第二十七話
こちら側の準備で、やれることはやったんじゃないかと思う。
だだ、気持ちの問題は自分が乗り切るしかないと考えている。気合いだ!
魔物で試した時は相手は魔物だし、手を下すことに躊躇なんてしない。医術が失敗しても訓練だし、許されるから平常心でできた。
いや、正直にいうと興奮してた。こんな風に魔法が使えるってことに。だから、凄く集中してた。やり過ぎか?って思うくらいにポイポイと心臓で小豆玉を作っては取り出した。
だけど今度は、相手が人間だよ、しかも陛下だ。
やりましょうと陛下が言ってくれたらだけどね。
緊張するー きんちょーするー
そして、決断の日がやってきた。
前回と同じで、陛下の執務室横にある書斎に父上と2人で訪れました。
ノックをして許可を得てから中に入ります。
今日は、陛下の他に陛下によく似た人が1名と陛下が年を取ったらこうなりますねと思う人が1名座っていました。
皆さんにご挨拶をしてから着席しました。
陛下からお二人の紹介がありました。
前国王と王弟でしたか。なるほど、なるほど、よく似ています。
私は書斎に防音魔法と結界魔法を施します。
陛下から
マリア、2人には前にマリアが説明してくれたことを話した。
2人とも、もう一度マリアから説明を聞きたいそうだ。
できればあの時映し出した映像も見たいということだが、可能だろうか。
私に何かあれば、2人が私の代わりに執務を行なってくれる手筈になっている。
2人に私の病気について、納得と協力をしてもらわねばならない。
頼めるか?
片膝をついて「御意」とはしないけど、気持ち的にはそんな感じよ。
私は「承知いたしました。」と立ち上がって頭を下げた。
では、始めさせていただきます。
今から陛下のお腹の中にある肝臓というものを映し出します。
そう言って、白い壁に陛下の腹部の画像を映し出した。
2人が息を呑むのが分かった。
「これは、魔法か?」
いやいや、今はそこは重要じゃないから。(前回と同じじゃ)
これが陛下の肝臓です。
身振り手振りで説明する。
ここに大きな握り拳ほどの塊があるのが分かると思います。
本来はここにこの様なものはありません。
どちらかの方、ご自分の肝臓を見てみて見ますか?と前国王と王弟に聞いてみた。
2人が顔を見合わせて、では私がと王弟が答えた。
私は王弟の腹部をスキャンニングして、映像を映し出した。
白い壁に問題のない綺麗な肝臓が映し出された。
私は画像を見せながら説明を再開する。
二つを見比べると明らかに違いが分かると思います。
2人は大きく頷いた。
このまま何もしなければ、ここにある胆管という部位ですが腫瘍に潰されてしまいます。
今も既に半分くらいは潰されている部分があります。
陛下を見ていただくと分かると思いますが、皮膚や特に分かるのは、目の白い部位が黄色くなっています。
これは、本来はこの管からながれて排出されないといけない胆汁が、腫瘍に管が圧迫されて流れにくくなっているからです。
このままでは、早い段階で陛下は意識を失います。
そして、感染症を起こせば手の施しようはありません。
だから、私はこの腫瘍を取り除きたいと思って陛下に説明と提案をさせていただきました。
2人がまた息を呑んだ。
陛下が2人に「理解してくれただろうか」と話しかけた。
2人はうなずいたが、王弟が
「病気については分かった。大体は理解できたと思う。
陛下のことは、以前から調子がわるそうだと思っていた。身体のどこか悪いところがあるんじゃないかと心配していた。
まさか、こんなことになっているなんて。
それもそうなんだが、この腫瘍?というものを誰が取り除くといった?」
「はい、私がやります。」と私は王弟に答える。
「君に…できるのか?…」
ハイハイ、そうよねぇー、そう思うよねぇー
私だって四歳の女の子が、ハーイそれじゃあ、このオデキとっちゃいまーす。と言ったら冗談言うんじゃないと思います。
その反応は正確だと思います。
だけど、やれるのは私なんです。ハイ
陛下が
「リトレン(王弟はリトレンというだね)
私はマリアがイフメの人だと思うのだ。」
イフメの人?私は父上を見た。
父上は頷いている。
今度は前国王が話します。
「イフメの人か。
伝説だと思っていたのだがな。
彼女がそうなのだな。
イフメの人とは、この国ができてから何百年かに1度現れると言われている伝説の人だ。
僅かにある文献によれば、過去に3度ほど現れていると記述されている。1番近いのが、200年ほど前。
文献によれば、イフメの人がこの国を救うと書いてある。国を救う方法は、その時々で異なるようだ。
詳しく書き記されたものはない。
だから、ただ口伝てに語り継がれている物語のようなものだと思っていたのだがな。
まさか会うことができるとは、
マリアと言ったか?国王をいや、息子を助けてやって欲しい。」そう言って、前国王が私に頭を下げた。
いやいやいや、イフメの人?
聞いたことないよ。
私、そんな大それた者じゃないから。
前世持ちの四歳児だから。
中身が時々オバチャンになる普通の人だから。
国を救ったりしないよ。できないよ。
陛下をお救いしたいと思っているだけだからね。
国を救うとか、期待したらダメだからねー
私は心の中で、叫び続けた。
また父上が優しく背中をポンポンと叩いて宥めてくれる。
顔が似ている3人が、私をじっと見ている。
なんで?どして?
陛下が、「イフメのマリアよ。我が命はイフメのマリアに託す。」そう言った。
いやいや、私はイフメのマリアじゃなーい
ウェリントン公爵家令嬢のマリアでーす。
間違えないで下さーい。
そう言いたかったけど、流石に場の空気を読んだよ。だって、中身がおばちゃんだから。
私は静かに「承知いたしました。」と頭を下げた。
ワーン(泣)えらいぞ、私。
そして、いよいよ決戦の時を迎えるのでした。
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