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望みはきかれた
テーブルを思い切りたたいた男は、赤茶色の頭をうつむけたまま、しばらく動かなかった。
クロスをつかむようににひろげられた手が、ようやくはなれ、いつもの静かな声が聞く。
「 ―― で? きみは聖なる果実に、ハウアーのように子どもになる呪いをかけられたけど、・・・ほんとに聖なる果実は、・・・きみの望みをきいたのかい?」
ゆっくりとむけられた赤茶色の目を、うすいグレーの目が見返した。
「『きいた』んだろ」
子どもは、生意気そうに、うっすらとわらう。
呪いとひきかえに、なんでも望みをかなえるという、聖なる果実はほんとうにあったということか。
「―― ねえ、それじゃあハウアーの『後退』は、・・・もう止まったってこと?でも、元には戻らないのかい? せめて、もうすこし育ったところで」
「止まってねえ」
外見とはことなる、低いホーリーの声。




