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異世界魔法使いVS東京ゾンビ   作者: 竹食いパンダ
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7/9

おっさん囮作戦

「おいあいつら、どう見たってここの店員にしか見えないぞ。」

「ほんとだ。あそこに警察の人もいるよ!」


やはり、俺の推測は当たったようだ。こいつらに襲われると感染するんだ。じゃないこんなに増殖するのは説明がつかない。


「みんな、かまれたりしないように注意しろ。あいつらみたいになるぞ!」


聞いてないぞだとか、どういうことだよの怒鳴り声が周りから聞こえるが、今はそんなのに構ってる時間はない。

これは魔法学校の訓練ではない。実戦だ。


「カープティス!(捕獲せよ)」


こんだけいりゃ適当に打ってもどれかに当たるな。でも1,2体減らしたところであまり意味がない。


「ねぇルイ、もっとまとめてバババーンとできるやつない?すぐに近づかれちゃうよ。」


「あるにはあるけど、敵がもう少しまとまっていないと。」


「あいつらをまとめればいーのか?」

がたいのいいおっさんがそう言うと、前に歩き出した。


「おいおっさん。近づくのは危険だ!」




「何言ってんだよ。俺は彼女と安全に帰るために行くんだよ。


俺がそいつらをまとめておけば、おまえが捕まえてくれるんだろ?」

そう言っておっさんは俺にウィンクをしてみせた。


安全に帰るためと言っているが、彼の背中からは死の覚悟が見えたような気がした。


「…わかった。任せてくれ。その代わり、俺の合図が出るまで動かないでいてほしい。」


それを聞いて、おじさんは前を向いたまま、黙って俺に親指を立ててくれた。



そしておっさんは前に出るなり大声で叫んだ。


「てめぇらの血面ブッサイクだな!そんなんじゃ俺みてぇにモテねーぞ!」


やっすい挑発だなと思ったが、効果は抜群のようだ。やつらは一斉におっさんにめがけて走り出した。


接触までの距離はおおよそ5メートル



4メートル




3メートル


まだだ、ぎりぎりまで引っ張るんだ




2メートル



「ははっ。モテモテだな。俺。」 おっさんはそう言って目を閉じた。




1.5メートル




1.2メートル


ここだ!!


「グラヴィタス!(引き寄せよ)」


魔力のバレットはおっさんに命中し、彼が勢いよく俺の手前まで引き寄せられた。


「ははっ…死ぬかと思ったぜ。」苦笑いするおっさんの額には汗がびっしり流れていた。


そしてやつらのほうに目を向けると、突如獲物が消えたせいで空をつかんで、前から順番に倒れていった。


今だ!!「アラアネア ニーベ!(蜘蛛の巣よ)」


飛ばした魔法が勢いよく展開し、粘着性の蜘蛛の巣が降り注いだ。ぎりぎりだっただけどなんとか全員をカバーできた。


やつらが動けなくなったのを確認すると、さっきまで静かだった周囲から歓声が上がった。


「ありがとよ。」

おっさんは俺の肩をたたき、後ろに歩き出した。


「ルイすっごい!おじさんもすごかったけど、うんうん。」


サヤがまた無邪気に喜んでる。ほんと子供みたいなやつだなぁ。

でも油断は禁物。今は早く脱出することを優先しないと。


「おい!エレベーターが来たぞ!」


ちょうどいいタイミングだ。いや、もっと早くてもよかったけど。


俺たちはすかさずそれに乗り込んで、地上に向かった。

扉が閉まる直前に、一瞬だけあのフロアに黒い影が立っているのが見えた。


気のせいか?


確かめようがなかった俺は、少しモヤモヤを残したまま。地上に降り立った。


「一階です。」

エレベーター内で女性の声が聞こえると、扉が開いた。


やっとここから逃げられる。少しだけ気が楽になれると思った。


が、それはとんだ思い違いだった。



扉が開いていく先の景色は、俺たちに これが地獄のはじまりであることを 告げていた。

「グラヴィタス!(引き寄せよ)」

初級重力魔法。物体の引き寄せに使われる。めんどくさがり屋にとっては必需魔法のため、うまく使いこなせるかどうかでその人のめんどくさがり度がわかる。


「アラアネア ニーベ!(蜘蛛の巣よ)」

スパイダークイーンの巨大の巣を召喚する。召喚できるサイズはその人のイメージにもよるが、大きさの限度は習熟度と魔力に比例する。なお糸はかなり丈夫で粘着性があるため、髪の毛に絡むと簡単に取れない。

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