忘れないうち
「だって、あんたの話が本当だとしたら、ハウアーはこのホーリーよりも歳をとってることになる。なのに、少年のままじゃないか。 きみに初めてつかえたときから、あの姿のままかい?前の前の、そのまた前のオナーにもつかえていたって言ってたけど・・・」
独り言のように言葉をとぎらせたジャックをみあげる男は、少し首をかたむけた。
「―― ああ、そうだ。ハウアーの世話を、おれたち《オナー》がする」
「使用人にしてこきつかうのが、クアット流の『世話』か?『誇り高き男』なんて呼んでおいて、地下の部屋にベッドなしか?」
からかうようなホーリーのそれに、オナーは声を大きく返す。
「地下の部屋は、涼しいからそこがいいと自分で決めたんだ。あいつは熱が高くてすごい暑がりなんだ。 ・・・使用人としていろいろ仕事をさせるのは、これ以上、いろんなことを忘れないようにだ。自分のことは自分でできないと、この先一人で生きていけなくなる。 ・・・おれたち《クアット種族》がみないなくなったら、あいつは自分で世話になる場所をさがさなきゃいけなくなる。―― いつも持っている本に、忘れないうちに、だれかひきとってくれるよう書いておけと言ってある」
『 だれかもらってください 名前はハウアー 』




