スイッチ
たくさんの穴とノーム種族を下に確認し、蝙蝠は方向をかえた。
降り立った城の見張り台には、まぶしそうに空をみあげる白黒の服の男が立ち、おもしろそうにつぶやいた。
「恐ろしいもんだね」
姿を戻したホーリーは、向こうをながめたままの横顔に聞く。
「 ―― 穴に、埋めるのを指示したのは、てめえか?」
亡くなったキラ種族をノーム種族が次々と穴に放りこんでいると仲間に聞き、自分の目で確かめに行ってみた。
腹を立てたように訴えた仲間の話とは異なり、ノーム種族はキラ種族を一人一人、丁寧に箱に横たえて埋めていた。
どうやらあれが、ノーム種族が使う『棺』というものらしい。
このごろ、急に強くなりだした風に、赤茶色の髪をかきまぜられたジャックが顎をひく。
「ぼくらノーム種族みたいに、『墓』をたてるわけじゃないからいいだろ? すでに、キラ種族だけじゃ手が足りないし、あきやすい君たちじゃあ、数が多すぎて、めんどくさくてやらなくなるだろうしね。 ―― なんて。 ・・・ほんとうは、《死んだキラ種族》から、新しい『病』が出るなんてこと、遠慮したいだけさ。 《彼ら》の喜びそうな、そういう条件は作り出したくないんだよ」
「条件?」
「そう。条件・・・いや、なんていうか。 この世界には《彼ら》の仕掛けた『落とし穴』みたいなものがあると思うんだ」
『 仕掛けておいたスイッチを押したのは、おまえら自身だ 』




