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14:安倍晴明vs蓮と蛍!?

「おはよう、晴明!」

「おはようさん、蛍。 こんな朝早くから、2人して元気やな」 

「……晴明だって、毎朝早くから起きてるでしょ。おじいちゃんみたいに」

「おじいちゃんやからな、朝の散歩をしてるのや」

 


 蓮は嫌味混じりの冗談のつもりだったが、安倍晴明はそれを普通に肯定した。

 確かに、平安時代から生きているとなればおじいちゃんなのだが、もはや“おじいちゃん”という括りで良いのかも怪しい。



(いっそのこと本当におじいちゃんだったら、蛍を取られる心配もないんだけどなー)



 薄目になって考えていた蓮の隣で、蛍は首を横に振って、必死に安倍晴明を元気付けようとした。



「おじいちゃんなんて、そんなことない! ボクから見る晴明はすごく……か、かっこいいぞ!」

「そぉか。 おおきにな、蛍」



 満更でもなさそうに、穏やかに笑った安倍晴明が蛍の頭を優しく撫でた。



「えへへ、嬉しい」

 サラサラと絹のような黒髪を撫でられながら、蛍は幸せそうに笑う。


 

「……蛍」 

 その2人の様子に、ピキッと蓮の笑顔が凍りつく。


 そもそも、安倍晴明が何であろうと、蛍にとっては安倍晴明が一番なのだ。

 おじいちゃんだろうと、若かろうと、見た目の些細な問題に過ぎない。



(とりあえず、今は晴明より強くなろう。そうなれば、蛍の中での自分の立ち位置も変わるはず!)

 


 蓮の中で、そうと決まればよし!と貼り付けた笑みを浮かべる。



「ちょうど良いからさ、晴明も一緒に鍛錬しようよ!」

「なんで、そうなるのや。 俺は後方支援型やから、お前さんのように動く戦い方は苦手なのや」



 安倍晴明は呆れたように目を細めた。

 蛍に一心に好意を向けられている晴明が面白くない——なんてことは口が裂けても言えないが、蓮が私情を大いに挟んでいるのは事実だった。



()()()()()晴明なら、模擬戦の一つや二つできるでしょ?」

「嫉妬があからさま過ぎるな。 はぁ……俺はただの術師や。遊び程度の手合わせでえぇんなら、付き合ったる」

「もちろん、それでいいよ」

「蓮……っ」



 安倍晴明を前にして、強気なわがままを言う蓮に、蛍はアワアワと右往左往してしまう。

 嬉しいような申し訳ないような、複雑な気持ちで蓮に問いかける。



「晴明と模擬戦なんて……そんな、どうするつもりなんだ」

「とりあえず本気で殴ればいいんだよ、晴明を」

「本気で……っ!?」

「というか、ボコボコにしていいよ」

「ボコボコに!?」



 そんなのできるわけがない。

 蛍は思わず小刻みに首を横に振って涙目で訴える。無論、それだけで蓮にはしっかりと伝わっていた。



「そんなのできるわけがない、って蛍は思ってるでしょ」

「うっ、思ってる……」

「蛍は晴明にちゃんと強いところ見せたくないの?」

「見せたいけど……」

「なら、できるでしょ?」

「………ぅ、うぅ」


 

 だからって、ご主人様を殴ってボコボコにするのは違う気がすると蛍は悩んだ。

 しかし、蛍の悩みを消し去るのも、ため息混じりの安倍晴明の言葉だった。



「……はぁ、ほな始めよか。好きに攻撃してくれてかまへんで」


 ——模擬戦が始まってしまう! 

 内心、本当に攻撃するのか!?と気が気でない蛍だ。


 しかも、安倍晴明は何を用意するでもなく、ただそこに立ち、静かにこちらの様子を伺っているだけだった。



「よっし、二対一で負けられないね! 蛍」

「晴明に攻撃するなんて、やっぱり、ボク……っ」


 

 半泣きで迷う蛍をよそに、安倍晴明は蓮がどこまで動けるか警戒していた。



(神力はないが、身体能力までは落ちてへんやろうからな……念のために、自動防御術式と捕縛術式は置いとくか)


 安倍晴明は何をするでもなく、ただそう思うだけで、庭全体に二種類の高位術式を仕込める。

 

 この世界は安倍晴明と木花咲耶姫が結界を管理しているだけあって、安倍晴明は術式を展開しやすい環境に変わっているのだ。


 蓮の知らない内に、この庭は蓮をいつでも捕獲できる術中となる。


 念には念を……大人気ないかもしれへんがな。

 そう思っている安倍晴明の向かい側で蛍と蓮が未だ決心が付かないとばかりに話していた。



「ダメだよ、こういうのは全力でやるから面白いんだよ」

「……面白い、と思えない場合は、どうしたら……っ」

「ダメだよ、それでも楽しまなきゃ損するよ?」

「それが出来たら苦労しないんだっ、蓮のお馬鹿っ!」



 蓮はやる気満々で、どうやら半泣き状態の蛍の言葉を聞くつもりはないようだ。



(……しかし、なんや微笑ましいことやな。蛍は模擬戦は無理そうやけど、蓮はやる気みたいやし)



 なんだか、悪戯をする前の姉弟のやりとりを見ている気分になる安倍晴明。



「迷うのも蛍らしいけど……」

 そして、蓮は安倍晴明に視線を向ける。蓮の蒼い瞳が獲物を狙う猫のように細まる。



(……そろそろ、来るか)


 安倍晴明はどこから来ても避けられるように、一歩足を引いて重心を移動させた。



「いつも良い子に、遠慮してると楽しくないよ——っ!」

「蓮……待ってっ!」



 蛍の静止も聞かずに蓮が高く跳躍する。

 流れるような動きで、的確に蓮は晴明の顔面に向かって蹴りを落とす。



「……っ!記憶喪失ちゃうんかって、動きやな」



間一髪で身を捩り避けた安倍晴明が息を呑む。


とうとう晴明vs蓮です。勝利の行方は……?

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