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きみへ歌う
「ウソくせえホラばなしだ」
「その子守歌を、ハウアーがきみに歌ってた」
「・・・意味がわからねえ」
赤茶色の目が、なんともいえない表情を浮かべ、身をのりだす。
「 ―― ハウアーが、きみに歌ってるのを、スネイキーが聞いたんだ。彼女は大昔、自分の耳でそれを聞いたことがあるらしい。 その『子守歌』には、《名前》をはさんで歌う。 ―― きみの名前を、だいじなおまじないに混ぜて。 いや、もちろん、スネイキーもぼくも、子守歌のことなんてあの子には教えていないよ。 ・・・じゃあ、なんで、ハウアーは、それを歌えたんだろうね?そして、 ―― あの《彼ら》に『呪い』をかけられたきみは、たった三日で見違えるように生気が戻った。 ぼくもスネイキーも、絶対に助からないと思ってたのにね。 ―― 本当に、きみのしぶとさかい?」
身を乗り出す男は、何の感情もよめない青い目をのぞく。
新しいお茶は、――― まだ届かない。




