第十話 不穏な情報
午後零時。
結局あの後もフィーがしつこく、七時頃までベッドの上。その後昼飯。馬車の中にあったものでてきとうに済ませた。
んで今、街を歩いているわけだ。
さてと、
俺達がこの街でやることはあと二つ。
まず一つ。
オータリアについての情報収集。
もう一つ。
ここから東に向かって一番近い街の場所。
てとこだ。
「さて、どんな人に聞くのが一番かね?」
「旅してる人とかは?」
ほう、なるほど。確かに一番知ってるのは世界各地を回ってる旅人に違いない。
「そうだな、じゃあ行商人にでも聞いてみるか。」
「おー!」
というわけで、商店通りと呼ばれる場所に行ってみた。
数々の露店が立ち並び、祭りみたいだ。店を出しているのは大半が他の国から来た行商人だ。自分の国の特産物だったり、自分の作った武具だったり、この国では手に入らないものを高値で売っている。
「賑わってるねー、それじゃ誰に聞こうか?」
とフィー。
「そうだな、あ、アイツなんかどうだ?」
俺が指差した方向にフィーの顔が向く。
俺が目をつけたヤツは商品がギッシリ詰まっているであろう、デカイバッグを背負った中年のおっさん。足下にカーペットをしき、そこには様々な薬、そしてその薬の材料であろう薬草や液体を置いていた。
「なんであの人なの?そんなに凄くなさそうだけど。」
「まあ、初見はそう見えるな。」
「どういうこと?」
これは本で得た知識だ。
「第二十三番目の勇者、アーベルド・ツォベンは、親戚に薬商がいた。薬商ってのは昔から凄く必要とされてきた存在だけど、まず薬が希少で少なかった。それは今も同じだ。それ故、通常より薬を高値で売ってもちゃんと売れるんだ。病は薬がないと治せないからな。それにー
あのおっさん」
もう一度おっさんの方を向く。
「薬の調合材料までもってるだろ?ほらあれ。」
袋にまとめられた薬草と隣に置かれている得体の知れない液体を指差す。
「調合材料がある。そいつぁつまり、作り方を知っている医者とかにも売れるってこと。売上は二倍だな。あー、んで本題だ。」
「わかったよ。」
「へ?」
唐突に返事されたため、変な声が出てしまった。
「あの人の薬はいろんなところで、いろんな人に必要とされてる。だからいろんなところにいかなくちゃいけない。」
おー、わかってんじゃん。
ていうか、
「フィー、やっぱ最近お前冴えてない?」
すげーよ。お前この何日かになにがあった。何がお前をそんなに変えた?あのバカで変態なフィーはどこいった?いや、今も変態か。
「んー?そんなことないよー?ラルこそどしたの?エッチのことしか考えられなくなっちゃった?」
「アホか!エロいことは頭の中の三割だけだよ!」
「結構あるじゃん。」
冷静なツッコミだ。以前までのフィーなら、“三割”という言葉に反応し、顔で、帰ったらヤろうねオーラを全力で出してくるだろう。
「んふふ、ふふ。」
「ん?ど、どした?」
いや、やっぱ変わってないな。
「らぁるぅ、もうなんとなくわかってるよね?」
「はいはい……」
ご機嫌な顔を若干赤くし、目をキラキラさせている。
この顔は期待と誘惑の顔だ。
「やっぱりお前変わってないわ…」
「んー?なんかいった?」
「んにゃ、なにも。さっさとあのおっさんに聞いてみようぜ。」
「うん。」
別に変わってなくていいんだけどな。いや正直に言おう。
そのままでいてくれ。絶対に。
行商人のおっちゃんは、さすが商売人といった感じで愛想良く受け答えしてくれた。
おっちゃんの情報によると
「そうだねー、ここから東か。それならー……」
懐から地図を出し、広げて俺達にも見せてくれた。
「ここだね。少し遠いけど、見ての通りここが一番近い場所だよ。街の名前は《コルト》。えっーと、君達の装備と容姿の若さからして、山は越えられないだろうね。」
