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こんな世界で頑張れるもんか 〜今さら娘といわれてもねぇ、知らぬ存ぜぬでございます〜  作者: 与謝野竜胆


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第十八話

 何の前触れもなく、本当にジャック(生物学的父親)は、やってきました。何様なんじゃ?

 いくら家族とはいっても、こちらは公爵家当主が居住している本邸なわけですよ。

それに比べて、あなたは(ジャック)たまたま後継者に指名されただけの公爵家の次男です。

礼儀を弁えましょうよ。

昨日も父上から説明されていましたよね?

学習能力がないのですか?

 なんていうかですねぇ、我が公爵家で、ジャックだけが『どーしてこーなった?』という非常識残念人間にお育ちになってしまっています。

 父上も母上もジョンさんも、礼儀正しく包容力があり、人の立場に立つことができる人格者。

 外見は其々に似ているところがあるけれど、内面は全くもって似ていないジャックなのである。

 

 母上とジョンさんと3人で、もしジャックが来たならどう対応するのか話し合っていた時だった。

 昨日と全く同じ様に

足音がバタバタと聞こえ、ダメです、許可がありません、うるさい、知ったことか、私を誰だと思っている、などなど大きな声でやり取りし

そして、バンと大きな音を立てて談話室のドアが開いた。デジャヴ?

 ジャックが私の前に太々しい表情で仁王立ちして、「マリア、迎えに来てやったぞ」とのたまわった。

 母上が、「ジャック、昨日もジェームズが話したでしょう。マリアは私とジェームズの子供なの。私達が許していない以上、あなたに連れていく権利はありません。」

 ジャックたら、わざとらしく大きな溜息をついて

「何を言うかと思えば、全くくだらない。誰が何と言おうと、マリアは正真正銘私の娘です。マリアは、私が指示したことには従わなくてはならない。」

 そう言って、いきなり私を抱き上げた。瞬間、ぐらっと身体が揺れて落下しそうになった。

私は何かを掴まないと落ちる、と手を伸ばして掴んだのはジャックのクラバットだった。

グエッとかグボッとか変な音がジャックから聞こえた。

 仰け反りそうになりながら、片手でクラバットを掴み、落ちる落ちると必死にクラバットを引っ張る私。クラバットを掴まれて、首が前に引っ張られ苦しそうな赤い顔のジャック。

 ジョンさんが素早く私をジャックから引き取りました。ありがとうだよぉ〜、ジョン!出来る男!good!

 おまぇー、何をすると私につかみかかろうとするジャック。

身を翻して私を庇うジョンさん。

 ジョンさんが、いきなり子供を抱き抱えるなんて危ないじゃないですか、しかも慣れていないのでしょう、落ちなくて良かったですよ。と真っ当な内容でジャックを諭してくれようとした。

 しかーし、そんなことに聞く耳を持っているジャックではなかった。

 爵位も持たない三男のくせに、偉そうに私に意見するなと激昂です。

 ジャックバカなの?爵位がないのはジャックも同じだよね。ただの公爵家の次男だよね?脳みそあるか頭の中覗いてみる?

 ジョンさんが、優しく背中をポンポンして怖かっただろう。と言ってくれる。

 

 母上が「ジャック、ジェームズから言われたこと覚えている?忘れている様だから、もう一回言いましょうか?『ジャック、マリアは公爵家当主の私の子供だ。後継者に指名されているだけに過ぎないお前には、この子に対する権限は何もない。黙って帰宅するように。それでも抵抗するなら、こちらにも考えがある。』」

 ジャックは、母上の言葉を遮るように

「第一王子とのお茶会に参加させるんです。名誉なことではありませんか。もしかしたら、婚約者に指名されるかもしれません。身分も年齢も一番条件が揃っているのですから。」

 ジャックよ、捨て置いた私を今更、駒のように働けというのか?しかも、お前さんは私のことを何一つ知らないではないか。年齢と身分だけで何が婚約者に選ばれるだ、冗談でも笑えないではないか。

 この人のDNAを受け継いでいるのかと頭を抱えたくなる。嫌だ嫌だ、断固拒否だよ。考えたくもない。

あっ!父上と母上とジョンさんのDNAも受け継いでいるよね。そちらから沢山いただいていることにしとこう。うんうん。


 ジャックは、暫し考えてから「王宮から招待状が届くようにしましょう、拒否はできないですよ。一緒に行くのは、父親である私。それでいいことにしましょう。」

「では、これで失礼します。今から王宮に行かなくてはなりません。私も何かと忙しいのでね。」

そう言って、返事を聞くこともなく談話室を出て行こうとしました。

 私は、ジャックの背中に小さな火玉を放って、ジャケットに小穴を開けた。

ネイビーのジャケットに開けた小さな穴から白シャツが見える。

ジャックの背中、そこには、《私は無礼者です》と文字が浮き上がって見えた。

 それを見た母上とジョンさんが肩を震わせている。

 

