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練習帳
ふん、と鼻をならしてめくれば、同じ稚拙な字体で隅までうめつくされ、解読できないような数枚が続き、つまらなくなった男は、それをソファーのむこうに放ったのだ。
にょろりと白い腕がソファの影からのびて、《日記帳》を取り上げた。
「 ―― へえ。 ハウアーの文字練習帳なのね。 ずいぶんと重ね書きされてて真っ黒だけど、何を書いてるの? ・・・よく読めないけど、・・・ 『屈辱』? 『恐怖』 なんて難しい単語もみえるわ ・・・ああ、後ろのページはまだ空きがある。 『花』とか、『パン』とか。誰かが途中までつかってた《日記帳》を、もらったのかしら。 ―― ああ、ここには『ごしゅじんさま』なんてのもあるわ」
するりと現れたスネイキーが、ソファの肘掛けにすわり、これってホーリーのことでしょ?とわらう。




