毒野菜
「 ―― おい、てめえおれの言ったことが」
「はい!すぐにお食事にします!」
あせってシャツを羽織ったその顔はすでにいつものもので、転びそうな勢いで部屋を出てゆく。
入れ替わるように、続き部屋のドアの陰から、赤いドレスの女が現れた。
「―― かわいそうなハウアー。背中のアザは同じクアットのやつにやられたのね。 ホーリーに毒の野菜をちゃんと食べさせているか確認するたび、ハウアーは自分が食べた感想を伝えてた。あなたに言われたとおり」
「かわいそうなのは、毒野菜を食わされそうになったおれだろ?」
「 ところがホーリーは、前より確かにおとなしいけど、元気なままで、あちこち飛び回ってる。 よほどのことがないかぎり、周りに何の迷惑もかけずにおとなしく。 ―― みんな、気味悪がってるわ」
「毒野菜にやられてるんだ」
「《キラ種族》には、即効性の毒よ。 いくらあんたでも、飛び回れるはずもない。 なのにハウアーは、あなたがそれを口にしてるって報告し続けてる。 昨日、ついにバレて、『ホーリー様はおいしくても嫌いな野菜が多いから、食べたくても食べられないんです』なんて言っちゃって、―― さんざん蹴られてたわ」
「は。 バカらしい答えで、上出来だ」




