第一話 人生が変わる日
初投稿で、まだまだ未熟ですが、頑張ります!
あ、リア充系なお話なので、爆発しろぉぉ!リア充どもめがぁぁぁー! となる人はご注意下さい。
お楽しみいただければ幸いでございます!
第一話
人生が変わる日
右手にある、細い銀色の剣を振るう。
黒みがある紫色をした鎧を全身に身につけた、体長五メートルほどの大男、いや巨人に向かって。
………ん?またこの夢か。最近多いんだよ………
巨人のすね辺りに走っていき剣を突き刺す。大量の血しぶきとほぼ同時に巨人は野太い叫び声を上げ、痛みに耐えるかのような素振りを見せ、踏みつけで応戦してくる。
………あー、そろそろ“覚めて“くんないかなー………俺コイツの顔嫌いなんだよ………
すると、巨人と戦っている光景が段々と歪んできた。
………おー?そろそろだな、よっし………
少年は目を瞑り、身体の力を極限まで抜く。
世界は暗転し、音が遠ざかっていく。そしてやがて……
「ーい」
…ん?……あー、アイツの声か……
「おーい?早く起きないと色々しちゃうぞ~?」
「しなくて結構だ。」
無愛想に目を閉じたまま、言う。
「お断りしまっすー!」
目を少し開けてみると、金髪の美少女が、顔をゆっくりと近づけてきている。
「おい」
少年の、またも無愛想な返答。少年は美少女の額を左手で止め、やや睨みながら目を合わせる。
「もー!せっかく僕が夜這いに来てあげたっていうのに~!」
「もう朝だよ。」
「まあまあ、気にしない気にしない。」
乗っかってくる美少女、「フィー」の身体を布団と共によけ、上半身を起き上がらせ、もう一度フィーの方に目を向けてみた。
すると…
「はあ……お前なぁ」
「ん?なにぃ?」
「服を着ろ、服を。」
「やだなぁ、着てるよ~下だけ。」
「そういう問題じゃねぇ!」
現在の状況をまとめるとこうなる。
上半身素っ裸の美少女が同い年くらいの少年に抱かれている…ようにしか見えない。
この現在上裸の美少女は「フィーゼル・ヴォイデ」。その容姿は、神々しささえ感じるまでに美しい。腰辺りまで伸びた、黄金色の長髪。歳は十六とまだ若いが、その歳以上に幼さを感じるような顔立ちだ。大きな蒼色の眼が特徴で鼻は高め。唇は薄桃色に可憐に輝いてる。
この幼さ残る顔とは裏腹に彼女の身体は反則級なまでに大人だ。
体格と身長は低い方だが、腕、脚は少し頼りないほどに細めで、ウエストは見事な曲線を描いている。そしてなにより存在感をかもしだしているのが、顔の幼さとも、体格とも釣り合わない、胸部の常人を遥かに上回っている両の膨らみ。
「とりあえずよけろ、さっさと用意したいんだよ、俺は。」
「ちぇ、つまんないのー。」
不機嫌そうに、身体を横に回転させ、ベッドから降りる。
改めて見ると、本当にパンツを履いているだけの、上裸というより、もはや全裸に近い。幸いというべきかその大きな胸の頂点は長い金髪が上手く隠していた。
「じゃあ、ラルぅ!後でいっぱいしようね!」
語尾にハートでもつけたくなるほど、可憐にウインクを決め、扉を開け、出ていった。
「お断りだ……とでも言うと思ったかよ!」
一人になり、感情を爆発させる、少年ラル。
「俺だってぇ本当はしてぇよバカヤローぉぉぉ!」
その大声は十畳ほどのこの広い部屋全体に響き渡った。
王城アルクリア、王の自室前。
「父さん?入るよ。」
着替えを済ませた、ラル。父に呼ばれ部屋まで来た。
着替えたラルの姿は十六の男子とは思えないほど、実に 綺麗 という言葉似合うものであった。
整った、少し前髪が目にかかる程度の長めの丸いシルエットの茶髪。
蒼色のややつり目気味の両の眼は、決して人を不愉快にさせる雰囲気は無く、不思議な優しさが感じられる。少しダルそうではあるが。
全体の印象はどちらかと言えば、女子に近い要素が多く見受けられる。身体も華奢な方だ。
