ノームの子守歌
「 おまえの説じゃあ、長年《キラ種族》の仕返しにおびえてるんだろ? ここでしっかりと『誤解』を解きたいと思ったんじゃねえのか」
「ああ、そういえば、連れてきたやつがそう言ったって?ふうん。 でもそれは、きみが、ぼくとクアットが仲が良いって言ったことに関しての誤解ってことじゃないのかなあ。 ―― きみは、クアットがぼくの仇をとるために、『毒野菜』まで盛ったって思っているようだけど、そんなに熱心に仇をとってもらえるほど、ぼくは彼らと仲が良かったとは思えない。 かれらの種族が一方的に慕ってくれていたっていうならありえるけど、雄と雌の関係じゃないんだから、それも考えにくい。 ・・・それになにより、――― 」
ジャックがホーリーを見つめ、のびきったような口をへの字に曲げた。
「 ―― ホーリー、きみは、《ノーム種族》の『子守歌』を知ってるかい?」
「はあ?ノームの何だって?」
「ぼくたちの種族が大昔つくったっていう『歌』だよ。 ここの天井に描かれているだろう?竪琴を抱えた女が」
「それがなんだ?」
もったいぶったように組んだ足の膝をかかえ、ジャックはホーリーを見つめた。
「・・・きみが、眠っている間、ハウアーはそりゃもう、けなげに君のことを見守って、ほとんどつきっきりだった。 夜も、ほとんど眠らずにベッドの横にいたさ。 ぼくのことは、まったく気にかけていなかったよ。スネイキーに前の城の主人だと聞かされて、ちょっと混乱しそうだったんで、名前で呼ぶようにいいつけた。 そしたら、きみの名前を、――― 大事なおまじないみたいに、何度も口にして練習してたよ。 かわいいもんだ」
「要点がみえねえぞ」




