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こんな世界で頑張れるもんか 〜今さら娘といわれてもねぇ、知らぬ存ぜぬでございます〜  作者: 与謝野竜胆


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第十二話

 そして、月日は流れていく。

 今日は、私の4歳の誕生日です。4歳にして初めての誕生日をお祝いです。

 そりゃそうだよね、前の家では生まれた日ですら知らなかった。自分の名前を知らなかったんだから誕生日なんて分かるわけないよね。

 ジャック(生物学的父親)よ、恨み辛みはあるが仕返しはもう少ししてからにするよ。あなたの両親が私に与えてくれる愛情が半端ないから、今はこの状況を甘んじて受け入れるよ。だけど、決して忘れることはないだろう。あの状況の中で、私だから生きていたんだからね。もう少ししたら、思い知らせてやるからね。おぉっほほほっと心の中で高笑いする。

 

 朝からおめかししています。

家族とこの家の使用人とだけの誕生日会です。

公爵家ともなれば、使用人の数も半端なく多いです。

その人達一人一人とのお付き合いが日々の中であるから、みんながお祝いに参加してくれることになりました。

 ジョセフさんからお屋敷を案内してもらいながら、使用人の方々に挨拶をしてまわりました。

 私が特に親交が深いのが庭師のトーマスさん、私はトマ爺と呼んでいます。トマ爺は、植物博士です。植物のことは何でも知っています。

 こちらの国の食事は美味しくはあるのですが、何というのか出汁が効いていない。出汁の風味ってさぁ、知ってしまったら忘れられないのだよねぇ。いりこ、昆布、あご、しいたけ、野菜だしに鶏だし、豚骨もいいですねぇ。出汁ですよ!出汁!!ぐいっと飲みたい。

 こちらの国は、前世でいうと欧米か、的味なんです。後一手間かけたら更に美味しくなるのにねぇ、ちょっと残念だねという味が多いかな。

 だから、トマ爺にハーブとか薬草について教えてもらっているんだよ。勿論、庭仕事をお手伝いしながらね。 

 公爵家の敷地は、広大だ。タウンハウスも森があったくらいだから、かなり広壮だったと思うけど

ここは、門が2つあって第一門を通過すると湖?いやお堀か?と思う水路があって、続いて第二門を通過すると美しい庭が広がっている。移動は、馬車。歩くなんてどれほどの時間を要するのか見当がつきません。

 トマ爺には沢山の部下がいるらしい。トマ爺の知識の深さに魅せられた人達が集まってきて、師弟関係が出来ているそうだ。

 そんな公爵家のお庭事情は後ほどとして、私とトマ爺なんですが、私は食べるなら美味しい物が食べたいし好きな物が食べたい。

 お魚やお肉は臭みがなく柔らかい方がいい。だから、ローリエやオルガノ、ディル、タイム、ローズマリー、レモングラス、パセリやバジルなどなどハーブを上手に使ってほしい。ニンニクだって欠かせない。

 私はトマ爺から得た知識と言いながら、前世で好きだったメニューをそれとなく料理長に伝える。

 料理長のアントニオさんは好奇心旺盛で研究熱心な人だから、新しいことに取り組むのが大好き。

私が、こーした方がお肉の臭みが消えて柔らかくなるみたいとかお魚は、ハーブをまぶしてオリーブオイルで焼くと美味しいらしいよなどなど、ちょっとだけヒントを出すと直ぐに再現してくれる。

 公爵家の人達って、不思議なんだけど3歳児の私を1人の人間として扱ってくれるんだよね。だから、どこに行っても邪険にされないし、マリア様が話されていることはやってみようと言って実践してるくれるんだよね。

 厨房に入って邪魔にならないように皮剥きしながら調理方法を見たりしても、させてくれるし温かい目で見てくれるんだよね。

 私は皮剥きが好きだ。無心にやれるし有り難がられるんだよ。

 メイドさん達は、私が倒れた時も誠実にお世話してくれた人達で、日々のお世話も抜かりなくしてくれてます。お掃除やお洗濯の人達にも、前世の豆知識を伝授して喜んで貰ってます。