そんな女の子じみたラルは父の姿を見るなり驚いた。
「ど、どうしたの?父さん。珍しくちゃんとした王様の服じゃないか。今日はなにかあるの?」
椅子に座っているのは、ラルの父、「アルロス・フォーゼン」。
息子とは正反対にこっちは男前なおっさんといった感じだ。
短く刈り上げ、逆立った髪、もみあげからのびている短めだが立派な、存在感のある髭。この両方ともラルと同じ茶色だ。
顔全体は少し縦長な輪郭で、なにより特徴的なのが、鋭い両目だ。眉は常に少しよっていて、睨んでいるかのようだが、碧眼という優しい色合いからか少し落ち着いた様子も見てとれる。
だが「王様」、というよりかは、「山賊」とでも言うべきルックスだ。
アルロスは、いつもは部屋着とも呼べないような、パンツ一丁やら、鎧を着たままだったりする。フィーが服を着ていなかったのも単に面倒くさいのもあっただろうが、父に似た、というのも十分に考えられよう。
そんなアルロスが今日に限っては王の正装を身に纏っていた。
大きな赤のマントが目立つ、赤基調の金の装飾が施された、いかにも王様といった超、派手な格好をしている。
「あぁ、今日はお前にとって、ちょいと重要な日でな。」
「俺?なんで?王子なって十周年記念!的な?」
「あほぅ、そんな宴は俺の国にはねえよ。」
「アハハぁ、そうですよねぇー…でも、一体なんなんだ?いつもと様子が違うじゃないか?」
髭面の王、アルロスは、そのラルにも劣らない鋭い眼差しをいっそう光らせ、低く唸るような声で続けた。
「お前、最近同じ夢ばかり見ていないか?」
「え?あーうん。見てるけど、何で知ってんの?…」
「俺を誰だと思ってる?緩んだ思考回廊に入り込むのなんかこの歳になろうが、容易いことだ。」
「おーおー、怖い怖い。それで寝ている相手以外に出来たら鬼強なのに。」
皮肉混じりに返すと ほっとけ とそっけなく返された。
アルロスは昔、王であり、英雄だった。まあ、その事に関してはまた次の機会に話すとしよう。
「んで?俺のあの夢がどうかしたのか?」
「どうかしたから呼んでいる。いいか?これはとても、なによりも重要なことだ。よく聞けよ。」
父のやはり違う重たい雰囲気から、ラルは威圧感を感じていた。
「あ、あぁ、なんだ?」
「お前が見てきたその夢は、「誕勇夢」と呼ばれるものとみて、まず間違いないだろう。」
「たんゆうむ?なんだよそれ?」
一言そう言われただけでは理解が出来ない単語に戸惑うラル。だが、その戸惑いが払われるのはほんの数秒後だった。
「結論から言おう。お前は今から勇者だ。」
「は?」
一瞬、何を言っているのかサッパリわからなかった。
「勇者?魔王をぶっ飛ばして世界救うアレか?」
「そう、アレだ。ちなみにラル、お前勇者ってのはどんなやつが、どうやってなるか知っているか?」
「い、いや知らねぇーよ。」
唐突な質問に慌てて返答する。無論、ラルはその答えはわかっていない。
「だろうな。じゃあまず、さっき言ったお前が見た夢、誕勇夢のことから説明する。」
机に肘をつき、リラックスした体制で話を続ける。
「誕勇夢、勇者が誕生する夢と書く。この夢は、勇者に選ばれた者しか、見ることはない、特別な夢だ。その夢の内容は誰が見ようと決まっているという。その内容は」
「内容、は…?」
話を聞いていくうちに段々緊張感を持ち始めたのか、猫背の状態で、やや前のめりになりながら集中して聞き続ける。
「魔王と戦っている場面だ。お前の夢に出てきたあのでけぇじじぃはきっと魔王だろうな。」
「な………」
「驚くのも仕方ないな…急に勇者になって魔王を倒してこいって言われても無理なのは当然のことだ……」
冷や汗が額から流れる感覚をはっきりと感じた。
