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わーるどいくじっと  作者: いりゅーなぎさ
Episode of "Haiji Kirisaki"
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GAME.6「True or Fake」その6

ミュウが、追放?

……なにが起きているのか、わからなかった。

突然、血相を変えた神凪が姿を現したかと思ったら、なにやら叫び声をあげて、慌ててあの機械に――

神凪はあの機械を抱き締めて泣き続けている。

機械に目を向けてみる。機械には三つのスイッチ。

左のスイッチの上には『神凪明日穂』の名前。右のスイッチの上には『霧崎灰次』、俺の名前。

真ん中のスイッチの名前の部分には、何も書かれていない。

……真ん中のスイッチレバーは上を向いており、『追放』という文字が見えている。三段階のメーターランプは全て点灯しており、その上のネームプレート部分には――何も、書かれていない。

「やれやれ。説明が必要ですか? 『霧崎さん』」

奴が、俺をフルネームで呼ばなかった。

「……教えて、くれ。いったい、なにがあった?」

神凪は、まだ泣き止まない。そして、あの機械から離れようとしない。

「……彼女、霧崎 美優さんが行動に移ったのは、霧崎さんがまつりさんとの勝負を受けた直後のことでした。彼女は自ら追放のスイッチを入れました。きっと自分が偽物と思ったのでしょうね。まつりさんと霧崎さんの戦いが終わり、霧崎さんが勝てば、残るは霧崎さんと神凪 明日穂さん、そしてご自身の三人となりますからねぇ。まつりさんが排除された瞬間にゲームクリアにならなかった以上、まだ偽物は残ってる。そしてそれは自分しかないとでも思い込んだのでしょう」

……ちょっと待て。じゃあ、なんでミュウがいなくなったのにゲームが終わらない?

「あれほど『皆さんで相談して決めてください』と申しあげましたのに、結局それを実行したのは、神凪 明日穂さんと吉法師さんだけでしたねぇ」

神凪が吉法師と相談していた?

「知っていましたか、霧崎さん? 吉法師さんと神凪 明日穂さんは、このゲームの本当のルールに気付いていたということに」

本当のルール? なんだ、奴はなにを言っている?

……奴の言葉が、頭に入ってこない。……目頭が、熱い。視界が、ぼやけてくる。

「……どうやら、ゲームの続行は無理のようですねぇ。残ったお二人がそれでは、もうゲームになりませんよ。――では、ネタばらしといきましょうか。今回のゲームは霧崎さん自身が偽物のプレイヤーであることに気付けるかどうかが攻略のカギでした。吉法師さんはそれにいち早く気付き、さらに本物のプレイヤーである神凪 明日穂さんと連絡をとってその事実を伝えました。神凪 明日穂さんは、面識もない吉法師さんの言葉を信じ、ゲームを無事終了させるために霧崎さんと戦う覚悟を決めたというのに、肝心の霧崎さんがそんなのでは、妹さんがゲームを放棄してもなにも言えませんよ」

……俺は、その場に泣き崩れる。

「ちなみに、今回の本物のプレイヤーは神凪 明日穂さんと霧崎 美優さんでした。そして、本物のプレイヤーである霧崎 美優さんが追放となったので、今回のゲームは終了です。……では、霧崎さん。また次のゲームでお会いしましょう。そして、神凪 明日穂さん。今度はメインプレイヤーとしてお会い出来ることを楽しみにしておりますよ」

俺たちは、今回のゲームの世界からの脱出に成功した。


――かけがえのない存在を、失って。


現実へと戻された俺は、部屋を飛び出し、ミュウの部屋の扉をあけた。

そこに、ミュウ姿はなかった。

家を飛び出し、学校に向かう。

教室に残っていたミュウのクラスメイトにミュウを知らないかを聞いても、『先に帰った』としか聞くことはできなかった。

学校からの帰宅途中にある、あのゲームセンターにも足を運んだ。

当然ながら、World Exitのゲーム筐体は確認できず、店員に尋ねても『知らない』としか返ってはこなかった。

俺は神凪の家を訪ねた。

玄関のチャイムを鳴らすと、瑞穂さんが出てきてくれた。

ミュウのことを聞いてみる。……返ってきた答えは、他に聞いた人と同じ、知らない、見ていないだった。

俺は神凪に会いたいと申し出た。

……瑞穂さんは少し考え込んだあと、俺に教えてくれた。

なにがあったかは知らないが、神凪は泣きながら帰ってきた直後、部屋に閉じ籠って誰にも会いたくないと言っていると。


神凪の家を後にした俺は、ミュウが行きそうな場所で思い付く場所すべてをまわった。

ミュウの知人全てにも聞いて回った。

だが、ミュウを見つけることはできなかった。


翌日も俺はミュウを探し回った。

そこで俺は、さらなる絶望を知ることとなる。


それは、ミュウとの関わりが浅い人は、ミュウの存在自体を忘れてしまっているという、残酷な事実だった。


月日が流れてもなお、俺はミュウを探し回った。

――今ではミュウの親友だったギコでさえ、ミュウのことを忘れてしまっている。

それでもまだ、俺はミュウを探すことを諦めない。


たとえ、それがもう一度あのゲーム『World Exit』のゲームに参加することとなってもだ。


しばらくして、World Exitのゲームの世界に、とある仮面をつけたプレイヤーが現れ始めた。


その仮面のプレイヤーの名前は『Ash』


その正体が何者なのかは、明かされていない。



to be continued 『Episode of "Ash"』

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