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こんな世界で頑張れるもんか 〜今さら娘といわれてもねぇ、知らぬ存ぜぬでございます〜  作者: 与謝野竜胆


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第三十七話

 人間とは我が儘なものだと思う。

2、3日平穏な日が続くと、ちょっとした新しい発見がないかなぁと思ったりする。

 そんなことを考えたのがいけなかった。


 今日の朝練に新人が参加している。王弟だ(なんでー)

 父上が「いやね、陛下に領地の件(蜂型睡眠薬)を報告に行った時に殿下もおられたんだ。マリアは元気かと聞かれて、ちょっと自慢というのか…(ゴニョモニョ)可愛いマリアと毎日朝練をしていると言ってしまったんだ。あはは…

そしたら殿下も是非参加したいと希望されて、断ることができなくてだな(ゴニョモニョ)

もう来られたんだよなぁ」

 はぁ?父上、何やっちゃってくれてやがります?

あの練習を王弟にもしろと?

えっ?マリアの魔法は特別だから秘匿だからと言ってましたよね?はぁー?

と王弟の前では言えないので、父上に鋭い眼光を向けて心の中で父上を思いっきり指差しながら文句を言った。

 父上がしょんぼりと肩を落として「ダメだったかな?」と聞いてくる。知らんがな。

 ジョンさんが気の毒そうに父上を見ています。知らんがな。

 私は小さく溜め息を吐いてから「えーと、我が家の訓練は少し特殊でして。見ていただけば分かると思いますが初めてだと戸惑われるかもしれません。」そう前置きをした。

 王弟が「話はウェリントン公爵から聞いている。素晴らしい訓練を行なっているのだな。私にも是非参加させて欲しい。マリア、よろしくお願いします。」

えーん、お願いされちゃったよ。もう知らないよ。やっちゃうよ。父上の所為だからねー。


 「朝練を開始します。よろしくお願いします。」

私は目の前に立つ二人の男(父上とジャックさん)に挨拶をする。今は心の中で二人の男呼びよ。フンっ

同じように二人の男からも挨拶が返ってくる。

 私は二人の男に薄くて強固なシールドを展開する。

二人の男が各々の立ち位置へと移動する。

二人の男の準備ができたことを確認する。

「最初は、父、火、玉、10、連、7-5(父上に火玉10個を連打で威力7スピード5のこと)」と言って父上に向けて攻撃魔法を放つ。

すぐさま私はジョンさんに「次、ニイ、氷、刃、5、連、6-7(ジョンさんにアイスカッター5個を連打で威力6スピード7のこと)」と言って攻撃魔法を放つ。

 こうして続け様に誰に何の攻撃か種類と数と威力を言ってから攻撃魔法を繰り出す。

 二人は構えた状態で私が出した指示を瞬時に判断して放たれた攻撃魔法を魔剣で叩き切っていく。

 その訓練で私は今、父上に八つ当たりをしている。

父上に放つ攻撃魔法の威力としてはMaxに近い。

父上は分かっていると思う。分かっていて受けてくれるんだ。

私が八つ当たりできる人は父上だから、いつの時も父上は何も言わずに私を理解しようとしてくれて、そして受け止めてくれる。愛情深い有り難い人なのだ。

 攻撃魔法を10セットずつ行なって一回休憩する。その頃には私の気持ちも落ち着いている。怒りの鎮火。

 王弟が「マリアの的確な攻撃魔法とお2人は見事な剣捌きですね。私も是非参加させて下さい。」と言って私の前に片膝をついて頭を下げる。

 「王族が簡単に頭を下げたらダメでしょう。」と言って、「一緒に訓練しましょう。殿下の力がどれくらいなのか確かめてもいいですか?」と聞いてみた。

 「ジョンとは王宮で時々稽古をすることがあるな。どうだ?ジョンは私に加減しているのか?」と王弟から聞かれたジョンさんは「加減はしていません。」とブンブン首を振り答えた。

 私達は毎日の訓練だから慣れもある。王弟とは初めてなので、4-4くらいからやってみることにする。

そして、結果、たのしーい♩である。

 王弟は、私の攻撃を跳ね返してきたのである。

何回目かの攻撃で振り切った刀の方向が私に向いていたからのようだが、跳ね返ってきた。私はそれを手刀で断ち切ったけどね。

 私は父上とジョンさんを見て、動きだそうとする2人を手で制した。

 王弟を見据えて右手でグーを作って親指だけを上に向けサムズアップ、左手は手のひらを上に向けて4本指をくいくいと曲げておいでおいでをする。

 そこからはもうねぇ、私は王弟の力量ギリギリを見ながら攻撃魔法を放つ。何回かに1回跳ね返ってくる攻撃魔法を手刀で断ち切る。楽しい!

