朝の仕事
ハウアーの朝は歌をうたいながら始まる。
『歌』といっても、鳥の鳴き声をききながら、思いついた音を並べるだけだ。
昔、記憶も定かでないが、ほんとうの『歌』をうたう種族に会ったことがある。
《ノーム種族》という、温厚で、賢い種族だ。
「きれーだったんだぁ。『楽器』っていう、音をだすこういうのを持っててさあ」
身振りで説明しながら、馬に水をやる。
起きてすぐに水を汲みに行ったので、今日もじゅうぶんな量がある。
川からここまでを十回往復したけれど、近いからとっても楽だ。
こんどの『ごしゅじんさま』のホーリーは、風呂を毎日使うし、馬車の馬も二頭もっているし、部屋がたくさんあるお城に住んでいるので、洗濯するものもたくさんあるから、水をたくさん使うのだ。
「あ、きのう、野菜をもらったんだ」
台にのって馬の背中にブラシをかけながら思い出し、つぎにはそれも馬の分とわける。
洗濯をして城の裏の森にめぐらしたロープにそれらを干す。
食事の支度をはじめるのは、遅くて平気だ。
ホーリーは起きるのが遅い。
はじめての日に、朝の八時に起こしに行って、首をつかまれて怒られた。
十時すぎないと、起こしてはいけない。




