選ばれた 《のぞきや》
「ハウアーは、毒のことを知らない。―― とはいえ、よく消さなかったわね」
「便利なモンは使えるとこまでつかう」
「それとも、やたらと消したりしないよう、《気をつかってる》のかしら?」
「ああ?このおれが誰に」
「『空の目』を、さがしまわってるんでしょ?」
「・・・おい、スネイキー」
すっと細くなった青い目から逃げるよう、ドアの陰に赤がすべりこむ。声だけがホーリーを笑う。
「そんなに会いたいなら、会わせてあげてもいいわ」
「―― おまえが?」
「スナー種族をなんだと思ってるの? だてに数々の王種族にくっついてきたわけじゃないのよ。 ・・・わたしたちは、それらの種族を監視する役目のため《つくられた》って話もあるぐらいよ」
「なるほど。さすが《のぞきや》種族だ」
「なんとでも。 ―― その、《のぞきや》に、世話になるかならないかって、聞いてるの」
「・・・・・・・・」
じっとドアのむこうを青がにらみ、やがて、口だけがわらった。
「 ―― 『世話』してもらおうじゃねえか。 そのかわり、これが何かの罠だとしたら、おれはこの、世界全部の《種族》に、最大級の呪いをかけるぞ」
するりと、ベッドの横に現れた女が、腕をくみ鼻をならす。
「ふん、あたしは『空の目』に、あんたが消されることを願ってるわ」
「だから会わせようと思ったのか?」
にんまりとわらう女はベッドの上に身をのりだし、男の青い目をのぞきこむ。
「 ねえ、ホーリー。 この世界は、あんたが思ってるほど、 ―― あんたの 世界 じゃあ ないのよ 」