 王弟が疲れたところで終了です。

父上とジョンさんが駆け寄ってきます。「マリア、大丈夫だったか?」私の身体を確認します。2人は過保護なのです。有り難いけどね。

 王弟が肩で息をしています。かなりやり合いましたからね。そして、なんですか?そのイケメンキラキラビームは。 

片膝をついて私の前で「素晴らしい体験だった。こんな体験を毎日しているジョンが羨ましい。是非私にも毎日やらせてほしい。チームなんだからいいだろうか?」

「えっと、王弟には訓練とかじゃなく、陛下のお仕事を手伝って欲しいのですが。お願いしたと思うのですが……まだ陛下に無理をさせないで下さいと。」私は優先して欲しいことを王弟に告げた。

 王弟は、陛下のことは前国王と相談して執務の半分を引き受けているそうだ。だから午前中の時間がある時だけお願いできないかと頼まれた。

 父上が「陛下の体調が万全ではないようでしたらお引き受けできかねます。マリアも陛下の身体のことは責任を持ってやり遂げたいから王弟にお願いしているのです。余裕があれば気兼ねなくいらっしゃるといい。」と援護してくれた。

 そう、最優先は陛下の元気な姿なんです。

 

 そしたら王弟から王宮へ行き陛下に会ってほしいとお願いされた。お断りは…できないよね(はぁ〜)

なので、私と父上は登城している。

 待ち時間の間、王宮の父上の執務室で待機中。

父上が秘書官から呼ばれて何処かに行ってしまった。護衛がドアの外にいる。少しだけ執務室に1人でいる。となると四歳時は眠くなるよね。朝から激しい訓練をバチバチとやったから。

 うーん、何だが揺れてる。ガゴっ、イタッ、イッター、ガチャガチャ、グフっ、えっえっ?なに?

 目を開けるとそこは、、、真っ暗。えーの声が出せずウッぐっブーみたいな空気が口の中で暴れる。フリーズ

 そうして思うことは、'''落ち着こう''' そして落ち着けるはずもなくドキドキとする心臓を、あー本当にドキドキってこんな風に感じるんだなぁと考えながら"どうしよう"を何回も繰り返す。私はどうなっていますかぁ?

 目が慣れてくると周りがうっすらと見えてくる。

転がされている私。両手には金属で出来た何か、これが拘束具というのか?足は自由。木箱か?木の匂いがする。棺桶?みたいなのに入れらているんだろう。身体を布で包まれている?口は塞がれている。目は見える。耳も聞こえる。揺れたり跳ねたりしているから乗り物に乗っているんだね。感じるままに考えていく。

 私、拉致されたんかな?ドキドキする心臓を感じながら'''落ち着こう''' を繰り返し、深呼吸と人という字を手のひらに3回書いて飲み込む。

手を動かすとガチャガチャと金属の音がする。薄暗い中でも手錠みたいだと分かる。

 記憶を探ってみても、拉致という経験は初めてだなと思う。前世の記憶はハッキリ思い出せることとボンヤリしか思い出せないことがある。9割がボンヤリなのだが、そんな中でも拉致は初めてそうだ。

 何もわからない状態なら不安になるけど、今は何となく拉致されているとわかるから恐怖と不安がある。それから暗闇。暗いと不安と恐怖が増す。

 口は何かで塞がれている。息は多少苦しいができる。目は隠されていない。耳も塞がれていない。手は手錠みたいな拘束具がついている。足は自由に動かせる。状態確認。

 はぁ、どうなるんだろう。異世界の小説とかだと最悪は奴隷。死んだりはしないよね?あり得る?選択を間違えないようにしよう。媚びるところは媚びる。そうしよう。私がヒロインならヒーローが助けてくれる。けど私は四歳児。ヒーローが現れることはないな(泣)

 起きていると段々とその状況に慣れるからか、考えることが次々に浮かんでくる。人ってすごいなぁ神様ってよく考えて人間を作っていると思う。そんなことまで考える。

 

 乗り物が止まったようだ。ガタガタ揺れなくなって静かになった。

 木箱が持ち上がったのか少しの浮遊感と足側が下がって斜めになったようでズリっと身体が足側に下がる。木箱の底に足がついた。靴を履いていたね。

 身体全部が足側に下がると窮屈そうなので両足を広げて踏ん張って体幹を支える。

 木箱を抱えている人の身長差があるんだろう。斜めになったまま運ばれている。足側が低くて良かったな。頭側が低かったら両手で支えることができただろうか。

 あれっ、外に出たのかな?木箱の中が薄らと明るくなって色がわかるようになる。空気が外にいる感じを伝えてくれる。明るくなったのと動いたのと外に出た感じがわかって少しだけ気持ちが楽になった気がする。目を塞がれていなくて良かった。

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― 新着の感想 ―
拘束具だけ、転移させ、先ず自由になったら良いよね。何故しないのか不思議。
これ血縁上の父の仕業ならこれで 後継外せますかね。 彼が後継なのは長子後継が余程でなければ 不文律として決まってる世界で、騎士の夢を諦め スライド婚させてまで後継にした事もあり、 未だ後継なんだろう…
馬鹿者の反抗やろなぁ。
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