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マード種族
「・・・一時期きみは、えらく、いろんなものを燃やしてまわたって聞いたけど」
「こんなしけった場所になんて、わざわざ来ねえぞ」
「だが、これは」
「火をつけられたって?でもおれじゃねえ」
「じゃあだれが ――」
言い合いになりそうだったとき、沼がごぽりとわきたち、ぬらりとした顔が水面にあらわれた。
「おお、ジャック!、ほんとうに生きてたのか?」
しわがれた太い声に、水際でにらみあっていた男ふたりが振り返る。
じゃばじゃばと水をしたたらせながら《マード種族》が沼からでる。
髪もあり、手も足も2本あるが、指には水かきがつき、皮膚は細かい鱗状で耳はない。
顔の部品は、ぎゅっとつかまれたように、中央にあつまっている。
独特な生臭いにおいがたち、ホーリーはあからさまに顔をしかめた。




