第四話 行ってきます
今回はラル視点で書いてみます。以後ラル視点で書くかも。
誤字脱字あったらごめんなさい。
あれからまた二日過ぎ、現在昼間。晴天、雲一つない。
父さんは四日で俺達の用意を済ませてくれた。だが、四日も何を用意していたのだろうか。馬車、食料、金、その他色々。まあ、いずれわかるな。
そういえば俺が国から離れるってことは父さんがうまく伝えてくれたらしい。感謝しないとな。
今、家族全員と、何人かの騎士と一緒に町の正面門にいる。この門は町の出入りに一番よく使われる門だ。他にも東門と西門がある。 ちなみに正面門は北だ。で、城が南。それを囲む形で城下町が広がっている。
さて、
旅に出るってことで、俺達は旅用の服装に着替えてきた。母さんの友達で、仕立屋の人が余った布と革で作ってくれたらしい。
作ってくれた服はなかなか完成度が高い。余った布で作ったとは思えないほどに。
その服は、俺が嫌いな、いつも着ている貴族感が全身から滲み出てくるような高貴な物ではなく、もっと軽くて、涼しくて、ちょっと汚くて、いかにも旅用な感じですぐに気に入った。
まず、俺の格好は澄んだ灰色の上着に、膝くらいまである革のコート。腰にまたも革のベルト。黒の少し膨らんだシルエットのズボンに黒のロングブーツ。フードがあれば雨風もしのげたと思うけど、贅沢言っちゃいかんな。
フィーは、なんだか短くしたドレスみたいだ。
中に白の短いシャツ、その上に黒のドレス。胸元が少し見えて谷間が神々しい。スカートは元々長かったと思うが、今は膝ぐらいだ。ちょっと動きにくそうだが、まあ可愛いから良しとするか。
そんな冒険者風の服装に身を包んだおかげでテンションが上がってきた。フィーもさっきから落ち着きがなさそうに、ピョンピョン跳ねている。
フィーゼルさーん、揺れてますよー
「さーって、いよいよだな。」
フィーの方を向き、笑顔で言う。すると跳ねるのをやめ走って近づいてくる。
「うん!楽しみだね!」
と、背伸びして、顔を近づける。
今日もお顔が近いです。お嬢様。
そんなテンション上がってる俺らに空気が読めない父さんが軽い足取りで現れ、注意してきた。
「だが、旅には様々な困難か付き物だ。過信して行動するなよ。なにかあってからでは遅い。」
へいへい、わかってますよ。と、心の中では無愛想に返したが口では素直に はい、父さん と無駄に丁寧に返答した。奇妙な物を見るような目で見られたが気にしない。
「馬車には色々役立つ物を積んでおいた。一ヶ月は食料には困らんだろう。」
なぬっ?一ヶ月?
「一ヶ月って……どんだけ保存できる食料だよ、なんか心配だな………」
「なーに、心配いらん。そこまで不味いもんではない。」
「どうだかっ」
苦笑混じりに返してやった。信用できんな…この笑顔。
その後も母さんも混じえて、会話していたら、若い騎士二人が、大切そうになにか父さんに渡した。
それをもらって、父さんはなにか思い出したような顔した。
「おっと、そうだ二人とも。これを持ってけ。」
そう言い俺とフィーに差し出してきたのは、長く、細い剣一本と、鞘に銀色の装飾がある六十センチぐらいの刀身が湾曲した短剣だった。
「これは?」
プレゼントだとは思うが、聞いてみる。
「俺と母さんが昔使ってた物だ。これをお前たちに使ってほしい。」
昔使ってた、てことはまだ父さんたちが若くて騎士だった頃の物かな?結構大事な物なんじゃ……
少しだけ、鞘から剣を出してみた。
綺麗な刃だな、ピッカピッカじゃん。ホントに昔から使ってたのか?
