第三十話
父上が、もう直ぐ6時間が経つなと私に声をかけた。
っとその時に陛下の目が開いた。
直ぐに眉間に皺がよる。
そりゃそうだよね。
6時間も身動きせずに上向きで寝ていたら、身体の至る所が痛くなりますよ。スミマセン盛ったからですね。
お腹の中も触っていますし、違和感や不快感もあるでしょう。
私は陛下に声をかけます。
「身体が痛いですよね。ポーションを飲みましょう。」
陛下が頷いた。
(陛下よイフメのマリアを信じ過ぎです、ポーションとか初めて聞いたんじゃないのかーい?)
私は父上に合図する。
父上と事前に打ち合わせをしておいた。
ポーションを飲む時は陛下の上半身を45度くらいは起こしたい。
父上に頼んで陛下に負担がかからないように起こしてもらう。
陛下にも身体を起こすけれど、力を入れないで身を任せてほしいとお願いする。
父上が陛下を起こしたその時、私は素早く枕やクッションを陛下の背中に差し込んだ。陛下に楽な姿勢を取らせるためだ。
半分座った状態の陛下がゆっくりとポーションを飲み込んだ。
私は確認した。よーし、むせなーし。Good !
咳き込んだら辛いし、肺炎を起こすかもしれないからね。要注意だよ。
2、3分後に「あぁ、身体が楽になったようだ」と陛下が言う。
えぇ?もう?そんなに早く効いた?
いえ、効果があってよろしいんですのよ…あまりの早さにちょっと驚いただけですの。オホホ
陛下がうつらうつらしはじめた。
ほんとうに効果抜群だったんだね。すごいな
お試しでジョンさんに飲ませたから、それなりの効果があるとは思っていたけどね。
私ってすごいかもぉーーー へへっ
私と父上で、陛下を眠りやすい体勢に整える。
こういう事って、何気にしているけど大事なことなんだよねぇ。
安楽は免疫力を高めるよ。
痛い、辛い、苦しいでは治るものも治らなくなるよ。
だから、少しでも楽に過ごせる環境を作るんだよ。
身体の向きとか手足の位置とか、もちろん温度とか湿度とか明るさとか臭いとかも含めてね。
五感をフル稼働させて、快適、安楽、安心、安全を作るのです。
陛下には、早く普通の生活ができるようになってほしいからね。
私ったら、ちょっとカックンカックン船を漕いでしまった。
身体は四歳児、何だかんだで船漕ぎます。
いかん、いかん、油断大敵だよ。
多分、陛下は今から熱が出ると思うんだ。
身体が自分を守るために熱をだすんだよ。
解熱剤の準備をしておかねば。
父上は、私に休んでほしいようだ。
うん、それはわかるよ。心配してくれているんだね。
だけど、私には陛下の医術を行った責任がある。
気を緩めるのは陛下が安定してからにするよ。
もちろん、自分が倒れないようにするよ。
食事もするし、こまめな水分補給に休憩もとるからね。ご心配なさるな。
へへ、心配してくれる人がいるだけで強くなれるよ。ありがたいね。
父上も休んでね。無理しちゃダメだよ。
大一番は終わったからさ、王弟と交代して休憩してほしいかな。
私も休みたいから、父上が休憩から帰ってきたら交代しようよ。
王弟には頑張ってもらうよ。陛下の身内だし、イケメン青年なんだからさ。
若くてピチピチなんだから、やる気出して力を発揮してもらうよ。
あっ、イケメンは関係ないか。失礼しました。
父上と交代で王弟がきてくれました。
陛下が安定していれば、特に何もしなくていいんだけどね。
私は父上に説明したように、陛下にお薬を飲ませる時の注意事項とやり方をレクチャーした。
王弟、何気に不器用
大丈夫だよ、頭の中でシミュレーションしながら、何回かやればコツが掴めるからさ、できるようになるからね。
初めては誰だって戸惑うし、どうしたらいいか分からないよね。
王弟、四歳児に励まされショゲル(笑)
陛下の安楽のために力を合わせよう。
私達は、チームだよ。お互いを助け合うんだ!
