第二十二話
拝謁が無事に終了しました。(私、虚脱)
父上と母上が、今日も転移魔法で帰っちゃう?と聞いてきました。
ムリっ!今日は無理だから。そんな元気ない。
そんなに残念そうにしないでほしいよ。
分かるけどね。2人とも知的好奇心が刺激されて、転移魔法にワクワクがとまらないんですね。
それに、カタカタゴトゴト揺れながら公爵邸に帰るより、一瞬で移動する方が楽ちんですもんねー
メリットしかないです。
だけど今日は疲れてしまったよ。主に精神がゴリゴリと削り取られてしまいました。
もう、王宮で魔法は使いたくない気持ちよ。
平々凡々など庶民の私が腹の探り合いとかできるかってことよ。そして、国で一番偉い方に立ち向かったんだよ。(虚脱です)
もう一瞬で帰っちゃう?そうする?みんな疲れたね。
いいよ、いいよ、頑張るよ。魔力は問題ないからね。
そして、喜びを隠しきれていない両親と王宮の父上の執務室から公爵家へ移動した。
転移魔法はやっぱり便利だね。時は金なり、この時間を有効活用させてもらいましょう。ってことで、休憩させて下さい。
あっ、忘れていました。
重要なことです。
陛下って、病気持ちですか?
両親共に首を左右に振りながら、聞いた事ないなとおっしゃいます。
う〜ん、なんか病気っぽいんだよね。
スキャンしてみたかったけど、不敬罪になってはいけないし、あの場ではそんな気にもならなかったからね。思い出しただけでも身震いしてしまうよ。
だけどルイス様や他の王子様の年齢を考えるとね、まだまだ元気に過ごしていただきたいですからね。
私の取り越し苦労だといいんですが。
父上が神妙な顔で、そんなに疑わしいのか?と聞いてくる。
そうだねぇ、なんて説明したらいいのか難しいのだけど、よく言うじゃない、女の勘よ!ってね。
ははっ、この国ではそんなこと言わないですか。
覚えていた方がいいですよ。父上、女の勘を侮ると痛い目みますよ。色々とね。
ここからは、私の頭の中の考えなんだけど
私は前世で医療関係を少し齧っていたんじゃないかとおもうんだよね。
だから父上の時も立ち回りができたと思う。
そして、今回の陛下についてだけど
医療に携わっている人って、アレ?何かおかしくない?って何となく察するんだよね。そしてそれは、十中八九当たる。
そんな感じで、今日見た陛下の顔色とか表情とか動作とかに違和感があったんだよね。
大事にならなきゃいいけど。
勿論、王宮には医師団とか医療班とかいるだろうから、日頃から健康に気を使ってもらえていると思うし、病気になれば最高水準の治療が行われるのだろうけどね。
マジで、私の杞憂ならいいのだけれどね。
それから数日は、穏やかな毎日を過ごすことができた。
ジョンさんが公爵家に帰ってくることが増えました。
何故かというと私の魔法の訓練という名目の、実態はジョンさんが自分の訓練をしている。
そしてもれなく父上も参加している。
強くなるのはいいことだし、私も魔法の訓練になるし一石二鳥だね。
ジョンさんが公爵家に帰って来ると公爵家の人々も嬉しいようだし、いいことだね。
この機会にアイスクリームメーカーを作ることにしましたよ。
暑くても寒くてもアイスクリームが食べたくなります。ならば、作るしかないのでございます。やったるで!!
魔法が使えるから容器を冷やすことは簡単。
そこに卵黄、牛乳、生クリーム、砂糖を混ぜて入れて、冷たい容器の中で混ぜて混ぜて美味しくな〜れの、この混ぜる部分のハネを作らないといけないんだよ。
空気が入るように混ぜないと柔らかいアイスクリームにならないからね。穴の空いたヘラみたいなのに取っ手をつけてクルクル回るようにした。
前世を思い出しながらつくりましたよ。
困ったのは、ヘラや取っ手なんかを作る材料がないこと。この国にプラスチックがないのです。
材料を魔法では作れないのだよ。残念
とりあえず鉱物を使うしかないのだね。重たいよー。ぶうぶう
そして、出来上がりました。
アイスクリームでーす。
甘くて冷たくて、サイコーです。
公爵家の使用人の方々や騎士団の方々に配りました。日頃のお礼です。喜んでいただけて何よりです。
父上も母上もジョンさんも喜んでくれました。
和やかなノホホンな毎日が有難いことです。
しかーし、悲しいかなそんな穏やかな毎日は長く続かないのです。
そうです!
そんな平和をぶち壊す人といえばジャック!
お前さん、またなんかーい
朝早くからジャックが公爵邸に襲来です。お前さんヒマなのかい?