勇者というのは、常に命の危険がまとわりつくものだ。それ故、魔王を倒すなど、誰もが簡単に成し遂げられるものでも当然ない。今ラルは、突然それになれ、と言われているのだ。嘘だと思いたいが、父の目に偽りの色は見えない。
ラル自身も勇者誕生は急に訪れるものだということは知っていた。だからこそ、余計に嘘ではないと思えてしまう。
沸き上がってくる様々な感情。
驚愕、恐怖、不安、ましては絶望という言葉まで、脳裏をよぎった。
「………なあ………父さん……」
「なんだ…?」
「もし俺が、勇者にならなかったら、どうなる?…」
「五年後に現れる魔王に一週間もしないうちに世界をぶっ壊されるだろう……遅くても二週間だな。」
やはり、
やはり絶望という言葉は消えなかった。それどころか、大きくなって脳内を埋め尽くしている。
「五年後?俺が二十…一のときか……ああ……」
項垂れ、俯き、もう一つ質問しようとしかけたとき、先にアルロスが口を動かす。
「だがな、ラル。お前が勇者に選ばれたということは、お前はもう、今までのお前じゃない。」
「いま、までの…俺じゃ、ない?……」
顔を少し上げ、アルロスの方に視線を向ける。
「そうだ、いまのお前は王子としてのラルララク・フォーゼンではなく、勇者としての、お前だ!」
声を上げ、ラル、ラルララクの肩を両手でガシッと掴み、言い放った。
「つまり?……」
「つまりお前は、魔王に唯一対抗できる力、“特魔法”をもう手にいれているはずだ!」
「特魔法?……俺がそんなもんを?」
表情こそ変化しなかったものの、ラルの中の絶望の二文字は徐々にアルロスの言葉により、薄れてきている。
「そう。だがそれがなにかは俺にも、まだわからない。だが、あと猶予は五年もある!その五年の間に見つけてやればいい!その事に関しては俺ももちろん協力する。」
「………」
黙りこむラル。だが、次にその口から発せられた言葉は、諦めの嘆きではなかった。
「なあ、父さん…俺がもし、その特殊な魔法を使えるようになれば、俺は魔王にぜぇったぁいに、勝てるのか?」
いつもの調子が戻ってきている。
その様子に、アルロスも口元を少し緩める。
「あぁ、先代の勇者達は、その魔法を駆使し、魔王を討伐してきた。倒せることはまず間違いないだろう。」
その言葉を聞き、ラルの口元も緩んだ。
いや、
もう彼は笑顔だ。
「へっ!おっもしれぇじゃねぇかぁー!いいぜ、やってやんよ!その魔法五年の間にぜぇったいに!覚えて、魔王のことぶっ飛ばしてやんよ!」
「なっ………」
あまりにも予想外の返答に今度はアルロスの方が唖然とさせられた。
「まったく、調子のいいやつだ。フッ……お前がその気なら、もうなにも問題はないな。」
「あぁ!心配すんな!んでー、そういえばその格好は、どうせ俺が勇者になりますよーってことを、国民に知らせるためだろ?」
まったくその通りといった表情で深く頷く。
「けどさ、父さん、それはちょっとやめた方がいいと思うんだ。」
落ち着いた口調に戻り、父の提案を否定した。
「なぜだ?この国から勇者が、誕生するとなれば名誉なことではないか。」
「それはそうなんだけださ、ほら、俺って結構国民と話したりして、なんだかんだ仲良くしてるから、さ。あんまりーみんなに心配かけたくないっていうか……」
「まったく……」
どこまでもお人好しだな、と言いたかったところだが、ラルのことだから理解していよう。と解釈した。
「わかった。」
「ありがとさん。ていうかさ、父さん」
「なんだ?」
唐突に問いかけるラル、その表情は苦笑混じりだった。
「勇者になるって一言に言ってもさ、どうすりゃいいの?」
まあ、当然の疑問だ。
こうして、ラルララク・フォーゼン、ラルは勇者となった。先代の勇者達とはかけ離れたほどの力を隠し持っているとも知らずに。