陛下が寝ている間、王弟と私は今後に起こり得る状態を想像して2人で話し合いながら対策を考えたよ。
随分と仲良くなってしまった。
いや、いいんだけどね。仲良くなることは。
私達は、チームなんだから。お互いを信頼して足りないところは補っていこう。
あとは、経験を積むのみだね。
陛下の表情が変わった。
少し辛そうだ。
直ぐに身体に触れてみる。熱いな、熱が出てきた。
熱が出ることは問題じゃない。想定内のこと。
ただし、この熱の原因が悪いものでなければの話だけどね。感染症は怖いよ。
私は陛下の身体の大きな血管がある部位を冷やしていく。
氷を必要な時に魔法で出すことができるのは便利だな。
氷をブラッディーベアの膀胱に入れてタオルに包んで氷嚢の代わりにする。
この国には、ゴム製品がないんだよ。ゴムがないんだろうね。
前世で、牛の膀胱を氷嚢代わりにしたと聞いたことがあったから、ブラッディーベアの膀胱で試作品を作ってみたら想像以上に氷嚢に近いものができた。
柔らかくて伸縮性があり、水が漏れない。スゴイぞ。
魔物達よ。お役に立ってくれてありがとう。合掌、感謝。
熱が上がってきているようだ。
目を閉じて眠っているようだが、時々苦しそうな表情をしている。ううっと声が漏れることもある。
顔色、表情、身体の熱さ、息遣い、脈の速さ、汗の出方、陛下の全身をくまなく観察して解熱剤を使用するタイミングをはかる。
熱は無闇矢鱈と下げない方がいい。
回復するために身体が熱を出しているからね。
そこは、見極めが必要だよ。
例えば体温計の様に数値が目の前に映し出されたら、38度ですね。解熱剤使用しましょうかとなりますが、この国に体温計はないようだ。
数字で見ると客観的に見れるし信憑性が高くなるね。
だけど体温計がないんだよぉ(泣)
不思議でならんのですが、体温は手で測っている?
数字で見ることに慣れてしまうと、数字ばかりを気にしてしまいがちだけど、目安になるし判断しやすいんですけどね。
だけど、数字が見れない状況だから、陛下を診て陛下から情報をもらって判断するしかない。陛下の様子を観察しながら、解熱剤の使用どころを見つけるのだ。
見落とすことがない様にしていくよ。
顔が赤くなってきました。
かなり汗をかいています。時々声が漏れてきます。
かなり辛そう。
触れた身体がかなり熱い。
そろそろ飲み頃かな?
有れば点滴をしたいけど、ない、(ショボン)
熱が出ている時に身体に水分を与えてあげるだけで楽になったりするんだけどな。
それと、おしっこもまだ出ていない。
明らかに水分不足なんだよ。分かってるんだよぉ。
されど、ないものはない、次の手立てを考える。
薄らと陛下の目が開いた。
今だね、王弟に目配せする。
「陛下、熱を下げるお薬を飲みますよ。身体を起こしますね。」声をかける。
そして、王弟が陛下の上半身を抱え支えて起こしてくれる。
私は素早く枕とクッションを差し込んで身体を支える。
解熱剤を陛下の口に入れて、白湯を流し入れた。
ゴクリ、陛下が飲みます。
お腹の痛みはないようだ。お腹はよく動いている。
「陛下、白湯をもう少し飲みますか?」陛下が頷く。
陛下の口に白湯が入ったコップを持っていき傾ける。白湯をゆっくりと飲み込んでくれた。
私は陛下に白湯を飲ませながら『ベホイミ』を心の中で連呼したよ。
《イフメのマリアが陛下に薬を飲ませた。
陛下はHPが1P上がった》とかならんのかーい、ならんね
あっ、この解熱剤も私が作りました。
睡眠薬を作る時に解熱剤も作ったんだよ。
王宮にある薬を使うことも考えたけど、お医者様から何に使うのかと聞かれても困るからね。
作っておいて正解だったよ。
陛下が、たくさん汗をかいて身体に張り付いた寝衣が気持ち悪そうだ。
そうだ、清浄魔法を使って身体をキレイにしてさっぱりするよ。寝衣にも清浄魔法。
清浄魔法は凄く便利。ありがたい魔法だよ。
乙女は清潔不潔に敏感なのだよ。
皮膚を清潔に保つことも回復に繋がるんだよ。
清浄魔法といって思い出すのは配膳ロボット(メイド達のこと)だな。
幼な子は新陳代謝がはげしい。汗もよくかく。しかも当時はオムツ君だったんだよ、ムレるだろうがぁ。
それなのにさぁ、数日に一回しかお風呂に入れてくれなかったんだよ。
自分達が思い出した日がお風呂の日だったんだよ。
こっちはさぁ気持ち悪いたっらありゃしなかったんだよ。(プンプン激オコ)
まぁ、お陰様で清浄魔法の習得ができまして、今では得意魔法でございます。オホホ、重宝しております。
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