第四話
異世界転生した女性が、家族から放置された赤ちゃんに憑依した。魔法を駆使しながら成長します。見ておくがいい、逆襲してやるぅと思っていたのだが、きっとほのぼのと成長していくと思います。
R15は念のためです。
翌日、家庭教師がやって来ました。
部屋には私と家庭教師の2人だけです。
「私の名前はイルダ・アロンソです。授業中は先生と呼びなさい。」と家庭教師が高圧的な態度で私に話しかけてきた。
私は黙って頷いた。
「あなた、話せないの?」と小馬鹿にしたようにイルダ先生が聞いてきた。
話せなくはない。ただ、墓穴を掘りたくないから話したくないだけである。
3歳児の話す内容なんてたかが知れている。それなのにふとしたことで、成人女性のお喋りがでたらおかしいでしょう。そして、私にはこの世界の3歳児がどの程度かも分からない。だったら、話さないに越したことはない。
イルダ先生は、大きなため息をはいて、「仕方がないわね。話せないのなら、礼儀作法から始めましょうかね。」と言った。
先ず立ってみて頂戴というので、立ち上がった。
いきなり襟首を捕まえられて、「背筋を伸ばしなさい」と引っ張り上げられた。
はぁ?これが3歳児にすること?襟首持つとかありえないんですけど。
私は両足に力を入れて背筋を伸ばした。
そしたら、あろうことか分厚い本を頭にのせた。これはあれか?テレビなんかでよくやる、本を落とさずに歩けたら、合格あげます!みたいなやつか?
私、まだ3歳なんですけど、こんな重たいものを頭に乗せて歩けるわけありませんよね?一体何キロあるんですか?それでなくても自分の頭を支えるのに精一杯なのに。3歳児の体型を知ってます?
よろよろしながら歩く。勿論本は落ちる。
ビシッ!脹脛に強烈な痛みが走った。この人、今、私の脹脛を叩きましたよ。それも指示棒で。ありえないんですけど。 (怒りのボルテージ30)
「はい、もう一回。」そう言って本を頭にドンッと乗せる。キィー、こんにゃろーう!私は用心しながらゆっくり進む。すると、「背筋が曲がっている」ビシッ!今度は背中を叩いた。
この世界では、礼儀作法を教えるのに幼子を指示棒で叩くのか?これは間違っていないか?虐待じゃないのか?
そもそも3歳児がモデルさんみたいにウォーキングできるわけないじゃない。(怒りのボルテージ40)
そして2時間歩く練習が続いた。私の脹脛と背中は叩かれたところが真っ赤に熱を持ち、ミミズ腫れになってくっきり跡が残っている。幼児の柔らかい皮膚を破らないように絶妙な力加減で叩くなんて、この人常習犯なんじゃない?
イルダ(先生なんて呼べるかっ)が、鞄から何やら容器を出してきて「この痛みは忘れてはいけませんよ。忘れない限り上達していきます。」そう言って容器から白い塗り薬のようなものを手に取って赤くはれた皮膚に塗った。すると数分もしない内に見た目が元に戻っていった。
へぇー、こんな万能薬があるんだ、いやいやあなた、これは隠ぺいですね。見つかると困るから言い訳しながら薬で痕跡を消しましたね。
あなたは、このやり方が間違っていると分かっていてやっていますね。確信犯なんですね。(怒りのボルテージ60)
昼食の時間もテーブルマナーの時間にあてられた。ご飯くらい自由に食べさせてほしい。今まで配膳ロボット達が口に突っ込んできてたのに、いきなりテーブルマナーとか、ないしょ( *`ω´)
給仕係が退室すると出た出た指示棒を振っています。指揮者か フンっ!
頭を下げていただきますをする。フォークを持とうとして、ビシッ
手の甲を叩いた。痛ったぁー これは楽しんでいる、子供を叩いて楽しいか?鬼畜か?
3歳に教えることもせず、やらせるだけやらせて間違っているかも分からない3歳児を叩く
そんな家庭教師あり得ます?
食事中も何度も手や腕を叩かれた。そして、食べ終わると魔法の白い薬を塗る。隠ぺいだ!呆れた(怒りのボルテージMAX)
初日だから今日はこれで終わりらしい。
イヤイヤ、こんなのに一日付き合ってたら 精神病みます。寝込みます。
夕食はジェームズさんとアマルさんと一緒に食べます。
今日の家庭教師はアロンソ子爵夫人よ。家庭教師の中でも有名な方なの。たまたま飽きがあったから引き受けてもらえたのよ。何でも、何人もの淑女教育をしてきた方みたいよ。とアマルさんが私とジェームズさんに話しかけてきた。
はぁぁぁぁぁ?あれが有名?何人も淑女教育をしてきた? イヤイヤ、叩いて思い通りに動かして満足しているような極悪教師ですよ。
し・か・も、3歳児相手に指示棒で叩くとかどうですか?怯えて自家中毒になりそうです。
この人でなしの所業をどうやって伝えるか?
