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『オナーさま』
「ホーリー、ただでさえ、つらいことを思い出せって言ってるんだ。 そんなにすんなりいくわけ、ないだろう? ―― ハウアー、じゃあさ、最近のことを聞こうかな」
にっこりと笑い、安心させ、質問の方向を少し変える。
「―― ここに、最初に来たときに、いっしょだったのって、ハウアーの『ごしゅじんさま』だった人かい?」
「はい!オナーさまです!」
「ほう。おれに毒を盛ろうとしたのはオナーっていうのか?」
ホーリーの質問に、ハウアーは大きく手をふる。
「ち、ちがいます!オナーさまは、ホーリーさまに毒になるって知らないで、野菜をくれたんです!優しいんです!おいしいものを、ホーリーさまに食べさせたかったんです!」
けんめいなそれにジャックが軽く同意をしめし、質問を続ける。
「その、『オナーさま』の前の、《ごしゅじんさま》は?」
「へ?」
口をあけてしまったハウアーに、ゆっくりと同じことを聞く。
「『オナーさま』にしか、つかえてないのかい? 他の人を、《ごしゅじんさま》って、呼んだことはない? あ、ホーリー以外でだよ」




