第7話 校長室
見合いの釣り書が来てから興奮したのか、眠れない夜を迎えたが何とか早朝に起きて、アッキーと一緒に黎明ヶ丘高等部入学式に参加した。
退屈な式に途中で何度も居眠りしそうになったけど、気力で耐えて、何とか入学式を終えた。
そして新しい学年とクラスで新しい先生や中等部まで一緒だった人や、高等部に新しく入学したクラスメート達に挨拶をして、その日はお開き…とはいかず、私はそのまま校長室へと向かった。
春休みに届いたお見合いの釣り書の件で呼び出され、新しい先生に放課後に校長室に向かう様に言われたからだ。
釣り書で見た写真のあんなに綺麗な人が、本当に私にお見合いを申し込んで来たのか、不安になってアッキーに着いてきて貰った。
「失礼します、新城由貴です」
「失礼しまーす、暁山栄子です」
「ん? 暁山さん?私は新城さんだけを呼んだはずだが……」
「あっすいません、アッキー…暁山さんには私が不安だからと着いてきて貰いました」
「邪魔はしません、後ろで見てて良いですか?」
「…うむ、よかろう。暁山さんもソファに座りなさい」
校長先生に許可を貰ってアッキーと手を繋いだまま、校長先生に置いてある応接ソファに座る。続いて校長先生が席を立つと、向かい側のソファに座った。
「新城さんが不安がるのも当然の事でしょう。何せ私も長年高等部の校長やってて初めての事で少し動揺しています」
「あの…何で特殊討伐隊の方が私にお見合いを持ってきたのでしょうか?」
「それは本人に聞かなきゃわかりませんが、身元調査は徹底して調べました…本人は幾らでも近辺調査しても構わないと、此方が望む書類を提出して貰いましたが、何処も瑕疵は見当たりませんでした…ただ」
「ただ?」
「出生や高校までの経歴は観覧制限無しになってました。特殊討伐隊に居る以上、犯罪歴は無いのですが生まれだけは分かりませんでした」
「生まれがわからない…」
何か一気にミステリアスになってきたぞ?唯でさえ黒い狐の九尾の半神で、特殊討伐隊の一員で容姿端麗なのに、更に属性を盛るのか。
「九尾の半神ってだけでかなり家系が絞られてますよね。こっちで調べても良いですか?」
「余りプライバシーに関わる事を一生徒が調べるのはちょっと…」
「一生徒じゃなくて暁山家の跡取りだもん。それに大好きなユッキーには相応しい人がお見合い相手になって欲しいし」
「そういうのはこれから新城さんと鈴木さんがお会いして、ゆっくり話し合いをして決める事です」
校長の返答にアッキーが頬を膨らませながら、私に抱き着いた。アッキーの申し出はかなり有難い…何せ何故高等部入学したての私に、お見合いがくるのか本気で意味不明だからだ。
「大丈夫だよユッキー、もしユッキーの見た目だけ気に入った変態野郎だったら、アタシが捻じ伏せるから」
「有難いけどアッキーの身が危ないから気持ちだけ受け取っておく、見合い理由がアレだったら私の方から断るから」
「ならユッキーが嫌がってもしつこく言い寄ってきたら、叩き潰すから」
「暁山さん、なるべく穏便にね」
私に過保護なアッキーの言葉に校長が思わず苦笑いを浮かべる。にしても本当になんで私を選んだのかな…?
「それでは失礼します」
「失礼しまーす」
「はい、週末の報告を待ち望んでおります」
そう言って私はアッキーと共に校長室を後にした。
…週末、か。一体どんな人なんだろう…設定過多過ぎて人物像が掴めない。
そんな不安な気持ちを汲み取ったのか、アッキーが腕を絡めてきて「放課後いつもの喫茶店行こう」って誘って来た。こういう時、友人の存在が有り難く思う。
早乙女?そんな奴は居なかった。