 ジャックよ、あなたに人望があれば

その背中に書かれている文字をそっと教えてくれる人がいるだろう。

人望がなければ、いつか自分で気がつくか、あなたの家の者が気がつくのか、今は神のみぞ知るということだろう。

 そして私達は、無礼者の後ろ姿を黙って見送った。


 それから穏やかな1週間を過ごしていた私達のところに、怒り狂ったジャックが乗り込んできた。

 (ジャック)のジャケットに穴を開けた奴がいる。誰がやった?こんな幼稚な悪戯。低レベルにも程がある。地団駄を踏む勢いだ。(子供かっ)

大声量で怒鳴り散らしている。しかも、あの無礼者ジャケットを握りしめている。

 父上が、朝から騒がしいな。今日は、何事で公爵家を訪れたのだ?と冷静沈着な表情で、ジャックに問いかける。

父上たら、分かっているくせに(笑)演技がお上手ですこと。

 ジャックは、怒りながら

「見て下さい。このジャケットの背中を。

焼け焦げて穴が開いています。」苦虫を噛み潰したような顔である。

 父上が、ほぉ〜と言いながらジャケットを手に取って広げて見ている。

 「これは、これは、細かな技術が必要な魔法だなぁ。誰にでも出来ることではないなぁ。高度な魔法を使える者にしかできない技だな。相当の才能がある魔法が使える者だろう。」と穴を見ながら話している。

 「して、何故お前は我が公爵家にこれをもちこんだのだ?」と真面目な顔でジャックに問うた。やりますね、父上

 ジャックは「このジャケットは、私が先日に公爵家に来た時に着ていたものです。我が家の洗濯場の使用人から、このまま洗濯をすると使用できなくなりますが、洗濯をするべきかと連絡がきて、確認するとこの状態でした。公爵家の誰かがやったとしか考えられない。」と述べるではないか。

 ジャックよ、貴方には人望がないのだね。分かっていたよ。王宮はおろか、自宅でも洗濯場までスルーされたのか

 父上が、我が家に来た後に王宮に行ったのではないか?と聞き返した。

 ジャックは「王宮にこんな失礼なことをする人間はいない!」 と言い放った。

 父上、こんな男を何故に後継者に指名した?

執務か?執務が異常なくらい捌けるのか?

何か特別なギフトでも賜っているのか?

そうでもないと、この数回会っただけだがジャックは、相当のおバカさんにしか見えないです。

 父上が、「マリアは痛いとこをついてくるなぁ。私もジャックがここまで出来が悪いとは思っていなかった。学園での成績はそこそこ良かったし、問題を起こしたこともなかったんだよ。私の考えが甘かった。」と小さな声で私に囁いた。

 父上、これは後継者問題が揉めもめになるのが目に見えてしまいましたな。お気の毒にと返しておいた。

 私達がゴニョゴニョ話しているのを見て、イライラしたのかジャックが「何をコソコソと話しているんだ?怪しい。誰が私のジャケットにこの様な低俗な悪戯をしたのか、はっきりと言え!」そう言って、私を指差した。

 えっ?私?私に答えを求めているの?

そうだよ、確かに犯人は私だよ。

でもさぁ、私だって言うわけないじゃん。

四歳児ができるようなことじゃないじゃん。

そんなことも分からないの?ジャックは。

 「知らない」と答えた。

 父上が、高度な魔法が使えるなら王宮にいる魔法師の可能性があるかもしれないな。と言う。

 ジャックは納得いかないようだったが、父上からこれ以上公爵家にいても時間の無駄じゃないか?忙しいんだろ。と言われて帰っていった。


 そして、王宮からお茶会の招待状が届いた。

流石にお断りができないそうだ。

はぁー(溜息しかないよ)嫌なんですけど、ジャックとお茶会なんて。

絶対にやらかすよね。だって、ジャックだよ。

私、ジャックの尻拭いなんてしたくないです。

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― 新着の感想 ―
はぁー(溜息しかないよ)嫌なんですけど、ジャックとお茶会なんて どうしてジャックと行くことになるのか、そこが分からない。生物学的親との縁は切れているのにどういう理由なのかな。
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