いや、でも見たことあるなこの剣。
俺とフィーは七歳の時から、俺は剣術、フィーは護身短剣術を習っていた。俺は才能があったみたいで、あっという間に騎士全員ボッコボッコにしてきたけど、フィーはどうなんだろうか。といってもフィーの習っていた護身短剣術は、受け流しと防御がメインの、悪魔で自分の身を守るためにある初歩的な剣術だ。そう難しくはないと思う。
剣をしまい、腰のベルトに引っかける。
少し重いけど、なんか安心感があるな。
「ありがとう、父さん。大切にするよ。」
「あぁ、間違っても折るなよ?」
「そこまで、弱くないよ?俺は。」
そうだ。なめてもらっちゃ困るってもんだ。剣術だけは自信あるからな。父さんには勝てないけど。
続いてフィーにも短剣が渡された。
あの短剣は、母さんの部屋にいつも大切そうに置いてあった物だな。
「ありがとう!でもいいのかな?大切な物なんじゃないの?」
フィーの心配に母さんは女神の様な笑顔で受け答える。
「大切な物だからこそよ。フィー。」
流石母さん。言うことが違うぜ。
「そっか、ありがとう!大切にする!」
言うとフィーは母さんにハグし、胸に顔を埋める。
ふと、その光景を見て思った。
こうやって美人が二人も並ぶと、なんか目の保養になるな。まあその内の一人は僕のものですが。
なんて思ってる俺のところに、中年の騎士が後ろからなにか言ってきた。ったく、なんだよ。今楽しいとこなのに、このジジイめ。
「王子、そろそろご出発なされたほうがよろしいかと。」
おっと、そんな時間か。悪かったなジジイ。
「ん。わかった。だってよ。」
聞こえていたであろうが、三人に向かい言っておく。
「うむ。では、気をつけて行ってこい。」
「頑張ってね、なにかあったらすぐ飛んでいくからね。」
「はいはい、ありがと。」
母さんの場合、風魔法でピューン!だからな。いつ来たっておかしくないな。
あまり心配かけないよう、安全に旅をしよう。
「んじゃ行ってきます!」
「行ってきまぁーす!」
二人で気合を入れ、馬車に飛び乗る。それを確認した馬手が手綱を引く。すると馬はゆっくりと蹄を鳴らし街道へと歩みだす。
母さんと父さん、それにその場にいた騎士数十名。と市民の皆。合わせて百人ほどに見送られた俺とフィー。名残惜しそうに手を振ってくる皆が見えなくなるまで手を振り返し続けた。
やがて町も見えなくなって、馬車の布を閉じ、改めて馬車の中の大量の荷物を確認してみる。
「こりゃとんでもねぇな………」
「これはちょっと………」
食料、金、地図、テント、寝巻き、さらに魔法書まであった。他にもたくさん綺麗に山積みになっている。
「一ヶ月どころか、数年困らんな、これは……」
「だね」
苦笑いで返してくるフィー。
だが、本当にこれはありがたいな。金も見たことないぐらいの金貨の数々。ちょっと銀貨も混ざってる。食料は、ちょっと旨くなさそうな牛肉や、野菜五種類ぐらい、その他、木の実や果物もあった。
「ご丁寧に調味料までありやがる………」
食料が入った袋のよこにチョンとおかれていた七つの調味料。
「城で食べたフルコース作れたりして。」
「冗談抜きでいけるな。」
作る気はもちろんないぞ。料理はしたことないし。
その後も確認するだけでも大変な量の荷物を探っていくと、小物が入った木箱の中に手紙が一枚あった。
「これ……」
「…………」
無言で開いてみた。フィーも顔を俺に寄せて手紙を見る。
手紙の内容はこうだ。
最近イチャイチャしている二人へ
ラル、フィー、元気か?
まず、お前たちの最初の目的地は「オータリア」という東の国だ。オータリアは、人種関係なく人が最も集まる国だ。そこで名声をあげて有名になれ。手段は問わん、だが罪を犯すようなことはするなよ?
オータリアはかなり遠い。着くまで速くて一ヶ月と三週間だ。
食料は一ヶ月分だが、着くまで、町や村は幾つか通るだろう。俺の与えたメシが不味かったら他のを買うといいさ。
では、旅の無事を母さんと祈っているぞ。
アルロス・フォーゼン
エルミナ・フォーゼン
他にも色々書いてあったが、後で読むことにした。
「色々気になる記述はあったが、まあ触れないでおいてやろう。」
フィーが顔を赤くしていて可愛かったので十分だ。
にしても一ヶ月も掛かるのか。
こりゃ長旅になるな。でも焦っちゃいかんな。この前、十一人目の勇者は後先考えず行動して後悔して苦労したっていうことを、本で読んだ。そんなことにはなりたくないしな。慎重にいこう。
ちなみに俺は五十一番目の勇者だ。中途半端でなんかやだな。
「さあ、フィー、メシでも食うか。」
「うん!あ、僕これ食べる~」
「む、それは俺のだ」
「え~僕のー!」
それに、
俺はこいつを守ってやらなくちゃならない。大変だな。
でもまあ、これからどうなるか楽しみじゃねぇか。
次回からが本番って感じです。
頑張って書きます!
ラルとフィーの服装はドイツとかヨーロッパの民族衣装っぽい感じのイメージです。