「父上、来月に隣国の王太子ご夫妻とご子息ご息女が来国されるのはご存知ですか?
歓迎式典が開催されるので、我が家もマリアを伴って参加致します。」朝から大声で叫んでいるよ。
今日もジャックは通常運転だね。
挨拶をすっ飛ばしのいきなり本題ぶっつけるんかーい。
しかも、そこはエントランスホールやないかーい。
どうしてこんな大人に育った?
ジョセフさんが「旦那様は執務室でございます」と冷静な対応をしている。
そんなジョセフさんを無視して、私のところに来た。
なんで〜なんでいきなり私のところに来た?
怖い怖い、私は厨房横にある職員の休憩室にいるんですけど(新しいメニューの相談中)
はっ!ジャックはストーカーなの?私を監視してるの?ギャーコワイー
「マリア、今日から我が家で生活をしなさい。来月の歓迎会に間に合うように準備をしなくてはならないからな。」とジャックがノックもせずにドカドカと入ってきて私に指を差しながら言い放つ。
ジャックよ、お前さんが先にマナーを学ぼうかね。
父上が来ましたよ「ジャック、私の執務室に行こう」ジャックにそう告げてから、私を抱き上げて執務室に移動する。父上の安心安全安定の抱っこだよ。
執務室に入るや否やジャックは
「父上、来月に隣国の王太子ご夫妻とご子息ご息女が来国されるのはご存知ですか?
歓迎式典が開催されるので、我が家もマリアを伴って参加致します。」と先程と同じ事を喋る。
ジャック、落ち着きなさいと言ってソファーに座る様に顎でソファを指した。
私達もソファーに座る。母上とジョンさんも一緒だ。
みんなを呼び寄せることができるジャックの声は、ある意味特殊能力なんじゃないかな?
私は「何故、私が職員の休憩室にいると分かったのですか?」とジャックに質問した。
ジャックが「お前、喋れたのか?」と返してきたよ。
しまったぁー、ジャックに話しかけちゃったよ。
だってさー、怖すぎだよ。私の居場所が100%分かるなんてさー。
父上が、ジャックは探索魔法が使えるんだと教えてくれた。ジャックも魔法が使えるのか。チッ
今日も舌打ちは回避できそうにないね。
父上が、「隣国から王太子御一家がお見えになることは聞いている。我が家も歓迎式典の準備に追われている。
ジャックよ、何度も言わせるな。
マリアは私とアマルの娘だ。何事も私とアマルが決定する。お前に権限はない。」
「こちらも忙しいのだ。もう、帰りなさい。
これから我が家を訪れる時には数日前に連絡をしてくれ。必ず訪問の目的を知らせなさい。」
そう言って、冷たくジャックを見た。
父上のこんなに冷たい目は初めて見るかもしれない。
しかしジャックは全く気にしていない。
気が付かないのか?流石ジャックだ。我が道をいっちゃってるね。
「父上、実家に帰るのに毎回連絡をするなんて無駄じゃないですか。今まで通り好きにしますよ。
それより、マリアは私の子供です。
今は父上と母上の養女になっていますが、戸籍も元に戻します。実の親子が一緒にいるは、当たり前のことですから。」
ジャックの言葉に、そこにいる全員がジャックを刺すような眼差しで見る。
あっ、ジョセフさんとナターシャさんもいる。
ジャックの独走は続くよ。
「マリアが産まれた時は、正直落胆しました。男の子が産まれると思っていましたから。兄弟で第一王子の側近にさせるつもりで考えていましたからね。それなのに産まれてきた子供は女の子。計画が狂ってしまいました。」
「しかも、産まれてきたのは誰にも似ていない、のっぺりしたシワクチャな子供。今はまぁ、見れるようになってきていますが。」
「しかし、女児なら伴侶としての道もある。しっかり王妃教育に準ずる学びを施していけば可能性も高いのではないでしょうか。」
ジャック、言いたい放題の熱弁です。
しっかし、よくもまぁこのアウェーな中で平気でいられるな。ジャックは大物なのか?
父上が、「黙れ、ジャック」
地を這うような大声でジャックを一喝した。
そこにいる全員が、ジャックを軽蔑の眼差しで見ている。
「マリアは公爵家の娘だ。公爵家当主の私が決めた事だ。以後、この件に関して関わることは許さん。
マリアにも近づくことは許可できない。」と父上が最終通告のように申し渡した。
「しかし父上、公爵家のことを考えるならマリアを王族に嫁がせ・・・」ジャックの口をジョンさんが塞いだ。
「兄上、当主の決定に反論は許されませんよ。もう、お帰りください。」とジョンさんがジャックを引きずって執務室を出て行った。
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