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第二話 勇者バンザイ!

時間があったので、今日、書きました。

勿論、日曜日にも投稿します。

第二話

勇者バンザイ!


「よっとっ!」

「どおわぁ!」

 ラルの剣から放たれた鋭い一閃を避けきれなかった若い騎士が腹を抱えながら倒れた。勿論、使っている剣は木剣だ。

「いっててて……」

「ごめん!大丈夫か?」

「はい、問題ありません。それにしても、王子の剣は恐ろしく速い。とても敵いません。」

 と、騎士。

 ラルは剣技に関しては天才だ。九歳にして、城の精鋭騎士を五人まとめて倒してしまったほどに。

 現在ラルは、城内の中庭で一人の仲の良い騎士と共に剣技の特訓中だ。最初はラルの特訓のはずだったのだが、技量、力量共にラルの方が圧倒的に上なので、いつしか相手の騎士の特訓となってしまっていた。

「そらぁ、それぐらいしか俺取り柄ないしな」

「そうでしょうか?王子はとてもいい人です。」

「ほうほう、他には?」

 少し調子に乗り始め、笑顔で問う。

「優しいです。」

「ほう」

「話しやすいです。」

「ほうほう」

「イケメンです。」

「君将来、精鋭騎士になれるよ、うん。絶対。」

 上機嫌になり、騎士の肩をポンポン叩き宣言した。

 騎士の方も笑って礼を言う。

 今日も城内は平和だ。






 魔王誕生まであと、五年と二日。




 七月十八日、朝八時。ラルの自室。

 コンコンッ

「んー?誰ぇ?」

「母さんよぉー」

「どうぞー」

 部屋に入ってきたのは、ラルの母親の「エルミナ・フォーゼン」だ。銀髪で、フワフワしたセミロングの髪。まつげの長い、紫のおっとりとした垂れ目。170センチほどの身長で、巨乳。息子がマザコンなら襲いかかっているであろう美しい容姿だ。

「どしたの?」

「ちょっと話が、あるのよ。」

 言うと、ラルの横たわっているベッドに腰かける。

「さて、ラルはもう勇者になるの決定なのよね?」

「うん、昨日決まったね。」

「それじゃあ、お父さんの後を継げないのはわかるよね?」

「うん」

 王子はいつか王になる役目がある。無論ラルはなれない。ラルは第一王子なため王位継承権は一番高かったわけだが。まあアルロスは元からラルのことを王にする予定でいたようだが。

「それじゃあ、あなたはもうそのことに関しては自由よ。」

「え?う、うん。で?」

「もー!わかんないのぉ~?つまりぃー」

 間を置き、一番大事なことを大きめの声で言う。

「“フィーと結婚していい”ってことよ!」

「あ……!」

「ようやく気づいたー…」

王子、すなわち未来の王は決まった相手と結婚する掟が存在する。決まった相手というのは、代々この国の王妃をその家系から出している「ローシアルト」という家系の相手だ。

 だが、ラルは例外だ。もはや王になることは絶対にない彼には妃は誰だろうと構わないのだ。

「母さん」

「はぁい?」

「明日結果を報告するよ。」

「ウフフッ、期待してるわ。それじゃ、母さんやることがあるから、部屋に戻るわね。」

「うん。」

 彼は今、最高にみなぎっている。身体中から活力が湧き出てくるのを感じる。

 解放された欲の塊。彼は今それそのものだ。

「勇者バンザイ!俺バンザイ!」

 もう彼を縛るものは何もない。






 そして翌日の朝。

 欲に満ち溢れた獣は獲物が側にくるのを静かに待っていた。

 (よし………今は七時、もうすぐだろう………)

「フッフッフッ…………」

 不適な笑みを浮かべる獣。

  ガチャ………

 (来たっ………!)

 ドアノブを倒す音。

 獲物は着実に腹を空かせた獣に近づいていく。

 彼女はまたしても上裸だ。その豊満な膨らみを確かに揺らしながら近づいてくる。

 ラルは限界ギリギリだ。

 (そうだぁー……!来いよフィー、いつものようにさ…フフフ……)

