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スイッチ
さらり
「っ!?く、ず、・・れてる」
つかんだ手の先から、男の体が砂のようにさらさらとこぼれてゆく。
こんな《最後》をむかえる《種族》の話など、聞いたこともない。
唾を飲み込み、ゆっくりと積み上がる砂を見下ろすジャックが、固い声をだす。
「・・・きみたちクアットは、もしかしたら、《彼ら》の『落とし穴』かい・・?」
ホーリーが気に入らないように鼻をならし、オナーはかすれた笑い声をたてた。
「『落とし穴』か?なるほど。そりゃいい。 馬鹿がハマる間抜けないたずらだ。――― だが、これは、そんなもんじゃないんだ・・・」
首をふり、声をひそめるように男は続ける。
「・・・『彼ら』は、・・・おれたちクアットを『スイッチ』とよんだ。いいか?この世界に生まれたおれたちは、みんなそれぞれ役割があるのさ。 みながみな、『彼ら』にのぞまれたそれをこなしている。 ところが、―― その、期待された役割を果たせない種族が現れた」
「それが、おれたち《キラ種族》だってのか?」
うらめしげに見上げられたホーリーは、わらいながら視線を返す。
ああそうだ、と目をすがめてから、耐えられないようにオナーは顔をそらせた。




