第七話
私は、ジェームズさんの生還から混々と眠ること5日間、時々ぼんやり目が覚めていたようだが私に記憶はなく、ひたすら眠り続けていた。
その間に優秀なメイド達は、私が目を覚ます度に水分補給をしてくれていたようだ。サスガデス!デキるメイドの方々です。脱水症にならずにすみました。
私は5日目の朝に目が覚めて、『そうだったジェームズさんが帰ってきてから、あれやこれやあって疲れてジョセフさんに抱っこされて、そのまま眠ってしまったな、5日間もかぁ…三歳児の身体じゃあ致し方ないのかなぁ』なんて考えて、まぁねぇ、それで大事なお方をお助けできたのなら、私の存在意義が高まっちゃったりしてね!テヘッ!
人は評価され、褒められて育つのです。なんちゃってネ。そんな感じで自画自賛して自分を認めてあげるのだった。うん、承認する事は非常に大事な事です。
私が目が覚めてあれやこれやを考えながらお布団の中でモゾモゾと動いていると、出来るメイドのナターシャさんがノックをしてから部屋に入ってくる。「マリア様、お目覚めでございますか。先ずは、水分補給をしましょうか。」そう言って果実水が入ったコップを渡してくれた。
喉がカラカラに乾いていたから果実水を一気に飲み干した。身体中に水分が染み渡る感覚。ぷっはー五臓六腑に染み渡るゼ、爽快!
そしてそのまま、洗面→着替え→ヘアアレンジと手際よくナターシャさんが手伝ってくれる。
身体を動かしてみるが異常なし。そして元気にお腹が鳴った。子供の回復力ってスゴイなぁ。
ナターシャさんが優しく微笑みながら「お食事をご用意をいたしますね」と言って食事の準備をしてくれるのだった。お腹が鳴ってしまうなんて成人女性としては恥ずかしいが、今は三歳児だから許されるよね。
そして、消化の良い食事が準備された。5日間も固形物を摂取していないから配慮されたようだ。この家の博識加減が凄いよね。ここにこれて良かったとしみじみと感じます。
食事が終わり満たされた私のところに、ジョセフさんが部屋を訪れた。ジェームズさんとアルマさんが会いたいので部屋に来てくれるようだ。そのことを伝えにきてくれた。
すっかり元気になったからソファーに腰掛けて二人を待った。
ジェームズさんとアルマさんは、私の両サイドに座り代わる代わるに私を抱きしめて、マリアありがとう、マリアのお陰で助かったんだよと2人から何度も感謝の言葉をおくられた。
いやいや、私の方こそお二人の所に来れて感謝しかないです、あのまま彼方の部屋にいたらどうなっていたことかと考えただけで恐ろしくなります。と感謝の交換会のようにありがとうが繰り返される。
そんな家族水入らずの穏やかな雰囲気を壊すように、ドンドンドンと激しくノックがあったかと思ったら「目が覚めたか」といきなりドアが開いて、ドカドカとお医者様のエディスさんが入ってきた。
呆気に取られる私達を尻目にズカズカと私の前に来て私を持ち上げたかと思うと、反対側のソファーに座らせて、自分が隣に座り私と向き合うと「どんな治療を行ったのだ?最初から順番に説明してもらおうか、ジェームズが倒れた時には意識もなく呼吸もしていなかったそうじゃないか、死にかけていたジェームズをどうやって助けた?更にそんな状態だったジェームズが数日で元に戻り、こうして通常の生活ができているのはどう言った経緯があった?」
お医者様のエディス先生から怒涛の質問責めに唖然とする私達3人とジョセフ。
私は、勢いの止まらないお医者様のエディスさんの肩をポンポンと優しく叩く。馬を落ち着けるようにドウドウと小さく呟きながら。
そうしていると向かい側のジェームズさんが、「エディス、色々と聞きたい気持ちは分かるが、マリアはつい先程目覚めたばかりだ。身体と気持ちが安定するのを待っては貰えないか?」と穏やかな口調で話し聞かせた。
お医者様のエディスさんが、ハッと我に返ったような表情で「そうだな、すまない。焦りすぎたようだ。マリア、すまなかった。」とちょっと決まり悪そうにしながら私に頭を下げて謝った。
謝罪ができるって素晴らしいですよ。ましてや相手は三歳児ですよ。お医者様といえば、若い時からあげたてまつられる事が多いからなのか、プライド高く傲慢横暴な人が多いだろうに(前世の私の偏見ありの考え)、この世界で出会ったお医者様は良い方ばかりだな。
ジェームズさんが「マリアも先程目覚めたばかりで身体が辛いかもしれない。日を改めて話し合いの場を設けます。」とその場を収めた。




