いらだつ
ベッドにうつぶせたままだったホーリーが顔をあげ、指を立ててみせた。
「聞こえてたら、すぐにやれ」
「・・・・はい・・・」
うなだれて、よれよれのシャツを脱ぐハウアーに指を立てていた男は、その指をくるりとまわしてみせる。
わっ、と驚くハウアーがよろけるように回転し、その背中をみせた。
「―― どこで、どうした?」
背中はところどころ紫色になっている。
「 ・・・っこ、ころんだり、した、です。 えっと、自分の部屋で」
「ふん。ずいぶんと何度も転んでるんだな」
「は、はい。あたまがよくないので、何度もおなじ失敗をするんです」
へへ、と笑う相手に手を振り、早く飯にしろと命じる。
シャツをひろうその姿を眺めていたら、どうにも苛立ちがつのり、口にしていた。
「 ―― てめえの大事な『本』、燃えたぞ」
「・・・・・へ?」
シャツにとおしていた腕が止まる。
見合ったその眼にも、なぜか腹が立つ。
「 『本』を、燃やしたって言ってんだ。 おまえがおれに渡した、あのきったねえ『本』だ」
「 あ・・・だって、 預かって くれるって・・・・」
「だから、預かってみて、あんなきたねえ『本』は、いらねえっておれが判断して、燃やしてやった」
起き上がり、どうだ?というように顎をあげぎみにハウアーを見た。
ハウアーは、 ―――――― 。
「 そうですか。―― ありがとうございます・・・ 」
ハウアーは、―― ひどく痛そうな顔をみせ、それからふっと、みたこともない顔で微笑み、礼を言った。