「え、山があるんですか?」
予想外の言葉が出てきた。山か、迂回ルートを進められるだろうから、時間がかかるな。
「あぁ、そうだ。だから迂回しなくちゃいけない。まず、東にずっと進んで、大きい川を渡ったところで一度南側の街道に行くんだ。それで、三個目の曲がり角で東に曲がって、そこからは………」
長い説明だったが、なんとか聞き終えた。
次の目的地はコルト。話によると、あまり治安がよろしくないらしい。なんでも、街で急に絡まれて、商品をほとんど奪われて途方に暮れたことがあるらしい。
そして好都合であり危ないことが一つ。
その街はかなり法律があまい。喧嘩がしょっちゅう勃発するし、拉致とかも普通らしい。
殺さなければいい。
それぐらいのもんみたいだ。
まあ、どんなやつがかかってきても多分大丈夫だろ。俺はあんな形で終わったが、本当の殺ろし合いをしたことがある。殺してないけど。
まあ、なんにせよ正直怖いけどね。
「こと細かくありがとうございます。助かりました。」
「ありがとうございます。」
フィーも頭を下げる。
「いやいや、いいんだよ。若いのに旅など大変であろう。」
いい人だ。世の中捨てたもんじゃないよ!みんな。
「それじゃ、気を付けるんだよ。」
最後にもう一度礼をし、その場を後にした。
商店通りを出て、少し人が少ない通りに入ると急にフィーが腕を掴んできた。
「どうした?」
「怖いよ……」
「あぁ、次の街のことな。それなら大丈夫だ。多分俺がどうにかできるから。」
「多分って……頼りないなー」
むっ心外だな。今まで結構役にたってたと思うけど、俺。
「だいじょぶだいじょぶ。今からそんなんだったら、どうしようもないだろ?前向きにいこう。」
「うん……」
「そーんな暗い顔すんなってー、お綺麗な顔が台無しですぞ?フィー様。」
褒めてやると、ちょっとフィーの表情が良くなった。
「もう、絶対守ってよ?勇者様。」
「勿論でございます。お嬢様には指一本触れさせませんとも。」
ふざけて言ったら、フィーの眉が若干寄った。
「ちゃんと本気で言ってるよね?」
「冗談でこんなこと言わないよ。安心しろ。」
「それならいいけど。」
ちょっと気に入らんが、まあいいか。
この顔は嬉しいときの顔だ。なにも心配いらない。
要は俺が頑張ればいいだけの話。
簡単さ。
その後、オータリアの情報も集めたが、盛んな街というイメージがある、としか返ってこなかった。
さすがにここまで離れた街だと情報は薄いか。
ただ一つ情報としては、あの街は強い冒険者がたくさんいると聞いた。そして、その全員が街のギルドに所属している。
とにかく、そいつらが有名みたいだった。離れたこの街でも知られているぐらいだから相当なんだろうな。
今日はそれぐらいで情報収集は終わった。
宿に着き、今日も二人でベッドに座る。
「よいしょ。あー疲れたー」
勢いよく、ベッドに倒れこむ。
「なに言ってるのさー、これからエッチするのにー!」
躊躇なく上着を脱ぎ始めるフィー。
「お前はそれしかねぇのか……」
「その通りです!」
大きい胸を張って堂々と言った。
「言いやがった……」
明日の体力がごっそり無くなるからほどほどにしてほしいんだが。
こいつ疲れ知らずだからな。
「あー、じゃあこうしょう。今日は一回だ、いいな?」
「えー?なにが、“一回”なのー?」
「センパイ、それは十八禁です。」
「ちぇ。」
ま、予想通り一回ではなかったが。
明日はコルトに向けて出発だ。今回も野宿はするだろうな。
ちゃんと計画を立てていこう。
あ、ちなみに三回しました。
「………らる~……」
「なんでしょうか………?」
「もっかいしよ?」
「キツイっす………」
今回もひy………
次は戦闘でも入れようかと思っています。多分。




