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名前でよぶ
「ホーリーさまにです。このまま死んじゃわないでくださいって」
「・・・このおれに、命令したってわけか?」
「め、命令じゃなくって、お願いです」
「おれがいなくなっても、てめえ何も困ることねえだろが」
「いやです! だって、ぼ、ぼく、 いっしょにご飯たべてくれる人、はじめてだし、 ほ、ホーリーさまのこと、好きです」
「――― 頭、くさってんのか?てめえはおれの使用人だ」
「へ?わかってますよ?」
「だいいちなんで名前で呼ぶ?おれはそんなこと許可してねえ」
「だって、ジャックさまが、ご自分も『ごしゅじんさま』だから、名前にしようって」
「あー、もういい。うるせえだまれ。 ならジャックのところに」
「ぼく、ホーリーさまの使用人ですよ。あ、ほら、はやくふきましょう」
いきなり寝巻をはぎとられた男は珍しく怒鳴ることもせず、舌打ちだけすると、されるがままに力をぬく。




