大図書館なんだが???
視察が終わってから数日後。メルバから図書館の司書が帰ってきたという報告が上がり、図書館を見に行く事になった。
「図書館の中入るの初めてだよ。」
「そうですね。中は本の森といった有様ですので・・・司書という案内人がいないと迷ってしまうので・・・」
「ええ・・・そうなんだ。」
「はい。なので以前はご案内しませんでした。私も案内が出来ないので。」
「なるほど。」
図書館の前まで来ると扉の前に誰かいる。アフリール?
「あれアフリール何してるの?」
「え?」
「陛下、彼女はアフリールではありませんよ。」
「え?」
「初めまして陛下。シャサハリールです。アフリールの姉になります。」
「アフリールの姉・・・?」
この世界、兄弟姉妹はどうなるんだ・・・?
「ああ、陛下。魔族の姉妹というのは同じ魔族と血の盟約を交わした者を言うのですよ。」
「あ、そうなんだ。」
「はい。では図書館をご案内しますね。」
ゴトン、と扉が開く。中に入ると目に飛び込んできたのは遥かに背の高い本棚。上の方の本を取る梯子もあるのでその大きさはかなり大きい。それが幾つもある。正に本の森だ。
「はえ〜」
「この様に沢山蔵書がございますよ。」
「すごいね。」
「蔵書数は計測を諦めたので正確な数はわかってませんが430万と5700を超えたところまでは記録してあります。」
「そんなに・・・」
「では陛下、本の説明はしていると陛下が寿命で没してしまうので省きます。そしてこの図書館で最も重要なお部屋にご案内します。」
「最も重要な部屋?」
「はい、魔王の居室と呼ばれる、国王しか侵入を許されない部屋でございます。」
「そんなのがあるんだ・・・」
「はい。こちらです。」
トコトコと案内され、時折掃除をしている悪魔メイドを眺めながら進む。そして本棚と本棚の間に人1人分くらいのドアが出現した。
「ここです。それでは陛下、中へ。」
「うん。」
ドアノブに手を掛ける。ぐっと捻ると執務室の判子の引き出しの様に青白い炎が一瞬上がった。ここでも防犯の魔法か。
「・・・よし。」
意を決して中に入る。中は小さな机と部屋の両脇に本棚があり、窓から日が差している。これも魔法の効果なのか国王しか入れないにしてはホコリっぽくない。
「・・・。」
机の上は綺麗だ。ポツンと羽ペンとインクが置いてあるだけ。引き出しを開けて見るか。
「・・・。」
1番上の引き出しを開けると・・・中はなんというか、ガラクタ。なんか金属のパーツとか。木片、木彫りの人形等。なにこれ。2番目の引き出しを開けると、一冊の本。ページを捲っても中は全部真っ白。何も書かれてない本。
「・・・。」
3番目の1番大きい引き出しを開けると・・・王冠が出てきた。ちょっと宝石があしらってある普通の王冠。なるほどね。
「・・・ふーん。」
今度は両脇にある本棚を見る。適当に一冊取って中を開くと・・・読めない文字。これ共通規格文字じゃない。なんだこれ。
「・・・?」
もう一冊手に取る。またもや読めない文字。さっきのとも違う文字だ。なんの本なんだろうこれは。
「・・・。」
そして本を次々に手に取って・・・数十冊ほど。俺は日本語で書かれた文字を見つけた。
「これ・・・!!日本語だ・・・!!!」
ページを捲り、読み進める。この本は日記の様だった。日記を書いたのは女性。元高校生だったらしい。そこには電車に投身自殺したと思ったらここにいたと書いてある。もしかして・・・ここにある本は、歴代国王の日記か?
「・・・。」
そこにはいろいろ書いてあった。国政の事、勢力の事、魔物の事、赤裸々な日々、そして・・・
「引き出しの・・・王冠。」
おそらくこの部屋のさっき見た引き出しの王冠の事が書いてあった。この王冠は読めない文字を読める様にする魔法道具の様だった。俺は早速王冠を取り出し、被る。
「・・・?」
特に身体的な変化は無い。だが適当な日記を手に取って読むと・・・読める。確かに読める。
「なるほど・・・」
今手に取って読んだ日記は、どこか田舎の農村で暮らしていた少女がこの世界に呼ばれた物らしかった。毎日が国政などやった事が無く、毎日がものすごくてんやわんやだと書いてある。
「・・・ふぅん。」
俺は王冠を置き、さっきの日本語の日記をもう一度手に取る。そして椅子に座り読み進める事にした。
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・・
・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
結構読み進めた。この女子高生国王は伸びた寿命で8000飛んで23歳まで生きたらしい。時間軸がめちゃくちゃだな。
「・・・ふぅ。」
そして大きな理解が得られた。この城の事とか、魔族の事とか。国王の事とか。いろいろ。国王は異世界から魔力の収束が極、速い者が選ばれるらしいみたいな事が書いてある。推測だが、と付け加えて。
「・・・そして、これ。」
日記に書いてあった国の危機を乗り切る方法に、大魔法の使い方が書いてあった。ここ魔王の居室にのみ保管してある、大魔法を記した魔導書。大駆除魔法記これを使えとの事だった。実際、この日本語の日記の女子高生国王は3回使ったらしい。
「・・・。」
俺は大駆除魔法記を開いた、中は光が揺らめく魔法陣が書いてある。これに魔力を流せば、極大魔法が簡単に使えるらしい。
「・・・あんまり使いたくは無いな。」
この魔法を使った後始末が大変だったとも書いてあるし、使わないに越した事は無いが・・・危機には使わないといけない。魔法の練習をしなきゃならないな。
「・・・。」
とりあえず、この辺にしとこうか。全部は読めないし、そして多分、2番目の引き出しにあった真っ白な本は俺用の日記だ。俺も書いておかなきゃならないらしい。
「・・・よし。」
引き出しから真っ白な本を取り出し、魔王の居室を出た。メルバとシャサハリールは待っててくれたらしい。
「どうでしたか陛下。」
「陛下、中はどのような・・・?」
「中は歴代国王の日記を置いてある部屋だったよ。」
「そうでしたか。」
「何か得る物はありましたでしょうか。」
「うん。でね、メルバ。」
「はい?」
「魔法の練習、もっと本格的にやろう。」
「・・・かしこまりました。そのように。」
「シャサハリールもありがとう。」
「いえ、また図書館に用事がありましたらいつでも。」
「うん。」
こうして図書館を後にした。そしてその後公務を熟して・・・夜。俺はまた図書館の魔王の居室にいた。
「日記・・・読めるだけ読んでおかないと、自分のも書かないといけないし。」
さくっと日記を書いて。他の国王の日記を読む。とりあえず日本語の女子高生国王の日記だ。読み進めたらわかったんだが、この女子高生国王は7代前の国王らしい。本当に時間がめちゃくちゃだ。
「この魔界で、もしかしたら周期がある災害とか疫病があるかもしれない。それは他でも研究してるだろうけど・・・この日記で手掛かりを見つけておかないとな。」
夜の帷がすっかり落ちて、ランプの灯りで日記を読み進めるのであった。




