フラグ
俺たちはエレベーターという箱で109の7階まで上がった。
この世界は不思議な仕掛けが多いな。このエレベーターからは魔力が感じられないのになぜ動くのか。
早速質問したいことが溜まっていくな。
「ここにカフェがあるからちょっと休んでいこう!口乾いたっしょ?」
そう言って彼女は店員と思われしき男性に注文をしに行ったようだ。
俺は座って待っている間に周囲を見渡して見たけど、若い女性が多いな。
そしてサヤのことを指差しながら「ねぇあれ、サヤサヤじゃない?」「ほんとだ!やっぱ本物はかわいいね!」とざわつくグループもあった。
あいつ有名人なのか?
ぼーと考えていると、サヤが二人分に飲み物を持って戻ってきた。
「飲みやすいゆずソーダにしてみたけど、よかったすか?」
渡されたのは黄色いつぶつぶが入った飲み物だった。中には泡が立っていて不思議だ。魔法か?
喉が渇ききっていた俺はすぐにそれを飲んだ。
うわぁー!なにこれうますぎるだろ。冷たくてほどよい甘さと酸味、なんともフルーティだ。
そしてこの泡の効果なのか、口の中でしゅわしゅわしてインパクトがある!
すっかり感動の世界に浸っていた俺をみてサヤは笑った。
「ソーダを飲んでそんな顔をする人を初めて見たっすよ。」
「そ、そうか?こんなにうまい飲み物は初めてだよ。」
「変なの。ソーダ飲んだことないの?」
ああ、そうか。俺が違う世界から来ていることを説明していなかったな。
まずそこから知ってもらおうと思って、俺は今日の出来事を話した。異世界から来たかもしれないことや黒衣の集団のことを。
「……と、いうことなんだよ。こんなの、ちょっと信じがたいよな。」
俺だったらこんな話、信じないね。
でも彼女は意外にも受け入れてくれたようだった。
「ううん、信じるよ。だって魔法使えてたんだもん。何が起きても不思議じゃないじゃん?」
俺は話が通じたことに安堵して、気が少しだけ楽になった。
「でもそうすると、さっきの出来事ってもしかしたら想像以上にやばいことだったのかも。」
さっきまで気楽だった彼女の表情はだんだん深刻気味になってきた。
「あれはただの通り魔かと思ったんすけど、もし違うとしたら…。その黒衣の男たちが絡んでいるとしたら…。」
彼女は黙った。
やはり俺たちは想像以上に深刻な事態を面しているのかもしれない。
「こんなところでゆっくり茶を飲んでいる場合じゃなかったのかもしれない…。」
彼女はやっちゃったような表情で申し訳なさげにこっちを見てきた。
おいおいそんな表情するのはやめろよ。ただでさえ嫌な予感していたんだから。
お互いの悪い予測はピッタリと当たったようで、下の階から女性の鋭い悲鳴が聞こえて来た。
「きゃぁぁああーーーー!」
俺とサヤは思わず目を合わせて息を呑んだ。




