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目玉
あたりには地面もなく、空もなく、ただ汚い紫色の霧がたちこめる。
伏せたままのそこは、床などないはずなのに、手足で確かめれば、たしかに固く、平らなものの上にいるようだったが、下にもゆっくりと霧が漂っている。
濁った紫色の中に、浮いたような状態だ。
『 はやく立て 』
スネイキーの口から出たのと同じ声音。
一気に覚醒し、跳ね起きてあたりをうかがう。
「 ―― どこにいる?」
『 きみの真上だ 』
「!?」
みあげたそこに、巨大な目玉が浮いていた。
紫色の、乾いた皮膚のようなものを被り、ふちにはまつ毛状に棘のようなものが生えている。
青みがかった白目の真ん中は、意外にも澄んで美しい深い紫の瞳で、短く発せられる言葉は、直に耳にふきこまれるようで、 ―― 気配もなにも、わからなかった。




