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キバのないクアット
金髪の男は嫌そうな顔でワインをつぐ。
「 ―― おれのこと? ちがうだろ。 あいつはガキのころ親に捨てられた。そのあと、あいつを『もらった』ヤツがそう呼ぶようにした。それからずっと、ヤツは自分が仕えた相手のことを、そう呼ぶってだけだ」
「 クアット種族ねえ・・・同族意識が強いって聞いたけど、他はあたしでも、あんまり知ってることないわ」
「 ―― なるほどな。『同族意識』が強くても、バカは、『だれかもらってください』になるのか」
ばかにしたように、グラスに口をつける。
「 でも、ハウアーって、本当にクアット種族なのかしら? キバのないクアットなんて、聞いたことないわ」
「《ミツギモノ》だから、キバも抜かれたんだろ」
連れてきた男はどう見てもクアット種族だった。




