森と沼
うっそうとした森の中。
「―― ふん」
そこは、沼地との境になる森で、沼には魔族で魚の姿を持つ《マード種族》が住む。
森に、《クアット種族》が『かたまって』暮らしているとはきいていたが、その『かたまって』の意味が、考えていたものよりもひどくて、ホーリーはばかにしたように息をもらしていた。
ジャックもそれを見上げ、腕を組む。
「う~ん・・・これはまた・・どうにも、すごいね。 まさか、こんなふうに暮らしているなんて思ってもみなかったな。今にして思うと、たしかになんていうか、・・・目立たないように暮らしてる種族だなとは思っていたけど・・・」
そこには、先をとがらせた長い杭で作った壁がつくられ、簡単に入りこむことは、拒絶されている。そのうえ、出入り口らしい場所が見当たらない。
中に向かってさけぼうかと口元に手をやったジャックが、ふいに思い出したようにホーリーを振り返る。
「 そういえば、この辺の酒場は《クアット種族》がやってるって聞いたな。 沼にいる《マード種族》を、相手にやってるって」
生ぐせえのはごめんだ、というホーリーを無視し、ジャックは沼のそばにあるはずだと、その店をめざす。
しばらく歩き、いきなりひらけた沼のほとりににその小屋を見た。
「 ほお。ずいぶんとシャレた店だな」
それは、真っ黒に燃え尽きた残骸で、ジャックは楽しそうに感想をもらした連れをにらむ。




