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こんな世界で頑張れるもんか 〜今さら娘といわれてもねぇ、知らぬ存ぜぬでございます〜  作者: 与謝野竜胆


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第二十五話

申し訳ありません

これから二、三話ほど

少し重たい内容が続きます

 陛下の執務室横の書斎で説明を行う。

念のため防音魔法と結界魔法を施すことにする。

情報が漏れることがあってはいけないからね。

陛下に魔法使用許可を得て私は書斎全体に魔法をかけた。


 私も手探り状態だけど、出来る事やれる事はすべてやろうと思う。そんな覚悟で挑むよ。

 陛下には症状などを聞いてから、私が分かる範囲内の全てをお話ししますと前置きした。

陛下のお話を聞いてから私が説明を行うよ。

 陛下には私の説明を全て聞いた後で、今後のことを検討して欲しいと思っている。

そして、説明を聞いて理解した内容を誰にどこまで伝えるのかも決めて欲しいと伝えた。

 そして陛下に、いつからどの様に調子が悪いのか詳しく教えてほしいとお願いした。


 陛下

『半年くらい前から妙に疲れやすくなった。食欲も徐々に落ちた。

その時は特別気にするほどでもないと考えていた。

執務が忙しくて、睡眠時間の確保もできないからだと思っていたからだ。

 3ヶ月くらい前だったか、王妃から痩せてきたのではないか?顔色が悪い気がすると言われ、忙しいのは分かるが休まないと回復しない。しっかり休養してほしいと必死な表情で頼まれた。

 確かに常に体が怠かった。

 その内に食事をすると鳩尾あたりに張るような痛みがでてきた。

 宮廷医に相談して疲労回復薬と睡眠薬を処方してもらった。

あまり効果は感じなかったが、短時間でも寝ることができるようになった。

しかし、以前より強く気怠い感じが続くようだった。

 最近では何をするのも億劫に感じるほど倦怠感が強い。身体が重たい感じだ。

 食事は誰かと食べなければならない時には食べるようにしている。食べたいと言う気持ちにならない。

そんな調子だから食事量は落ちているだろ。

元気な時の半分以下かもっと少ないかもしれない。』とそんな内容だった。


 はぁ、かなりまずい気がするね。

 肝臓は沈黙の臓器だからね。症状が出ているってことはかなり進行していると思う。

だってあんなに育った腫瘍だもの。黄疸も出てるし。

 私は白い壁に向かって、今日スキャンニングした陛下の肝臓を映し出した。

陛下と父上が驚いている。

「これは魔法か?」と声を揃えて聞いてくる。

いや、今はそこは置いとこうよ、2人とも


 私は説明を始める。

「これは本日、私が陛下のお腹の中を透視した画像です。これは肝臓で、本来はこの様な大きなコブのようなものはありません。

 比較のために、こちらは父上の肝臓です。

2つを見比べてもらうと明らかに違いが分かると思います。

 (2人が頷く)

 この丸いコブのようもの、腫瘍といいます。

恐らくですが、これが原因で疲労感が強く、食事が食べられず、お腹の張りや痛みが出ているのだと考えます。

ここまでの説明は理解して頂けましたか?」

 (2人が頷く)