私は考えます。作戦を練らないと。性悪女の悪事を知らしめてやらねば。
翌日もイルダは起立と歩行からやらせてきました。相変わらず頭の上には分厚くて重たい本が乗せられています。
私はやる気もでなくて、何回も落としました。
その度に指示棒で叩いてきます。今日は、何と出来ないことへの嫌味をつけるというオマケ付きです。
背中が曲がってます!そう言って背中を叩こうとした時に今だ!私は魔法を展開しました。
指示棒が背中に当たる瞬間に自分に防御魔法を、そして指示棒の先に雷魔法を発動しました。
指示棒を介してビリッと電気が走ります。そう、静電気のちょっとだけ強烈なやつです。
おほほほっ、イルダは「ぎゃっー」と淑女らしからぬ大きな悲鳴をあげて、尻もちをつきました。
バタバタと音がして護衛と侍女が入ってきました。
「どうされましたか?」護衛は、私の周りで臨戦体制をとります。
イルダは、呆然としていたが我に返ったようで、「何でもありません。皆様はお引き取り下さい。まだ授業の途中です。」と慌てたように喋り出し、皆を外に出そうとした。
しかし護衛の人は「マリア様、大事無いですか?」と私に聞いてくれた。私は黙って、赤く腫れ上がった脹脛を護衛にみせた。
私は知っている。ここの使用人は常識があって業務を忠実に行なっているということを。
だから、彼らがそれを見ても何も言わなければ、それがこの世界の常識かもしれない。私には分からないので、彼らの判断を見ることにしたのだ。
護衛が「この足はどうされましたか?」と聞いてきたので、イルダが驚いて落とした指示棒を指差しました。
イルダは慌てて指示棒を拾い上げて、何食わぬ顔をしています。
護衛が私をそっと抱えて「奥様に報告だ。」そう言って部屋から出たのでした。
イルダが慌てて護衛を追いかけてきて、「待ちなさい、授業の途中ですよ。邪魔は許されません。」と騒いでいた。護衛はそんなイルダに全く反応せずにスタスタと進む。
私は、しめしめ、やってやったぞ!うひゃひゃひゃ勝利の狼煙を上げろぉー!!と心の中で盛大に自分を褒めちぎった。
アマルさんの前で私は脹脛を見せた。
護衛が「奥様にご報告があります。マリア様脹脛を見て下さい。」そう言ったからだ。
部屋にはジョセフさんもいて、「ご主人様をお呼びいたしましょう」と言って、使用人にジェームズさんを呼びに行かせた。
私は護衛に背中も指差した。護衛が、ハッとしたように「背中もですか?」と聞いてきたので頷いた。
この護衛さん、なかなかやるわね。私は心の中で親指を立てて、いいね!を押しまくった。
タッタッタと足音がしてジェームズさんがやってきました。
「マリアの足が酷いことになっていると聞いたぞ」そう言って私のところに来た。
私はジェームズさんに脹脛を見せた。
護衛さんが瞬時に「背中もだそうです」と言ってくれた。
ジェームズさんもアマルさんもジョセフさんも皆んなが渋い顔になっています。
アマルさんが「大事な事だから、背中も見せて頂戴ね。」優しく声をかけてくれます。私は頷きます。
アマルさんが、あの出来るメイド服を着た達人に「ナターシャ、マリアの背中が見えるようにして頂戴」と指示をする。達人の名前は、ナターシャでした。
ナターシャが失礼しますねと私に声をかけて、身体の前側をタオルで隠しながら、ワンピースのボタンを外すて背中が見えるようにした。そこにいた人達が息を呑むのが分かった。
ナターシャが、痛かったですね。直ぐにお薬をぬりましょう。よく我慢されましたね。と私に声をかけてくれた。やっぱり達人だなぁ、3歳児にここまで配慮できるなんて。心の中で褒めちぎります。
ナターシャに小さい声で「ありあとう」と言いました。はぁ、喋ってないのが裏目に出ました。滑舌ワルッ ありがとね、ナターシャ
ナターシャが驚いた様な顔をしましたが、直ぐに優しく微笑んで、お薬をぬりましょうねと背中をタオルで覆ってくれた。
さぁさぁ、今から大一番が始まりますよ
イルダの悪事を白日の元に晒しましょう