 もはや若干犯罪者の臭いがしてきたラル。布団に隠れ、ニヘっと、不適な笑みをまたしても浮かべる。変態だ。

 そして、ついに。

「ラぁルぅー!おっはよぉー!今日も来たよぉー!」

 と、腹に乗っかってくる。

 まだだ、まだ彼は寝たふりをしている。

「んー?おーい、おっきろー!……もう、そしたらぁー」

 顔を近づけるフィー。

 その距離を薄目で、確認するラル。

 あと三十センチ。

 二十、十五、十……

「…………!!」

 彼は静かに唇を重ねた。

 驚いたのか、目を見開いて動けない様子のフィー。だが、次第に身体の力は抜けていく。

 随分と長い口づけを離すと、顔を真っ赤にしたフィーがそこにいた。

「ど、どうしちゃったの?ラル…」

 頬に、両手をあて、横を向いてしまう。

「どうしたって?そりゃ、簡単だ。俺はもう縛られてない。って言えばわかるかな?」

「え?…………!!」

 驚き、口に手をあてるフィー。

 感激のあまり涙が出てきたようだ。

「そう、…なの?……じゃあ、……僕と……」

 最後までは言わなかったが、意味を理解するには十分であろう。

「あぁ、あったりまえだ。結婚しよう。」

 あまりにもあっさりとしたプロポーズだ。それもこんな体制で。

「はい……」

「成立だな。」

 ラルの顔にはもう、欲に満ち溢れた獣の姿はなかった。

「それじゃあ……」

 がしっ

 いや、獣だな。

「きゃ!…ラル?」

 掴んだのはフィーの豊満な胸。そしてそれを掴んだまま押し倒す。

「フィー、大好きだ。」

「え?いやぁぁぁぁぁぁぁぁああん!!」

 このあとしたことは、まあ、言えないのでね。

 ご了承を。






 数時間後。

「もう、ラルったら!雰囲気とかムードってもんがあるでしょ!ケダモノ!」

「ケダモノはちょっと言われたくないかな。」

 行為を済ませた二人は、アルロスに昨日から呼ばれていたため、王の部屋へ向かう。

 ん?行為ってなんだよって?

 それは言えないよ、ケダモノ☆







「父さん、来たよー。」

「おう。入れ。」

 二人は部屋に入り、ソファーに並んで座る。

「今日はどうしたの?」

「あぁ、先日言った“特魔法”のことだ。」

  特魔法。

 それは、太古の勇者から続いている勇者の切り札。

 なにかをきっかけにそれを覚え、魔王を討伐してきたと言われる。

 魔法の形状、種類は勇者それぞれ毎回違ったという。

 大陸一つを飲み込むほど巨大な炎。

 あるいは、全てを巻き込む竜巻。

 あるいは、海の水をほとんど凍らせてつくりあげた巨大な氷の槍。

 と、まあ人類に迷惑をかけること間違いなしの超特大魔法だ。

「特魔法を取得する方法はやはりわからん。そこでだ。」

 机に肘をつき、言う。

「お前、旅に出てみないか?旅にでて、特魔法のことや、先代の勇者のことを知ること、それにお前自身の成長のためにな。悪くはないと思うが、どうだ?」

「ほうほう………旅。」

「え!?ラルぅ………」

「大丈夫。」

 今にも泣き出しそうなフィーの頭を撫でてやり一旦落ち着かせる。その光景を見てアルロスは小さく笑みを浮かべたが、ラルは気づかず続ける。

「俺は正直、行きたい。」

 それを聞いてフィーの顔がまたしても歪むが、ラルは頭を撫でながら続ける。

「でも、こいつも一緒に連れていきたい。」

「そうかそうか。大丈夫だ。想定内だ。」

 驚きはせず、むしろ歓迎といった様子だ。

「フィーは王族じゃないし、母さんとも話はつけてあるからな。」

「おー!そいつは話が早い!」

 ラルも、勿論フィーも喜んでいる。

 アルロスはもう一つ加えてきた。

「それに、お前らは離れる訳にはいかないのではないか?」

「うっ………」

 赤くなる二人。それを見てやはり笑いをこらえられないようだ。

「ハッハッハ!それじゃあ、なおさら決まりだな。」

「あぁ、勿論最初からそのつもりだ。」

「ぼ、僕もだよ!」

「ふっ……よろしい。」

 椅子から勢いよく、音をたてて立ち上がる。

「では一週間以内には用意をこちらで済ませておく。お前らは風邪でもひかぬよう、おとなしくしていろ。」

「へーい。」

 素っ気なく返したが、その表情は非常に活力に満ち満ちている。勿論二人ともだ。

 だがここで、意表を突かれることになる。

「ところでお前ら。」

「ん?」

「朝になにしてた?」

 二人は赤くなった顔を見合わせ、凄まじい速さで部屋から出ていった。




 こうして、ラルとフィーの二人は、旅に出ることが決定した。




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