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こんな世界で頑張れるもんか 〜今さら娘といわれてもねぇ、知らぬ存ぜぬでございます〜  作者: 与謝野竜胆


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第十一話

 最初にこの国で魔法が使える者について、王族なら8割、伯爵家以上の高位貴族なら6割から7割、平民を含めてそれ以外になると1、2割になる。

 属性については、殆どの者が一属性で稀に二属性、三属性になると王族にいると聞いたことがあるにはあるという程度。と父上から説明があった。

 そうなんだねぇ、そんな感じだと私がやっちゃってることは荒唐無稽、奇想天外ってことになっちゃうよねぇ。

 私が魔法を使う時は、今からこんな魔法を使うよという具体的なイメージをして魔法を発動する。だからアレコレとやれてしまっているのだと思うんだよねぇ。それは私に前世の知識があるからできるんだよね。魔法を使う時は、使う魔法のイメージをより正確に強く思い描けるかということなんだと思う。

 もしかしたら、こちらの世界では他にも方法があるかもだけど、少なくとも私はそうやって魔法を使っている。

 だけど、父上やジョセフさんにしてもこの世界にない物事を思い描くことは難しいだろうし、固定観念を捨ててアイデアを生み出すとか、誰もがそう簡単にできることではない。

 私は、父上とジョセフさんに「今から検証してみたいから協力して欲しい。魔法についての常識を全て忘れて欲しい。難しいと思うけど、私が言ったことだけに集中して欲しい。余計なことを考えずに集中してね。」2人は頷いた。

 「今から行きたい場所を目の前に思い出してみて。正解にその場所を思い出すの。例えば、いつも二人が打ち合わせをしている玄関ホールの景色とか。正解に思い出せる場所を思い描いてみて。正解にその場所が思い浮かんだら、次にそこに行きたいと願いながら自分がその場所にいると感じてみて。」

 暫くするとジョセフさんの「うわぁー…」もごもごという大きな叫び声のあとにフッがフッが見たいな口を塞いだような声が聞こえた。

 父上は、苦しそうな表情をしている。常識を忘れるということは案外難しいことではある。父上のような立場の人は、固定観念を捨て去るというのは至難の業なのかもしれない。

 私は父上に「日頃からよく見ている場面で、思い出しやすい場所を考えてみて下さい。広くなくていいです。」父上が、「アマルの部屋の扉でもいいのか?」というので、ドアを出来るだけ正解に思い出して、そこに行きたい、そこに立っている自分を強く思って下さいと言った。

 暫くすると、父上の姿が私がいる部屋から消えた。代わりに酷く取り乱したジョセフさんが帰ってきた。

数分後には眉間に深い深い皺をこさえた父上が帰ってきた。

 私は二人に「私がこれまでに習得できた魔法について体験してもらった。私は前の部屋では誰からも情報をもらえなかった。本さえ一冊もなかった。私は自分のやってきたことしか分からないから、属性うんぬんについては知らないけど、魔法はイメージ、出来るだけ正確に状況や状態を思い描くことと集中して強く思うことだと思う。」と説明した。

 二人は私の話をじっと聞いた後に、マリアの事は特殊な事例なのだと考えていたのだが、そもそもの概念というか、私達が認識とか解釈に囚われていたのだろう。今やってみた魔法は、この国ではこれまでにない方法だ。これまでマリアと過ごしてみて、他にも沢山の摩訶不思議という出来事があるだろう。一つ一つ向き合って取り組んで行こう。そこからマリアを守っていく方法を探していくことにする。

マリアは、とにかく急いでこの国の一般常識を学ぶことだ。それは、暫くの間は私とジョセフとでやっていこう。アロンソ子爵夫人にバレなかったのは幸いだったな。彼女に何かしら勘ぐられていたらと思うと恐ろしい事が起こったことだろう。

 この二人は凄いなぁ。まだ三歳の私を素直に認めて受け入れてくれる。そして、一緒に未来を考えてくれる。

 二人は40歳前後に見える。溌剌というのか若々しいというのか、動作に無駄がない。そして美丈夫。イケオジとは、二人を現す言葉なんじゃないかしら?眼福なんだよね。そんな二人に何回も抱っこされている私。至福なんてもんじゃございません。

 

 それから、二人が入れ替わり立ち替わり私にこの国についての説明が行われた。

 まぁ、ざっくりといってしまえば異世界ものの世界観だなぁということ。 

 王政で貴族がいて身分制度があり、魔法があり、魔物がいて討伐があり、他国との戦争もあったりする。そして、登場人物の殆どが美男美女。美意識の価値観はそれぞれだけど、均整がとれていて顔立ちが整っているのよねぇ。

 ちなみに、婚約や結婚や出産も早いね。大体が20歳くらいまでに第一子が産まれているみたい。ねっ、異世界の世界観そのものでしょ?

 あとは、父上は50歳でジョセフさんは52歳だった。アマルさんは47歳。私の生物学的父親ジャック27歳(若いね、多分私が前世で死んだ年齢より若いんじゃないかな?記憶がはっきりしないけどね、私はそこそこの年齢の成人女子だったんじゃないかなぁ)

  おぉっと、肝心の魔法についてなんだけど、学園に入る10歳の時に洗礼式と言われる儀式で属性を判断されて、学園でその属性を強化するシステムが個人個人で組まれるそうだ。う〜ん、特化されるのはいいけど他の学びがないと視野が狭くなるんじゃないかなぁ。

 そして、父上からハンカチについても聞かれたよ。だから、二人に実践してもらったよ。何事も経験だよ。

 其々に袋を用意してもらって、また頭の中で部屋をイメージしてもらい、この袋の中に部屋ができるように思い描いて強く願ってみる。ここは、具体的にこんな部屋というのをイメージしないとできないからね。

 私はまだやってないけど、2つとか3つとか分けて部屋をつくれるのかな?それとかタンスみたいに引き出しとかだったら入れる物を分けれるから便利だよね。今度試してみよう。便利になるの良いことだ。

 もちろん、注意も必要よ。メリットとデメリットは常に考えておかないとね。思わぬ弊害に振り回されて迷惑かけてしまうことは避けたいものね。

 二人は苦労しているよ。部屋をイメージできても小さな袋の中にこの部屋ができるという考えが思い描けないようだ。そうだよねぇ。常識が邪魔をするんだよ。

 私の魔法は、ずっと感覚でやってきていて法則や理屈、理論とか分からないままだからね。困ったなぁ。

 二人に、着ている服のポケットに手を入れてみた時に2倍くらい奥行きがあるイメージを作ってみて。と話した。

 二人は何となくイメージできたみたい。ポケットに手を入れて驚いている。上手くいったようだ。

 イメージして定着させる。付与するともいうけど、これって感覚だから表現が難しいんだよね。出来て良かった。

 次は袋にチャレンジしてみる。出来て良かった。欲張らずにそこそこの大きさからチャレンジするといいね。後はアレンジをどうしていくのかは、其々だよ。

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