「ここからが本題です。

このままでは、陛下は…すみません、はっきり申し上げます。おそらくそう長くはないと思います。」

 重く感じる沈黙が続いた。

それは、そうだろうと思う。

 突然、「あなたは、もうすぐ寿命が尽きるかもしれない」と言われたのだ。しかも四歳の女の子に。

 私、不敬罪にならない?一応、オブラートに包んだつもりだよ。

 だけど、はっきり言った方がいい。陛下の状況はかなり厳しいと思う。

 今は気力だけで乗り切っていると思う。凄まじい精神力を持っているよ。


 口火を切ったのは父上だった。

「マリア、私が倒れた時のことを話してくれないか?新しい試みをして私を救ってくれたんだろう?」と提案してくれた。


 私は王宮から帰ってきた父上が倒れた日のことを思い出した。

 その時のことを振り返りながら2人に話した。

 王宮から帰宅後に突然父上が倒れました。

声をかけても反応がなく、太い血管を触って脈を確認しましたが触れませんでした。呼吸も止まっている状況でした。

 怖いのは心臓が動かない為に全身を巡る血流が途絶えることです。

脳に血流が巡らないと生存の可能性が著しく低下します。

もし仮に心臓が動いても脳がダメージを受けてしまうと後遺症が残ります。

 だから私は父上のここ、心臓がある部位を外側から強く押して心臓を動かすことにしました。

力がないので、騎士の方に協力してもらいました。

 騎士の方が心臓を動かしてくれている間に、私は病変部を確認することにしました。

 最初に頭を見ましたが異常なしでした。

次に胸部をみました。心臓が怪しいと思ったので重点的に心臓をみました。

心臓にある太い血管に、かなり大きな血液の塊がありました。

血の塊を全て取り除いて、次に心臓を動かすために微弱な電気刺激を心臓に流しました。

反応があって、無事に心臓が動き出しました。

 これが父上が倒れてから私が行った医療処置です。

私は身振り手振りを加えながら、出来るだけ詳しく話をした。


 ああっ、これで私は終わったかも。(今の心情はマンガなら崩れ落ちてからの四つん這いだよ)

 私は父上が倒れた時、この国では考えられない医療処置を行なったんだよ。

父上を助けられたから後悔なんて微塵もないけどね。

だけど、今、それを語ったんだよ。2人の前で

 何故そんなことを知っているのか?その情報はどこから得られたんだ?

きっと、根掘り葉掘り聞かれるんじゃないかな?

もうさぁ、正直に答えるしかないのかなぁ。

全部ぜーんぶ、私が夢で見たことにならないかなぁ。

そんな事をぼんやりと考えていました。


 陛下が、「ウェリントン公爵を助けてくれてありがとう。よくやったなマリア。」そう言ってくれた。

陛下は、ただただ私を褒めてくれた。泣きそうだよ。


 「それで私についてだが、私に病気の説明をしたということは、この病気についてマリアなりの提案があるということだろか」と聞いてきた。

 私は気を取り直して、再度姿勢を正して説明を行った。

 「はい、確かに腫瘍は大きいのですが、見た限り肝臓の形は保たれていますし、腫瘍の境界線が明瞭なので悪いものではない可能性もあります。(この世界に組織を採取して検査するとかないよね、泣)

そして他の臓器に広がっている様子もなかったです。

お腹の中に水もたまっていませんでした。」


「ここからは治療の話をしていきます。

 このままにしておくと、腫瘍はどんどん大きくなります。ここにある胆汁が流れている胆管や血管を圧迫する可能性が高いです。

そうなると今より黄疸が酷くなり、激しい腹痛に襲われるようになります。

細菌感染を起こす可能性が高く、その場合は手の施しようがありません。

 だから、そうなる前に腫瘍を摘出できないかと考えています。

 非常に難しい処置ではあります。

肝臓には沢山の血管があるため、大出血を起こす可能性もあります。

それに摘出できるのかも怪しいです。

私もやったことがありませんので。

 それから、摘出できたとしてもその後に通常の生活が送れるのか、やってみないと分からないことが多いです。

 それでも何もしないよりかは可能性のある方を試みても良いのではないかと思ったので説明と提案をしています。

 私にもできるのかどうか分かりません。経験したことがないのですから。

 ただ、父上の時のことを考えると何もしないでただ見守るだけではなく、私がやれる事できる事を試みてもいいのではないかと思うのです。

 私はルイス様が成人するまでは、陛下にお元気でいてほしい、そう思うのです…

 今は返事をもらわなくていいから、とにかくゆっくりじっくり考えてから決断して欲しいです。

後悔しない選択をしてほしいと思います。」

そう話を締め括り頭を下げた。


 陛下が「ルイスのことを思い遣ってくれてありがとう。嬉しく思う。

そうだな、息子達のことも考えて、これから病気との向き合い方を考えてみよう。

 マリア、今日もご苦労様だった。」そのように労いの言葉までもらった。


 私と父上は帰宅することにした。

 陛下から何らかの決断が出るだろう。それは受け入れようと思う。

また聞きたいことがある時には呼びだして貰えば良いし。

 部屋を出ると父上が、何も言わずに優しく私を抱え上げてくれる。

背中をポンポンと労うように叩いてくれる。

マリア、頑張ったな、偉かったぞと褒めてくれた。

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ありがとうございます

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