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大事なもの
「・・・おい、その本なんだ?」
見せてみろと手をだしたのに、だめです!と思ってもないほどの強い拒否。
「・・・じゃあ、ハウアー。 ちょっと、その本を片手に持ってみろ。そうだ。大事なもんなんだから、持っていいたほうがいいだろ? あ。でも、おまえはちょっとそそっかしいから、なくすと困るよなあ。 よし、わかった。 じゃあハウアー、―― その《大事な本》を、ごしゅじんさまが預かってやる」
「え?ほんとですか?」
にやりとして顎をあげたホーリーは尊大にうなずく。
「ああ。大事なもんはなくすと大変だからな」
「あ、ありがとうございます!そうです!大事なんです! ごしゅじんさま、なくさないでくださいね」
「ばーか。誰にむかって言ってんだ」
受け取ったそれを仕舞い込み、部屋をあとにする。
振り返って付け足した。
「地下室は石でできてるから、この部屋の絨毯でも切り取って持っていくんだな」
「石?かたいってことですか?」
「硬いうえに寒い」
「 ああ、それならへいきです。 ぼく、 あつがりだから」
へへへと笑う顔は、たしかにいつ見てもピンク色だ。
おやすみなさい、と頭をさげるのをいちべつして、ドアを閉めた。




