんだけどさー人間語の魔術封書ある?」
「ちょっと待ってください。多分あったはず・・・」
「♫£◇§<」
「£♫£◇+」
「ヽ♫£◯§」
「やべぇな・・・」
早く魔術封書で翻訳しないと。元の世界に帰す事もできない。
「アスナさーん。人間語の魔術封書ありました。三つあるうちどれか効くはずなんですが。」
「試してみるよーあんがとさん。」
連れてきた3人をテーブルまで案内し、私の奢りで水を出してもらう。
「飲んで飲んでー」
毒じゃないよと先に飲む。そうしたら3人も飲んでくれた。よし。魔術封書を使おう。
「どれどれ・・・」
一枚目。キラッと輝き、起動を確認する。どうだ・・・?
「♫£◇§£」
「ダメだ。」
一枚目は違う言語だったらしい。2枚目。
「◇£♫£+」
「これもダメだ。」
次、3枚目。
「これ何してるのでしょう。」
「とりあえず危険は無さそうだが?」
「不思議な魔法ですね〜」
「!!!」
効いた!!!良かった。これが正しい言葉か。良かった〜
「あー・・・話せる?」
「!?魔族が・・・」
「なんで言葉が!?」
「あら〜・・・」
「あー今ね。言葉を通じさせる魔法を使ったのよ。だから話せるの。」
「魔界にはそのような魔法があるのですね。」
「どういう形態の魔法なんだろ。」
「魔法は全然わからん。」
よしよし。っしゃ。これで話せる。もし保護が認められたら給付金が出る。臨時収入だ。やったぜ。
「あのー・・・で、あんたら何者?」
「俺たちは・・・」
「アキリ!!!何馬鹿正直に話そうとしてるの!!!」
「ミユさん、大丈夫です。私が代表ですので。私が話します。」
なんか旅ドレスを着た女が代表らしい。私に向き直ってきた。
「初めまして。私は聖女、アールエ=ミナミウスです。貴方は?」
「私はアスナ。あそこで野菜取りをしてる冒険者だよ。」
「野菜取り・・・?」
「良い感じに稼げるんだよ〜」
「まぁ・・・」
「それで?アールエは何しに来たの?」
「私達は魔界の調査に来たのです。」
「調査・・・?うちの?」
「いえ、恐らくですが。こちらの魔界では無いです。」
「どう言うこと?」
「私達の世界は、魔界と繋がってしまったことで魔獣災害に悩まされていました。それで魔界と繋がった場所を閉じる為に魔界の調査に乗り出したのです。」
「そうなんだ。」
「それで、魔界の調査は何度も行われていて、遂に魔界の道を閉じる事になって私が派遣されたのですが・・・」
「ですが?」
「辿り着いたこちらは・・・報告とあった場所とは違くて・・・」
「その魔界ってどういう場所なの?」
「悪魔の様な植物が蔓延り、魔獣と魔物の巣窟で、瘴気に塗れた地獄の様な世界だと・・・先遣隊の報告にはありました。」
「まじか。そんな近隣の世界あったかなぁ。」
「わからないですか?」
「わからない。私学者とかじゃないから。」
「そうですか・・・」
「とりあえずさ。あんたら漂流民になるから。王都で保護してもらってさ。元の世界に帰ろう。」
「おい待て。」
「勇者様?」
「なんで魔族がそこまでやるんだ?」
「私も不思議に思ってた。私達人間よ?アスナ達からすれば劣等種・・・そんなのに普通手を貸さないわ。」
「え?あんたら劣等種なの?」
「え?」
「ええ?」
「???」
「・・・魔族って人間を餌としか思ってないんじゃ・・・」
「いやいや。確かに人間から精をもらう夢魔とかはいるよ?でも餌にするのは無いかな。そんな餌扱いしたら人間なんてすぐ枯れ果てちゃうし。」
「そう、か・・・」
「それにさ。この世界というかウチの国ではさ、漂流民を保護すると優良国民として給付金が出るんだよ。だから積極的に保護してるんだよね。」
「ああ・・・」
「まぁ。お金で動いてくれるなら楽ですね。」
「でしょ?」
アールエと笑い合うと残りの2人も苦笑した。とりあえず少し打ち解けられたか。
「だからさとりあえず王都に行こうよ。それから帰る方法を考えよう。」
「ですね。」
「それが早いか。」
「そうね。」
「調査がしたいんだったらそれも王城に行けば許可がもらえると思う。ちょっと他の魔界に付いてはどうなるかわからないけど。」
「それはありがたいです。」
「アキリ。とりあえずこちらの魔界を調査しよう。」
「どう考えても入る家に間違えたのに良いのかなぁ・・・」
「いいでしょ。魔界には違いないんだから。」
「それじゃあさ。私宿代出すからここ泊まってさ。明日・・・は馬車出ないんだった。明後日王都に行こう。」
「宿代まで出してくださるなんて・・・ありがとうございます。」
「いいんだよ。それ以上のお金が入るから。」
「そうなのアスナ。」
「そうだよ〜しばらく遊べるな〜」
「へ〜なんか手厚いわね。魔界って。」
「まぁ平和な国だしね〜」
「魔界のイメージ変わるな・・・」
「まぁね〜」
よしよし。無事王都に連れて行けそう。臨時収入ゲット〜
「・・・待て。」
「え?」
「勇者様?」
「どうしたのアキリ。」
「これが罠だという可能性を考えてしまった。」
「あ〜・・・」
「俺達を・・・例えば、なんだ。人間牧場の様なところに送り込む魂胆なんじゃないか。」
「いや〜まぁそれは当然の考えだわ。」
「まぁアキリの言う通りね。」
「私は信じても良いと思います。」
「聖女様・・・」
「いやでも・・・」
「アスナさん手を。」
「え?うん。」
手って言われたので右手を出した。するとアールエはふわっと何か魔法を使った。うおそれはこっちでは無い魔法形式だ。
「・・・大丈夫そうですね。」
「あらそう。」
「なんだ。じゃあ平気か。」
「今の何?」
「今のは嘘を付くとあざが出来る呪いです。魔族にも効いて良かったです。」
「まじかよ呪いかけたんか。」
「ええ、でもものすごく限定的な呪いで、嘘を吐いた瞬間にしか効果がないですし。その呪いもすぐ消えてしまいます。」
「へぇ。でも魔族にかけられるならかなり強力だよそれは。」
「それは私が聖女だからですね〜」
「なるほど。」
とりあえず・・・信じてもらえたようだ。臨時収入が確定した事で、3人を宿に送り、私は馬車の予約を取りに走るのであった。




