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えらぶ
「 そうね。 あなたの『おもちゃ』にしてもいいって連れてきたんですものね。 ―― ところがあなたは、ハウアーが気に入って、そんなことする気配もない」
「はあ?誰が『気に入って』んだ? あれがいれば、飯が勝手に出てくるし、いろいろ便利だからそのままにしてるだけだ。 ―― いいか?スネイキー、おまえといっしょだ。つかえるから置いてある。気に入らなくなったら、すぐに消す」
青い目は、冷たく女にわらいかける。
無表情な女は黒い目をまっすぐにむけてきた。
「あなたが、『えらぶ』立場にあるのね。そうね。 ―― それって、あたりまえ?」
「あ?」
赤いドレスはソファに消えた。
冷めた目元をいくぶんゆがめた男は、そこに残された黄ばんだ『本』を取りに立ち上がり、ゆったりとした動作でそれを、 ―― 壁際の、暖炉へ投げ込んだ。
くすぶっていた炭が、その紙をなめ、あっという間に炎をあげた。