 魔法があるから家事は魔法で!とはならないよ。魔法を使える人は限られているからね。そして、魔法に頼らない生活をするような国が取り組んでいる仕組みがあるそうだ。 

 そんな感じでフレンドリーな関係を構築していったら、皆さんがマリア様の4歳のお誕生日を一緒にお祝いさせて欲しいとなったらしい。ありがたい事です。

 私はお誕生日のケーキは、イチゴショートケーキが希望なんだよねぇ。

 この国でイチゴの栽培をしているところから苗を分けてもらって、公爵家の庭の一部で育てたんです。

 トマ爺にお願いして、苗を準備してもらって、私が魔法で、大きくなーれ、美味しくなーれをやってみました。

トトロっぽくやってみました。するとどうでしょう、ピッコン、ピッコン、ピッコンと大きくて美味しいイチゴが実りましたよぉ。

 やっちまったなぁ!これもこの国でできる人はいないのかな?父上に聞いてみないといけないね。

 こんなにあっという間にスクスク育って、美味しいイチゴが食べれてしまうなんてね、有り難い魔法ですよ。トマ爺は、何とも言えない顔で見ていました。


 パーティは、父上の挨拶から始まって乾杯からの演奏したり、踊ったり、歌ったりと楽しい時間を過ごすことができました。

 イチゴショートケーキは、大絶賛でした。

イチゴは勿論のこと、生クリームも作りました。牛乳を成分分けするのは大変だったけど、生クリームの美味しさは譲れないからね。料理長と一緒にがんばりました。バタークリームじゃショートケーキじゃないからさ。そこはゆずれなかったのだよ。

 公爵家のみなさんからのプレゼントも私を慮ってくれたことが分かるお品物の数々をいただきました。ありがたいことです。

 楽しい初めてのお誕生日会は、大盛況のうちに幕を閉じました。

 4歳の私の1年が、やっぱり波瀾万丈から始まるのだなんて、お誕生日会でウキウキウハウハな私は考えもしていませんでした。


 翌日は、少しだけ遅目に目が覚めた。

 身支度をしてブランチをして父上の執務室を訪ねる。今日も常識についてのお勉強というなの説教があるんじゃないかと思う。

 執務室では、父上が書類整理に追われていた。部屋はスッキリ整っているが、机の上が書類の山になっている。

 父上が動いた時に数枚の紙が散らばった。拾い上げた紙は、領地からの要望書のようだった。

 私が見ても良いものなのかと確認すると問題ないと言われた。

 内容は、魔物討伐で死傷者が多数でているので追加の応援をよこして欲しいという内容だった。

 父上にこの要望書は、1箇所だけなのかと問うとそこは4つの領地が隣接していて協力しながら魔物討伐を行っている。だから4つの領地からの要望書だと返事があった。

 かなり厄介な問題なの?と問うとそうだな、そこの領地は色々と問題があるところだからなと溜め息とともに返事があった。

 父上にジョセフさんに詳しい内容を聞いてもよいか?と聞いたら、首を左右に振りながら非常識なことをするんじゃないだろうな?勝手にやらずに私かジョセフに報告をすると約束するなら、ジョセフに内容を聞いてもよいと言われた。

 父上、私は公爵家に来てから、勝手にやったことなどございませんよ。前にいた部屋でのことを説明しただけです。イチゴの栽培については、お試ししたら成長しちゃったんですよぉ、トマ爺の許可は得ています。トマ爺が私の能力を知らなかったのに、私がやってみて出来たから驚いてましたね。

やればできる子なんですね、私。

 あー父上が頭を抱えて崩れてしまいましたね。次からは父上とジョセフさんに必ず相談しますよ。ごめん、ごめん。

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