第三十五話
父上が自領から10日ほどで帰ってきましたよ。
「マリアァ〜寂しかっただろう。父上が帰ってきましたよ。」ゲホッゲホッ咽せる私。何だ?この激甘イケオジは?
父上、どした?威厳をどこかに捨ててきた?
私と父上は、ほぼ毎日一緒にいたから十日も離れたら寂しかったらしい。そーかそーか、うんうん
そこは空気が読める四歳児、父上をヨシヨシしながら寂しかったと言っておきました。
父上が言うには、自領で蜂型睡眠薬の説明をしたら魔法を使える騎士の中で4名ほどが直ぐにマスターしたらしい。
属性はバラバラだったから、魔法を駆使する能力にも器用不器用があるのかもしれないと言っていた。
父上に「あのね、マリアは継承権があるの?あるなら何番目なの?」と聞いてみた。
父上と母上が驚いていた。
「あまりに唐突で驚いたが、マリアにも継承権がある。マリアは、私達の子供だから三番目だな。」と父上が教えてくれた。
「そうだ、マリアに公爵家を継いでもらうのもいいな。そしたらマリアはずっとこの家に父上と母上と一緒に住めるからな。婿を取ればいい。いや、婿はいらないな。いらない。」
いやいや、父上。そんな簡単なことじゃないからね。ジャックがいるでしょう。父上が後継者に指名したんでしょう。
私は公爵家を継ごうなどと考えたことはございません。ジャックと争うとかマジいややし(ブルッ)
母上は笑っています。
だけど心配はしています。父上も倒れたことがあるから(よく復活できたよ)時々こっそり身体の中を確認してます。
やっぱりあの時は、過度なストレスと不規則な生活習慣が祟ったのだね。
今はすこぶる元気だよ。良かった!
私は父上が自領に行っている間に王宮に行ってきましたよ。
ルイス様とエルサとルーナに会ってきました。
エルサとルーナが「マリアのお父上とお兄様は素晴らしい方達なのですね。」と大大絶賛でした。
領地の魔物を倒してくれたヒーローなのだと。(プップッ)
ウェリントン公爵家は素晴らしい技術と魔法をお持ちなんですね。と目をキラキラさせて私を見てくれた。
そこの可愛い2人よ、遠慮なく褒め称えるが良いと扇子で自分を仰ぐ私を妄想する。
私の存在が知られていないことに安堵する。
3人が私に何かを期待する眼差しで見つめている。
そーです、お土産ですね。
分かっています。あっ、お茶の準備が始まりました。
今日持ってきたのは、かき氷です。
イチゴシロップに練乳をかけました。
毒味の人もびっくりと幸せが一遍にきたと思いますよ。
この国は暑いのに氷菓が少ないんです。
氷は貴重なものなのです。魔法でポイポイとは出せないようです。
だから最初のお茶会で3人から驚かれて羨望の眼差しを向けられたのですね。
しかも、今回はアイスBoxに入れて持参しましたよ。
お渡しの時に注意事項もお伝えしています。
正確に伝わったようですね。準備が整いました。
「これは、かき氷といいます。溶けてしまうので最初に食べましょう。」と3人を誘います。
まんまるキラキラお目目でかき氷を見つめています。(イイね)
ルイス様、一口食べてニンマーリです(イイね)
エルサとルーナも両頬を抱えてからのニンマリです(イイね)
子供は正直です。3人は無言で食べています。おいしと食べるのに夢中になりますのよ。
公爵家で私が育てたイチゴです。
収穫してイチゴシロップとイチゴジャムにしましたよ。かき氷に両方をかけています。更に練乳もかけますよ。美味しいこと間違いなしです。
半分を食べ終えたところで3人が「おいし〜い」と声を揃えます。それから3人が競う様に何がどう美味しかを発表しあっています。コレコレ、これだよぉ〜癒されるぅ〜
あのジャックとビアンカ(モンスター夫妻 襲撃事件)の訪問から、魔物討伐と心が荒んでいましたからね。
3人の素直さや純粋さに救われます。
癒しって大事だわぁ。モンスター夫婦に吸い取られた気が戻ってきます。エネルギーが充填されるわぁ。
