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はやくよくなれ
見届けた使用人は、その背が見えなくなると大きく息をつき、かぶさった主人の顔をのぞきこんだ。
「 ホーリーさま、早くよくなってくださいね」
「っは。 ・・・どうやって治せってんだ?」
「えっと、よく寝て、食べて、」
「馬鹿か。おれは三日間眠ってたんだろ?・・それで、こんなだぜ?」
「そうです! 前より、ちょっとだけ熱が下がったみたいです」
「はあ?そんなこと、――― 」
体は熱い。
熱いが、目玉のところで感じたような、芯から握りつぶされるようなあの痛みは、ない。
それどころか、意識は徐々に、通常の感覚をとりもどし、なにかに乗っ取られたような、自分ではどうしようもないあの感覚が、 ―― 消えた。
「ジャックさまと、どっかから帰ってきたときは、本当に、顔が真っ赤で、うんうん唸ってて、びっくりしました。 ベッドに寝かせたら、今度は顔が蒼くなっていって、どんどん冷たくなっていって、・・・ぼく、びっくりしたから、ホーリーさまの身体、いっぱいさすって、そんで、お願いしました」
「 はん。 ・・・誰にだよ?」
この馬鹿が、あの目玉たちの存在を知っているとは思えない。




