70/102
『最初のオナーさま』
「 ちょ、ちょっとまって。 『最後の』? ―― ハウアー? もう一度ききなおすからね。きみは、 ・・・たくさんの『オナーさま』に、つかえてたってこと?」
「たくさん?・・・うーんと・・・ヤギとかみたいには、いないです」
ジャックが説明しなおそうとこめかみに指をつけたとき、冷たい声が先に聞く。
「 ―― 最後のオナーがあいつなら、最初のオナーはどこにいる?」
「もういません」
答えは簡潔で、静かなものだった。
驚いたジャックがハウアーをみれば、少年は、ナフキンをにぎりこんだ手元を見つめたまま、聞いたことのない声をだした。
「 最初のオナーさまは、それは親切で、立派な方でした。 ぼくは、・・・・もう、あまり思いだせませんが、・・・あの方に、・・・たくさんのことを、教えていただきました」
ホーリーの舌打ちが突然ひびき、はっとしたように顔をあげたハウアーが、またしても焦ったように顔を赤くそめ、どもるように言葉をつぐ。




