第16話 枯れない恋心※アッキーSide
好き!好き好き好き!アタシの方がユッキーを愛してる!!
「アタシの方が先に好きだった!」
なのに!アタシですらユッキーの花を食べた事ないのに!ユッキーのタイプの見た目だからって、辛い修行から逃げ出した癖に!何で赤い花を食べさせて貰えたの!?
「うぉぉおおおおっ!!」
何度も力任せに、けど幼少期から身に付いている体捌きで鈴木に蹴り技を繰り出すけれど、全部流れを変えられていなされる。砂利と石が宙を舞う。
掴み技に入ろうと手を伸ばすと腕を掴まれ、鉄扇を使って梃子の原理で捻られ、激痛が走ると共にこれ以上は折れると危険信号を察知して、手を離してから自ら身体を回転させて、鈴木から逃れる。
身体を回転させた際にギュルルッと風を切る音が響いた。
分かってる、これは単なる八つ当たり何だって、見当違いな怒りだなんて分かってる。
でも…でも!
「アタシが先に!ユッキーが好きだったのにぃ!!」
失恋の痛みが心を刺して、身体を動かす原動力になる。
でも分かってる、アタシが軽いノリで大好きって言ってたからユッキーも返してたって。
最初から男として性を選んで早乙女と殴り合いの喧嘩をして、ユッキーに告白してたら違う未来があったかもって。
でもユッキーと色々試して笑い合った日は否定したくない。『アタシ』を選んだ事に後悔はない。
でも…。
「それでも納得出来ないぃぃぃいいいいいっ!」
思いの丈を叫びながら、鈴木に攻撃を仕掛けて、躱されて、いなされて、体力に限界が近付いてきたからアタシは、最後に神力を込めて最後に蹴りを食らわせる。
「アッキー!」
遠くでユッキーの呼び声が聞こえた。それに気を取られて見れば、ユッキーは涙目だった。
「全て吐き出せたか?」
「!」
今度は躱すこともいなす事もせず、鉄扇で蹴りを受け止められて、鈴木の足元の地面が大きく陥没した。
「…暁山、お前の気持ちを受け取った。由貴を幸せにする」
「…うん」
力を出し切って疲れたアタシは、そのまま地面に寝転がった。
「アッキー!」
鈴木が結界を解いたのか呼吸を必死に整えてるアタシの下に、ユッキーが来る。
「ユッキー…」
「アッキー」
ユッキーが足が汚れるのも構わずに正座して、アタシのボサボサになった頭を乗せた。
「ゴメンね、ユッキーを愛してるから鈴木さんに八つ当たりしちゃった」
「うん…私もアッキーが好きだった。でも親友として好きだったのかもしれない」
「知ってる…だからもし、鈴木さんに泣かされたら、酷い目に遭わされたら、今度こそアタシと本気で付き合ってください」
「…うん」
「それまでずっと親友で居てね」
「うん!」
「…はぁ」
アタシはユッキーの腰回りに腕を回して、お腹に顔面を押し付けて大きく呼吸した。
ああ、吐き出したつもりなのに、まだ好きだなぁ。




