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こんな世界で頑張れるもんか 〜今さら娘といわれてもねぇ、知らぬ存ぜぬでございます〜  作者: 与謝野竜胆


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第九話

 目が覚めた時には、自室のフカフカ布団の中だった。窓からの光がオレンジ色に変化していた。

 メイドの1人が、もう直ぐ夕餉の時間です。私に公爵ご夫妻と一緒に夕食を召し上がりますかと問うてきたので、お二人がよければご一緒しますと答えた。二人は私の体調と気持ち次第だと言っていたようだ。

 3人で夕食を食べた。身体に優しいメニューが有り難く、久しぶりの固形物が美味しい。

 食事後のお茶の時間に私の父親家族の話になった。愉快な話ではないが聞いておかないとこれから向き合わないといけないからね。

 私の家族は父親、母親と兄が1人いるらしい。母親は侯爵家の三女で二人は政略結婚。元々は父親の兄、つまりこの家の長男だった人と結婚する予定だったが、長男が事故で亡くなったために私の父親が急遽後継者に指名され母親と結婚したようだ。

 直ぐに兄が生まれ、兄については他の貴族家庭と同じような環境で養育されているらしい。私より5歳上の8歳。時々は顔を合わせることもあるらしい。

 アマルさんが、マリアの母は貴族のご令嬢としての矜持がとても強い人なの。だから、二回目の出産も男児が産まれると思っていたんだと思うわ。彼女は自分の役割を淡々とこなすことだけを考えているから、計画が乱されることを酷く嫌うのよ。貴女がというより男児が産まれなかったことが許せない、女児である貴女に関心を持つ事ができないのでしょう。許されることではないのだけれどね。悲しい顔でそう話しながら私を抱きしめて優しく頭を撫でてくれる。

 バカ息子も同じようなものだな。全く理解できん思考だがな。とジェームズさんが大きな溜め息を吐きながらぼやいている。

 マリア、やりたい事があれば相談しなさい。余程危ないことでなければ私達が応援するから。と優しい眼差しで私を見ている。

 この方達は信頼できる。私を見る瞳の中に愛情や思いやり、相手への気遣い、そういったものを感じる。だから、公爵家の使用人も私への接し方を間違えない。

 前の家でのことは、決して忘れない。この世界が男尊女卑が強い世界でも親が子供に対して男児じゃないから『どーでもいいわ』とかないからね!!

あんた達、見てなさいよ!私マリアが成敗してやるわ٩(๑`^´๑)۶許さないかね。


 次の日はジェームズさんと魔法について勉強をするので、公爵家の敷地内にある騎士団の訓練場に赴いた。

昨夜からジェームズさんとアマルさんを父上母上と呼ぶようになった。こちらの世界で一般的に使われている呼び方を選んだ。

私は父上(ジェームズさん)に抱っこされて移動している。この人の抱っこは最高!安定、安心、安全な感じなんだよねぇ。

 敷地内とはいえ、かなりの距離を歩いて移動する。

到着した訓練場はコロッシアムみたいに円形型をした大きな競技場みたいな感じ。

 訓練場につくと直ぐに二人の騎士服を着用した人が走ってやってきて、父上に片膝をついて頭を下げる。

 楽にせよと父上が声をかけると二人が立ち上がり顔を上げて、お互いが挨拶をかわした。

 2時間程度訓練場を借りる。娘の魔術訓練を行う。団長には昨日通達をしている。と父上が二人に説明をした。二人は公爵家の騎士団所属の副団長と騎士で副団長が結界を張りますか?という問いに、娘の力量を把握して決めると父上が返事をした。

 訓練場の端に人形型の的が何体か置いてある。

コレコレぇ、異世界、魔法訓練といえばこれだよぉとちょっとテンションが上がった。ファイヤーボールで黒ゴケかぁと悪い顔になってしまうじゃん♫

 私は父上の首にギュッと抱きついて「ファイヤーボールで真っ黒にするね。」と宣言をした。ところが、ピキッと音がするように父上の身体が固まった。

私はハッと身体を離して父上の目を見る。暫く二人は見つめ合う。

 父上が「ファイヤーボールで真っ黒か?」と私に問いかけてきたので、首をコテンと傾げて「まちがってる?」と聞き返した。

私を地面に下ろして向き合うと「マリア、ファイヤーボールをどの距離から投げられるのかね?あの人形が真っ黒になるほど。」

私は暫く考える。そうだなぁ、魔獣を倒す時は…と考えながら人形から距離をとる。「うん、ここだね。」と父上に返事をして手を振る。

「やってみなさい」と父上のGOが出たので、私は右手からファイヤーボールを人形に向けて放った。人形は一瞬メラメラと燃えてボガッと変な音がして粉々に砕けた。

 父上がハッと我に返ったよう見えたかと思うと私のところに走ってきた。

「マリア、得意な魔法は火なのか?」と聞くから「色々できるけど、人形に攻撃するなら火かなと思ったんだけど。」 父親は、「どこかで魔法を使っていたのか?」と聞いてきたから「そう、それでね、前の部屋に行きたいと思っていたのよ。魔石を置きっぱなしにしていたからね。取りに行きたいんだよね。」

「魔石…」と父上が私を見ながら何とも言い表せない表情になって、私を抱き上げて「よし、先に魔石を取りに行こう。それから詳しく話を聞こう。」と言ってスタスタと家に向かって歩き出した。

「あのぉ、前の部屋にはどうやって行くの?もし、長距離の転移魔法ができるなら見せてほしいなぁ」と言ったら、また、ピキッってなってギィギィギィって感じで私を見て「転移魔法が出来るのか?」「えっ?近くなら出来ていたよ。長距離が出来るかは分からないけどね。試したことがないから。」と答えた。

 あらぁ、もしかしてやっちまったかしら?転移魔法がないのかしら?いかんいかん、魔法となるとテンションが上がるんだよね。いらんこと喋った?

 父上が、「とりあえず、今からは馬車で移動する」そう言って私と二人で、あの配膳ロボット(メイド達のこと)と過ごした部屋に行って、無事に魔石を回収したのだった。

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