そんなことを考えながらイチゴのかき氷を食べる私でした。
今日はカルタを持ってきました。
内容は身につけるべき貴族のマナー編です。
私には貴族のマナーがよく分からないので、母上とナターシャさんとその他公爵家のメイドさん達で内容を考えもらいました。
優秀な文言を提出してくれた人には、母上が金一封を出してくれましたよ。
例えば簡単なのは「お宅訪問の時には」「さ:先触れは必ずね」とか「礼儀の基本です」「あ:挨拶と丁寧なお辞儀」「歩く時には」「せ:背筋を曲げず静かで品のある足運び」といった感じですね。
ここでもかぁ、モンスター夫妻の影響恐るべしです。あの二人に纏わるエピソードが出るわ出るわ。
使用人の皆さんも鬱憤が溜まっているんですね。
私達はお題に対する答えを言いながらカルタを取っていきます。勝負事は熱くなりますね。
カルタは色々なバージョンで作りました。楽しく学びますよ。
そして、楽しい時間は直ぐに過ぎていくのです。
私は、ジョンさんのお迎えを王宮の父上の執務室で待っています。
遅いなぁと思っていると突然ドアが開きました。
ビックリしたぁ、誰?何事?
しかしさぁ、急いでいてもノックはしようよ。失礼だよ。マナーでしょうに。と思って開いたドアを見るとそこに立っているのは、ギョギョギョーゲッゲッゲー!ジャッーク。
ジャックが立っていました。何故じゃー
「マリア、王宮には何の目的できているんだ?」と唐突に聞いてきた。
私は「こんにちわ、この部屋はウェリントン公爵閣下の執務室だと思いますが違いますか?」と挨拶をしてから質問をする。
「そうだが、それがどうかしたのか?」
「いえ、父上から執務室には関係者以外の立ち入りはできないときいております。あっ、父上の許可を得ておられるのですね?」と問い返す。
「何を言っているんだ?私はウェリントン公爵を継ぐ者だぞ。いちいち許可など不要だ。」
「そうなんですか?この部屋は父上の仕事場ですから、機密事項もあるかもしれません。それで入室者を限定しているはずですが、おかしいですねぇ」と首を傾げてジャックを見た。
ジャックが片方の口角をニヤリと引き上げ
「へぇ、お前は案外口達者で頭の回転も早いようだな。今まで本性を隠していたのか?その辺りも相手を見て駆け引きができるということか。ますます私との血の繋がりを感じるな。」と言って私を見る。
キモっ、キモいわぁ、わぁ、鶏肌がぁ…
バカバカ、私、何でジャックに話なんかしたんだよー。今まで黙って知らぬ存ぜぬだったじゃないかー。
なんたる失態なんだよー。
後悔する私をニヤニヤと見るジャック。キモいーーー
「マリア、お待たせ。アレ、兄さん何で居るの?」
ジョンさんがやっときてくれました。
おっそーい、遅いっちゅうねん。何しとったんやー
盛大に心の中でジョンさんに文句を言った。
「遅くなってごめんね。魔物討伐のことで話し合いが長引いてしまったんだ。母上が心配してるといけないから早く帰ろう。兄さんは、何か用事があったのかな?父上の執務室には勝手に入ることはできないはずなんだけどな。今日は父上はここへは出勤しないから相談事はできないよ。」とジャックに話をして、急いで帰ろうとした。
ジャックが「用事があったのはマリアにだ。所用があって王宮に来てみればマリアの気配がする。だから会って話しをしようとしただけだ。父親なんだから問題ないだろう。」
いや、あります!話しをする必要性を感じません。
それに、マリアの気配だぁ?
コワッ、怖すぎるワ、ここにストーカーがいます。だれかー、ストーカーを捕まえて下さーい。心の中で叫びます。
ジョンさんが「話は終わったんだろ?マリア急いで帰ろう。母上のお怒りを買うことになったら大変だ。」
私を素早く抱き上げて、「じゃあ、兄さんお先に」とスタスタと廊下を歩き出すジョンさん。カッケーです。
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