誇り高き男
ジャックの落ち着きを戻した声がたずねる。
「―― その、さっき君が言った、ハウアーの『役目』っていうのは?」
「ハウアー!そう!あのかわいそうな男! だが、―― クアットの中で、一番誇り高き男だ」
はじけたように、ホーリーの下品な笑いが響く。
「―― っあ、あいつが、あの馬鹿が、『誇り高き男』だあ?」
「そうか。―― おまえ、ハウアーにノーム種族の子守歌を歌わせたな?なんて悪知恵の働くやつだ! ――― いいか?ハウアーは、おれたちクアットが誕生し、《空の目》が初めて遣わされたときに、自分から誇り高い犠牲になるのを望んだ男だ。その頃のクアットの中でも一番賢く、強く、正しい心の男だった。ハウアーは、キラ種族を滅ぼすための病気をしかける役を買い、自分の体に、その『元』を受け入れた。 空の目の話では、その『元』をクアットの体の中で育てて、時がきたら、犬歯からその『元』をキラ種族に流しこむ。 ―― そうすればあとは、キラ種族同士でその病を伝えあい、やつらは滅びる。 ゆっくりと時間をかけるのは、やつらに気づかせないためだ。おかげで、昔はノーム種族ほどもいたやつらが、ここまで減った」
「キラ種族の病気の『元』が、ハウアーだった?じゃあ、彼はほんとうはいくつだ?いや、そのことと、ハウアーが歳をとらないことに関係があるのか?」
腕を組んで立ち上がるジャックの足元、砂になりつつある男の低い笑いがこぼれた。
「ふふふ・・・歳をとらない?ハウアーが?」




